ウォーキング・レボリューション

地に足を付けて、自然と伝統文化に寄り添いながら、日々の生活を丁寧に送っていく。そんな暮らしの革命です。

荒壁用土の仕込み

2011-10-29 22:39:00 | 家づくり

現在、木組みと土壁の平屋の家、通称「くろnecoハウス」の建築を計画中である。その準備として、10月29日(土)、プロの左官Eさんの指導のもと、荒壁用土の仕込みを行った。作業は、プロ1名+素人2名の計3名で、9時頃から15時頃までかかった。

事前準備
事前に8畳ほどの捏ね場を用意した。今回は敷地の関係で、2m×7.2mの細長い形になった。12mmのコンパネで高さ30cmの囲いを作り、杭で固定する。内側に3.6m×5.4mのブルーシートを3枚敷き、底に5.5mmのベニヤを8枚敷く。立ち上がり部分にも5.5mmのベニヤをネジで留めつける(使用する耕運機が側面カバー付ならば、このベニヤは必要ない)。土の仕込みが終わったら、はみ出たブルーシートを内側に折り、さらにその上から3.6m×5.4mのブルーシート2枚を被せ、石と板で固定して風で飛ばないようにする。

材料
・荒壁土・・・2トン 群馬県藤岡産の瓦用粘土。粘性が高く乾くと固くなるが、その分痩せる。
・切苆(約6cm)・・・5袋半 無農薬栽培。2010年群馬県産。
・水・・・適量

道具
・耕運機 (足で捏ねた方がよい土ができるという人も)
・角スコップ×3
・ホース×2 (時間短縮のため2系統から給水)
・左官バケツ×3
・左官用洗いブラシ

仕込みの手順
①トラックから荒壁土を角スコップで捏ね場に降ろし、平らにならす。
②切苆2袋を土の上に万遍なく被せる。
③切苆の上からホースで水をかける。
④あちこち足で踏んで水のたまり場を作る。
⑤切苆が十分湿ったら、耕運機でかき混ぜる。
⑥耕運機がうまく回転しない時は、バケツで近くに水をかけてもらう。
⑦捏ね場の際は混ざり難いので、角スコップで土を内側に移動する。
⑧土の塊がなくなり、田んぼのように土に粘りが出るまで、耕運機でかき混ぜる。
⑨最後に残りの切苆2.5袋分を万遍なく被せ、ブルーシートで覆う。
⑩約半年後、再度耕運機でよくかき混ぜる。

ポイント
・角スコップで土をすくう時は、底を滑らせるようにスコップを差し込み、てこを使って持ち上げるとよい。
・トラックから土を降ろした後、できるだけ踏まずにフワッとした状態を保つ。
・捏ね始めは、耕運機を引き寄せ、できるだけ同じ位置で回転させる。腰を入れ、左右どちらかの足で踏ん張ると耕運機に体を持ってかれない。通常は、耕運機の後ろの方に抵抗棒が付いているので、ハンドルに体重をかければ、深く耕せるらしい。今回は抵抗棒を借りてくるのを忘れてしまった。
・耕運機の刃が底のベニヤに当たるようになったら、行ったり来たりを繰り返す。合計で7、8往復はした。
・土には20、30cmの塊も含まれていたが、耕運機をかけ続けると、足の裏に塊を感じないようになってくる。
・土と藁と水がよく混ざると、土に粘りけが出て、足が抜け難くなる。
・長靴が土にはまり、足だけ抜けてしまわないよう、紐で足首と足の甲を縛るとよい。ただし、長靴だと丈が短くてズボンまで汚れてしまうので、田植え用水足袋の方がよい。
・今回はブルーシートの内側にもベニヤを取りつけたので、側面ギリギリまで捏ねることができ、捏ね場の際の土を何度も内側に移動しなくてもよかった。
・捏ね場の形は、敷地の関係で長方形となったが、8畳ほどの規模であれば、トラックの横付けが容易、耕運機の折り返しが少なくて済むなど、有利な点も多い。
・捏ね場は使う土の分よりも一回り大きい方が、耕運機の折り返しや土の運び出しに有利なようだ。
・捏ね場の底が水平でなかったため、水が少し一方に偏ってしまった。しかし、荒壁は後から塗る土の水分を多くするらしく、水分の少ない土の方から先に使うようアドバイスをもらった。
・別の仕込み方では、最後に切苆を被せずに、荒壁を塗る数週間前に乾燥した切苆を混ぜ込んで、さらに寝かせて使うらしい。今回のやり方では、上に被せた切苆が適度に発酵して分解されるので、混ぜてすぐに使えるメリットがあるのではないか。
・土を使う時は捏ね場の囲いの一部を取り外し、そこから猫車を入れて、土を運ぶらしい。そうとは知らず、捏ね場の囲いを少し頑丈に作ってしまった。

その他
・耕運機を使う時に指輪は外した方がよい。思わぬ事故につながることがあるそうだ。
・ホンダの耕運機のスターターは少しゆっくり引いた方がエンジンのかかりがよい。
・エンジンが温まっている時は、チョークは引かなくてもよい(常識?)。
・今回使用した荒壁土は、採掘した土を遠心分離器にかけ、砂利や砂などを取り除いて粘土だけを取り出し、乾燥させたものらしい。見た目は普通の粘土に見えるが、思ったより手間とエネルギーをかけて作っているようだ。

仕込み期間について
仕込み期間は、スケジュール、予算、工期などを考慮して約6ヶ月を予定している。人により3年は寝かせるとよい、夏を越すと熟成が進んでよい、切苆を追加して練り直しをした方がよいなど様々だが、壁を厚くできるのであれば、仕込みはあまり長くなくてもよいそうだ。仕込み期間が長く、加える藁の量が多いほど、繊維質を多く混ぜられるので、それだけ丈夫にできるらしい。また、藁が微生物によって分解され、微生物が糊の働きをして、塗りやすくなるという人もいる。一方で、壁が固まるのは粘土そのものの性質なので、有機物の混入は少ないほどよいという意見も。茶室などの薄い壁を塗る場合は、仕込みに3年は必要らしい。今回は竹小舞下地の中塗り仕上げで厚さ7cmを予定している。壁を丈夫にするには、材料に砂を増やしつつ何度も塗り重ねる、荒壁土を梅雨前に塗って十分乾かす、厚い貫を数多く入れる、竹小舞下地をきつくしっかり編む、外壁は漆喰で仕上げ軒の出を深くし下見板で覆う、などトータルで考える必要がありそうだ。

参考文献
『木造住宅私家版仕様書 コンプリート版 完全版 架構編+仕上げ編 究極の木組の家づくり図鑑』p206
『家づくりビジュアル大事典』p66

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約6cmの切苆

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トラックから捏ね場に土を降ろす

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土の上に切苆を被せる

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耕運機で捏ね始める

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まだまだ混ざっていない

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まだ捏ね足りない

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田んぼのようになってきた

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最後はブルーシートで覆い、熟成を待つ


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