クリント・イーストウッドの新作「15時17分、パリ行き」を観てきました。
実際に起きたテロ事件を描いたものです。
テロリストに立ち向かい惨劇を止めた3人の男たちが自らを演じるという独創的な試み。
つまり素人が主要キャストというわけです。
クリント映画史上、最低の作品という酷評もあるようですが、僕は嫌いではないですね。
実際に列車の中で起きたテロ事件の部分は正味15分程度でしょうか。
そもそも1時間半程度の短い映画。
3人の事件に至る人生が子供頃の出会いから描かれていきます。
この辺りがまどろっこしいと思う人が多いのではないでしょうか。
列車の中のテロリスト。
と聞けばスティーブン・セガールのような展開を期待してしまいます。
でもクリントの描き方は全く違います。
普通の人が巻き込まれるのがテロだ。
そしてテロに打ち勝つのも普通の人の力だ。
ベネチアやアムステルダムの観光シーンに何の意味があるのかという批判もあるようですが、それこそ普通の人の日常なんだと思います。
そんな日常を切り裂く理不尽。
それこそがテロリズムだとクリントは言いたいのでしょう。
ものすごく高度な描き方に挑戦したクリント。
時間が経つほどに面白みがわかる、奥深い映画だとみました。