【現代思想とジャーナリスト精神】

TBSのぎりぎりの決断と岸井成格氏の今後も期待する

TBSのぎりぎりの決断と岸井成格氏の今後も期待する
      櫻井智志

 TBSは1月15日に、「NEWS23」の岸井成格アンカーの降板を明らかにした。ただTBSがテレビ朝日と異なるのは、岸井氏をTBSの「スペシャル・コメンテーター」として契約を結び、「NEWS23」や他の時間帯のニュース番組、選挙特番、「サンデーモーニング」らに引き続き出演するこしたことだ。
 政府からの介入と放送への抑圧に抗して、ぎりぎりの抵抗を見せてそれなりのバランスを選択したTBS首脳部のそれなりの「知恵」に、放送界でリベラル派を示す同局の見識を示した。

 TBSの藤原康延広報部長は、「意見広告の掲載前から話を進めていた。政治的圧力も一切ない」(東京新聞1月16日朝刊転載)と話した。

 一方岸井さんは、「報道の第一線で発信を続けていくことになった。その責任・使命の重さを自覚し、決意を新たにしている」とコメントを出している。TBSは、同じ番組で産休中の膳場貴子さんに対する処遇をきちんとおこなってほしい。今までの報道では、自ら辞表を出したとTBSは発表したが、膳場さんご自身はそのような辞表を出していないことを明確に公にしている。この辺のちぐはぐは、マタニティハラスメントに及ぶ重要問題であり、ハラスメントを告発する報道機関の内部でちぐはぐな対応をすべきでない。一部に厚遇の給料ということをあげるマスコミもあるが、膳場さんクラスの一流の女性キャスターは、NHKのフリーランス・アナウンサー国谷裕子さんくらいしかいない。

 ともかくも、TBSは古館伊知郎さんを降板させたテレビ朝日、「クローズアップ現代」から国谷裕子さんを降板させようとしているNHKと比べると、報道への権力介入の前でぎりぎりの深謀配慮を見せて、岸井成格氏の勇気ある番組中の良識をそれなりになんとか守りたいという「勇気」が感じられる。

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