一番に驚かされるのは、三船敏郎の風体、演技。
映画公開時は35才、見事な老け役である。
この作品の前後の年では、そうそうたる出演作品が名を連ねるが、彼の勇猛果敢な、ギラギラした力強さが、この作品ではまったく違った形で演じられている。
まったく違うキャラクターを、ストイックなまでに演じ切っている。
眼光の鋭さも、丸眼鏡で隠しての登場であるが、後半の素顔ではまた違った味を見せている。
不安を突いて出たセリフも、印象深い。
ラストの見せ方、ああいうラストに美意識を感じる。
余韻が残る、ああいうシーンを見せられると、また黒澤作品を観たくなる、そういうものだ。
1941