蛯澤毅税理士事務所の事務所通信

北海道苫小牧市の税理士。税に関する情報や日々のことを発信します。

役員報酬の変更にはご注意を

2007年05月29日 | 税務のこと
昨年から、役員報酬に関する法人税での取扱いが大きく変更になっていますが、その中でも「役員報酬の変更」について注意点を説明します。

役員報酬を変更する場合には、株主総会で変更後の役員報酬の総額(役員全員の合計額)を定め、取締役会で各人の支給金額を定める方法が一般的だと思います。
この改定は、事業年度開始の日から3月を経過する日までに行わなければなりません。
ここで注意点が2つあります。

①株主総会で役員報酬を変更した日から最初に到来する給与支給日から役員報酬を変更しなければなりません。
例えば、3月決算法人で給与支給日が毎月25日、株主総会が6/20に行われた場合には、6/25の給与支給日から役員報酬を変更しなければなりません。うっかり7/25支給分からとならないようご注意下さい。

②上記の事例で、以前は6月に役員報酬を変更した場合に4月・5月に遡って、変更後と変更前の不足分を6月に支給することができましたが、昨年から出来なくなっていますのでご注意下さい。

公益法人の収益事業に課税強化

2007年05月27日 | 税制改正
公益法人とは民法の規定に従い設立された社団法人・財団法人をいいます。
特徴として、
①公益事業を行うこと
②非営利であること(利益を分配しない)
③主務官庁の許可を受ける などがあります。

法人といえば「株式会社」が一般的だと思いますが、他にも「学校法人」「社会福祉法人」 「医療法人」「NPO法人」など各種の法律に基づいて設立される法人が200以上あるそうです。

法人税法ではそのたくさんある法人を5種類に分類し、課税方法に違いをつけていますが、その1つに「公益法人等」という区分があります。
そこに分類されるのは、社団法人・財団法人・NPO法人・社会福祉法人などなど・・・書ききれません。

「公益法人等」に分類されると、
①収益事業を営む場合に限り、法人税を納める義務がある。
②収益事業とは、法人税法に定める33種類の事業に限定されている。
③法人税率は株式会社の30%に対して、22%の軽減税率である。
の特典があります。

そこで本題です。

以前から公益法人制度改革の議論は行われ、昨年には新たな公益法人制度の法律もできました。その新しい公益法人とは、設立にあたって主務官庁の許可がいらず、公益性の認定は別途受けるというものです。
この制度改革は社団法人・財団法人についての改革ですが、それに関連する法人税の公益法人課税についても見直しが行われていました。
①33業種の収益事業の範囲を見直す。
②軽減税率から株式会社並みへの税率引上げをする。
というものです。

法人税法の見直しは、社団法人・財団法人に限らず、社会福祉法人・NPO法人・学校法人などにも影響がある内容です。
平成20年度の税制改正で実現を目指すようなので、関係法人は今後の動きを注目しましょう。