ウォーキング・レボリューション

地に足を付けて、自然と伝統文化に寄り添いながら、日々の生活を丁寧に送っていく。そんな暮らしの革命です。

『金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った』

2008-09-20 20:57:49 | 未分類

今日は9月9日に発売された『金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った』という本の紹介をしたいと思います。

著者の安部芳裕 さんは、地域通貨グループ「レインボーリング」の立ち上げを行い、登戸にあったコミュニティ・カフェの「アリエルダイナー」を経営していた方で、地域通貨に関する本も多数書いています。環境問題も貧富の拡大もすべては金融システムの歪みに原因があると考えている方で、私も同じように感じています。

ますます拡がる経済格差、ひどくなる一方の環境破壊、絶えることのない紛争。これらは社会・経済システムの単なる構造的な欠陥ではなく、ロスチャイルド一族を中心とする支配者層が意図的に設計し、築き上げてきたシステムに原因があるそうです(ちなみにタイトルは出版社がつけたもので、金融システムはロスチャイルドが全部つくったわけではないそうです)。

本の構成ですが、まず、分かっているようでいて実はよく分かっていない「お金」の歴史と問題点について寓話を用いて非常に分かりやすく解説しています。次に、金融システムの誕生と発展についてロスチャイルド一族を中心とする世界史という形で説明し、最後に、国際金融資本から独立した自立型経済を実現するための未来への提案を行っています。グローバリゼーションではなくローカリゼーションを実現するには、今の貨幣システムである国家通貨と並行して、自給自足ができる範囲で流通する(利子を生まない)地域通貨が必要であると訴えています。この他、食料自給率やエネルギー自給率を上げるなどのアイデアも出しています。

支配者層は、お金を使って自分達に都合のいいようにこの社会をコントロールしていますが、そのからくりに多くの人が気付けば、世界は大きく変わるかもしれません。リーマン・ブラザーズの破綻などの世界的な金融危機の影響もあるのか、9月17日付アマゾンのベストセラー・ランキングでベスト10に入り、早くも重版が決定したそうです。

ちなみに個人的には、地域通貨に加えて、昔のムラにあった金銭を介さない労働力(田植えや茅葺きなど)の交換である「ユイ(結)」と、共同所有(山・井戸・風呂など)や共同作業(魚を獲って平等に分け合うなど)を意味する「モヤイ」の復活もできればといいと思います。入り会い地にある茅を使ってユイでお互いの家の屋根を葺き合えば、高い住宅ローンを支払わなくても家が建てられたということであり、火事の際には見舞いとして共有山から原木を与える慣わしがあったそうで、これはお金を介さない火災保険と呼べるものでしょう。また、生活に窮した家族が共有山に入り、財産が立ち直るまでそこに住み着いた「山上り」というしくみもあったそうです。地域によっては山ではなく困窮島という離れ小島に住むこともあったとか。本来であれば共有地のものはすべて平等に分け合うのが決まりですが、生活が厳しい者に対しては、それを支える社会保障があったと言えるでしょう。残念なことに、明治の中頃からムラにも私有財産制と貨幣経済が浸透していくにしたがって、共有地の多くは個人に分割され、次々に売られていったそうです。

もう一つ取り入れたいコミュニティのしくみが、現在でも沖縄本島の農山村地域と離島の一部に残る「共同店」または「共同売店」と呼ばれる商店です。集落の全住民の出資によって運営されている生協のような商店で、オーストラリアのマレーニにあるコープ(共同組合)もこれに近いものだと思われます。初めての共同売店は1906年に設立された国頭村の「奥共同店」で、今でも健在だそうです。『沖縄で100年続くコミュニティビジネス 共同店ものがたり』という本には、合わせて68もの共同店が紹介されています。主な機能として経済的機能、福祉的機能、情報的機能の3つがあるそうです。経済的機能としては、物品を共同購入して売店で販売するだけでなく、船を持ち、集落で取れた薪木を那覇方面に出荷したり、泡盛を製造していたところもあったそうです。福祉的機能は、共同バスの運行、電話の取次ぎ、冠婚葬祭費の援助などです。情報的機能としては、集落内放送などのほか、店そのものが集落民の情報交換の場になっているそうです。自分もいつか『共同店ものがたり』を持って、共同店めぐりをしてみたいです。