見出し画像

【現代思想とジャーナリスト精神】

【孫崎享のつぶやき】2023/12/04 月曜日 07:46

随想② 音楽



1991年頃、私はカナダに赴任していた。べラフォンテがオタワに来た。歌手と楽団と観客が一体となって「ジャマイカさよなら(Farewell,)」を歌う時、「ああ、これがエンターテイナーか」と感心した。今でもこの歌を聞くと、カナダのホールにいた心地が蘇る。

幸い、ロンドン、モスクワ、ボストンとクラシックの盛んな都市に赴任した。ボストンでは家族四人が定期的にボストン交響楽団を聴きに行った。と言っても金がないから公式の演奏会ではない。講演直前、最後のリハーサルを一般公開する。指揮者が時々ストップして指示をした。だが私に最も強烈な印象を残しているのはイラクの首都でのバグダッド・オーケストラの定期演奏会である。当時イラン・イラク戦争の最中だった。月一回はイランからミサイルが飛来した。建物が破壊し、道路に穴があく。その中で生きていた。隔離された地域でひたすらペストの終焉を待って生きていくカミュの『ペスト』の思いだった。

楽団の指揮者、第一バイオリン、チェロ等主要な部分はロシア人が占めていた。危険な都市から一刻も早く本国に逃れたかったろう。聴衆にも演奏者にも「この演奏が最後かもしれないという思いが漂っていた。中にイラク人のオーボエ演奏者がいた。音色は天国に届くような響きを持っていた。だが魅了する音色はある日、突然なくなった。この演奏者は南部の戦場に連れていかれたという。

だから、私は音楽には特別の感情を持っている。2013年文化放送の『おはよう寺ちゃん』が開始された時、私はコメンテーターとして参画した。約一時間の番組の中で、途中の休憩で短い音楽を流す時間帯があった。それで私は「この時間帯の歌を私に選ばせていただけませんか」とお願いした。

きゃりーぱみゅぱみゅ「にんじゃりばんばん」、Every Little Thing「ハリネズミの恋」BUMP OF CHICKEN「花の名」、加藤登紀子「百万本のバラ」、
尾崎豊「I LOVE YOU」。フランク・シナトラ「MY WAY」。ハリー・ベラフォンテ Jamaica Farewell。BUMP OF CHICKEN「車輪の唄」。
ビートルズ「Please Mr. Postman」。、アバ「ダンシング・クイーン」。五輪真弓「恋人よ。荒井由実「ひこうき雲」、中島みゆき「アザミ嬢のララバイ」。
チューリップ『サボテンの花』、さだまさし「雨やどり」。マリリン・モンロー「river of no return」、チェリッシュ「落葉の散歩道」、
ペトロ・カプリシャス「5番街のマリーへ」、シナトラautumn leaves、ガロ「学生街の喫茶店」、持田香織「雨のワルツ」
アンディ・ウイリアムズ 「ある愛の詩(日本語)。アリス「散りゆく花」。槙原敬之「spy」の順に依頼した。

毎週、次の歌を探すのが楽しみだった。最後の歌は中島みゆきの「宙船」だった。
『おはよう寺ちゃん』を去ってから選曲の時間は無くなった。だが2023年から、英語の歌一曲を、毎週土曜日{X(ツイート)}で紹介している。何と素敵な歌が多いのだろう。これまで22曲を紹介した。自分の選曲リストが増えていく。感性が補強されていく思いだ。

=======================


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「転載・政治社会と思想報道」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事