
宮城谷作品シリーズ。今回は短編集。
「沈黙の王」は殷(商)の時代の王、高宗武丁のこと。
生まれつき発声障害(?)だった彼が、初めて文字(甲骨文字)を
作らせるまでのお話。
「地中の火」は夏王朝時代初期に実は王朝が一旦滅んでいたというお話。
「妖異記」、「豊饒の門」は傾国の美女の褒姒(ホウジ)を中心に
西周王朝の滅亡の物語。鄭の名君であった桓公が、滅亡するのがわかって
いながら、褒姒と彼女を寵愛する幽王をまもり通して死んでいく姿は感動。
ちなみに、彼の孫は後に成立する東周王朝に史上初めてけんかを売った荘公。
彼は偉大なる祖父、父の遺志を引き継ぎ、鄭の黄金時代を築く。
「鳳凰の冠」は春秋時代屈指の晋の名臣、叔向が主人公。
彼の妻は、あの絶世の美女”夏姫”と彼女のために楚から亡命した
巫臣のあいだに生まれた娘、季刑。叔向の母と季刑とを比較しながら
妻とは?家庭とは?などいろいろ考えさせられるお話。
さ~て、次は孔子から絶賛された、鄭の名宰相「子産」を読んでみようかなと。
彼にとって夏姫は伯母にあたるから、また戻ってきたって感じ(^_^)
今月映画公開されている「墨攻」の原作本も読み終えた。
以前読んだ「後宮小説」が面白かったので、酒見賢一さんつながりで墨攻も
買っていた。文量が少ないのですぐ読み終わってしまったが、漫画の方は
長くて、そっちの方は既に読破している。漫画と原作は終わり方が違う。