
「希望ヶ丘の人びと」重松清
※70年代のニュータウン「希望ヶ丘」に引っ越ししてきた田島家。その町は二年前にガンで亡くなった妻(母)のふるさとだった。希望ヶ丘での新しい生活を通して、本当の「希望」とはなんなのか....それを家族愛をベースに問う究極の愛の一冊です※こんな感じかね。
テーマである「家族愛」に関しては、先月読んだ「とんび」に通じるものがあります。境遇も「子供達は幼くして母を亡くす」という設定は類似してますし。ただその母の記憶が残っているかそうでないかで、子供達に落とす「母が不在」という陰が、これほど違ってくるのか...ととても切なくやるせなくなってきます。
自分たちの知らない母の想い出に触れるたびに、どんどん寂しくなる子供達。でも知りたい。何故ならこれからの未来の母の記憶を重ねていけないのなら、過去の母の想い出で埋め尽くすしかないから...。そうやって子供達は必死に亡き母に近づこうとする。
一方自分の知らない結婚前の熱い青春時代の日々を聞く度に、彼女は僕と一緒になって本当に幸せだったんだろか...と、不安になり、死に際まで何もしてやれなかったことに後悔し続ける夫。
子ども達の哀しみも夫の哀しみもどちらも愛する人の死を受け入れなければいけない現実を突きつけられているからだろうか....。
やぁ~今作もよく泣いた(笑)。ワンワン泣いたよ(笑)。最後は号泣でした(汗)。
子供達の為にと母の想い出の町に越してきたはずだったのに、結局はそのこのども達によって、父は愛する妻の死にやっと向き合う事が出来るんですよね。そう考えると子供は強い。人としてまだまだ経験値も不足しているし、当たり前だけど未成熟です。でも逞しいんです。何故なら子どもというのは私達大人の「希望」だからなんです。どんな時も輝く希望なんだよね。
「あなたは今子供達にどんな希望を語れますか?」帯にはそう書かれています。
う~ん(悩)難しいね。でもどんな希望を語れるかは分からないけど、「希望」は確かにそこにある。どんなに絶望していても世界のどこかに必ずある。目の前にちゃんと居るよ♪
最後は流した涙も忘れてしまうくらい笑顔にななれる一冊でしたよ。
「少女」湊かなえ
※高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ――「人が死ぬ瞬間を見たい」。由紀は病院へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをし、入居者の死を目撃しようとする。少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?※←裏表紙のあらすじ転載(汗)
衝撃的なデビューを果たした「告白」に続き、これまた読後感の悪い作品が登場です(笑)。
ほんと悪いの(爆)。凄くいや~なかんじになる。そうなる事も冒頭から分かってた。なのに途中棄権が出来ない。読者を引き込む術を心得てんだろね。凄いです。
一人称で語られているせいかな?一人称二視点というのがポイントかもしれませんね。
テーマは「因果」かな....「因果応報」なんでしょう。悪いことは必ず自分に降り戻ってくる。知らないうちに....音もなく....とても残酷な形で....(爆)。ね?怖いでしょ...(汗)。
興味深いのは、本作に挟まっていた作者からのメッセージでしょうか....
そこには、今作を通じて「命の大切さ」をもう一度知って欲しいと書かれてました。なるほど.....(悩)。
自分ではリセットと思って簡単に考えていた事が、実はゲームオーバーで再起できない事なんだというのはよく分かりました。人生はそんな簡単な事じゃないですもの....。
どうぞ体調が万全の時にでも読んでみて下さいな(笑)。