河川敷にたくさんの凧が揚がっている。
団子屋には葉書が届いている。
大きなはっきりとした文字。
妹が読み始めると、どこか地方の正月風景にシーンは変わる。
露天が並び、晴れ着姿の女性たちが行き交う賑やかな風景。
そこに威勢のいい声が聞こえてくる。
「結構毛だらけ猫灰だらけ・・・」
正月映画に寅さんが帰ってきた。
初公開から50年。
「お帰り寅さん」
都会では若者に寅さんが人気だと聞いたが、今日の映画館も観客は年配の人たちばかり。
始まってすぐ、笑い声が聞こえてくる。
少し離れた席の3人組。
おじさん2人におばさん1人。
このおばさんの笑うポイントが独特でちょっと興醒め。
でも、それもだんだんどうでも良くなった。
別に背筋を伸ばして見るものでもない。
好きに笑えば良いのだ。
そう言えば昔の映画館はもっと賑やかだった。
笑い声ももっともっと大きかった。
健さんが出てくれば掛け声も飛んだ。
所詮、大衆芸能。
それで良いのだ。
懐かしい顔もたくさん出てくる。
もちろんリリーも。
エンディングは「ニュー・シネマ・パラダイス」寅さん版。
往年のファンにはたまらない。
内容はどうか・・・。
「それを言っちゃあ、お終いよ!」