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【現代思想とジャーナリスト精神】

宇都宮健児、プロフイールと東京都知事選

序 
宇都宮健児氏が主宰する公式ブログ「希望のまち東京をつくる会」を通じて、充実した都市づくりの意欲と実践に、共鳴をおぼえた。いかの叙述は、その転載を編集したものである。
(櫻井智志)

Ⅰ:宇都宮健児、自らを語る
宇都宮けんじってどんな人?
貧しい人の力になりたい
1946年12月、愛媛の漁村に生まれ、9歳の頃、開拓農家として大分県に移り住む。電気もない荒れた土地を必至で耕す親の姿を見て育ちました。親孝行したい一心で猛勉強し、東京大学に入学。卓球部で汗を流す一方、「貧しい人の力になりたい」と弁護士になることを決意し、在学中に司法試験に合格。

サラ金問題改善の立役者
下積み生活の中でサラ金問題に出会います。とりたてに追われる人の苦しみを目にして、解決のために奔走。「青白く、やつれた相談者の顔が、みるみる明るくなっていく。それが私にとってはお金以上の財産だった」。サラ金業者からは、何があっても引き下がらない弁護士として知られる存在に。「取り返すのは金ではない。狂わされた人生だ」。2006年、多くの仲間とともに国会に働きかけ、グレーゾーン金利を撤廃させる画期的な貸金業法の改正を実現させました。この改正により、サラ金業者がムチャな金利を取ることができなくなり、多重債務者は「払いすぎた分を取りもどす」こともできるようになりました。その姿は、宮部みゆきのベストセラー推理小説『火車(双葉社)』のモデルにもなりました。

貧困と格差が広がる昨今は、生活に苦しむ人びとへの法律相談も多く引き受け、多くの相談者から絶大な信頼を寄せられています。

日本弁護士連合会 会長として
2010年、3万2000人の弁護士を束ねる日本弁護士連合会(日弁連)の会長選挙に、史上はじめて完全無派閥で立候補し、激戦の末に当選を果たしました。日弁連会長として、人権擁護などに尽力するなかで、東日本大震災と福島原発事故が発生。福島をはじめとする被災者の支援に、先頭に立って取り組んできました。

2012年と2014年の都知事選で次点
2012年と14年の二度の都知事選挙では、猪瀬氏・舛添氏を相手に「人にやさしい東京」「希望のまち東京」を訴え、それぞれ次点の得票を得ています。

*2012年東京都知事選
【2012年(平成24年)12月16日執行】
有権者数:10,619,652人
投票率:62.60%(前回比:+4.80%)
猪瀬直樹66 無所属 新 公明、日本維新支持
4,338,936票 65.27%
宇都宮健児66 無所属 新 未来、共産、社民、緑、新社、東京・生活者支持
968,960票 14.58%
松沢成文54 無所属 新
621,278票 9.35%

*w2014年東京都知事選
【2014年(平成26年)2月9日執行】
有権者数10,685,343人
投票率:46.14%(前回比:-16.46%)
舛添要一65 無所属 新 公明、自民都連推薦
2,112,979票  43.40%
宇都宮健児67 無所属新 共産、社民、緑の党、新社推薦
982,594票 20.18%
細川護熙76 無所属 新 民主、生活、結い支援
956,063票 19.64%

2016年の都知事選出馬を断念
2016年の都知事選では立候補を決めるも、野党4党(民進党、日本共産党、自由党、社会民主党)の統一候補が鳥越俊太郎氏に決定したことを受け、出馬を撤回するという苦渋の決断をしました(2016年 東京都知事選挙 総括報告はこちら)。その後も当選した小池百合子氏に対し、積極的な政治提言を行っています。
*2016年東京都知事選
【2016年(平成28年)7月31日執行】
※当日有権者数:11,083,306人 最終投票率:59.73%(前回比:+13.59%)
候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 得票率 推薦・支持
小池百合子
64 無所属 新 2,912,628票 44.49% かがやけTokyo、自由を守る会 支援
増田寛也
64 無所属 新 1,793,453票 27.40% 自由民主党、公明党、日本のこころを大切にする党推薦
鳥越俊太郎
76 無所属 新 1,346,103票 20.56% 民進党、日本共産党、社会民主党、生活の党と山本太郎となかまたち推薦
上杉隆
48 無所属 新 179,631票 2.74% なし
桜井誠
44 無所属 新 114,171票 1.74% なし
マック赤坂
67 無所属 新 51,056票 0.78% なし
七海ひろこ
32 幸福実現党
新 28,809票 0.44% なし
立花孝志
48 NHKから国民を守る党
新 27,241票 0.42% なし
高橋尚吾 32 無所属 新 16,664票 0.25% なし
中川暢三
60 無所属 新 16,584票 0.25% なし
山口敏夫
75 国民主権の会 新 15,986票 0.24% なし
岸本雅吉 63 無所属 新 8,056票 0.12% なし
後藤輝樹 33 無所属 新 7,031票 0.11% なし
谷山雄二朗
43 無所属 新 6,759票 0.10% なし
武井直子 51 無所属 新 4,605票 0.07% なし
宮崎正弘
61 無所属 新 4,010票 0.06% なし
望月義彦 51 無所属 新 3,332票 0.05% なし
山中雅明 52 未来(みらい)創造経営実践党 新 3,116票 0.05% なし
今尾貞夫 70 無所属 新 3,105票 0.05% なし
内藤久遠 59 無所属 新 2,695票 0.04% なし
※21位は関口安弘、64歳、無所属、新人、1326票、得票率0.02%。

Ⅱ:2016年 東京都知事選挙 総括報告
2016.11.04
お知らせ
10月28日に開催された希望のまち東京をつくる会リスタート集会「2016年東京都知事選挙からの、リスタート。“困った”が希望に変わる東京へ」にて公開いたしました「2016年東京都知事選挙 総括報告」を掲載いたします。

2016年 東京都知事選挙 総括報告概要
1. 「3度目の挑戦」に向けた私たちの取り組み
また突発的な都知事選挙――舛添知事辞任
→ 前回に続いて「政治とカネ」の問題で知事が辞任、3年で4回の選挙という異例事態
2014年の選挙後の私たちの取り組み
→ 前回の総括を踏まえて、イベント開催、都議会傍聴、勉強会などの取り組みを継続してきた。
都知事選に向けた当初の私たちの動き
→ 参院選・野党共闘にも配慮し、支持を拡大しながら参院選後の7月11日に立候補表明と決定。
野党「都知事選も共闘候補」の枠組みを決定
→ 野党4党は6月21日に都知事選も野党共闘でたたかうと決定。しかしその後具体的動きはなかった。
6月中旬段階の情勢調査――状況次第で勝機も
→ 独自の意識調査で宇都宮は前回に倍する支持を獲得。広報戦略を策定して選挙戦準備を進める。
“困った”が希望に変わる東京へ――7月8日、希望政策フォーラム
→ キャッチフレーズ決定。公約案を公表し、築地問題・羽田低空飛行問題・住宅問題を話し合う。
「小池劇場」と都知事選への高い注目――知名度優先の野党候補者選びの難航
→ 野党の候補者探しの混迷を脇に、小池氏がメディア露出で独走態勢を築く。
2. 立候補表明から一転して辞退へ
立候補表明――記者会見で触れた政策
→ 7月11日午後2時に立候補表明し、公約を発表。多くの方からの歓迎の声。
野党側から初の接触――11日、夕方は「古賀」、5時間後に「鳥越」
→ 都知事選告示3日前の初の接触で「古賀茂明氏へ一本化」要請。5時間後に鳥越氏に変転。
鳥越氏の立候補表明と野党4党の推薦表明
→ 都政課題への政策を示さないままの表明。辞退をめぐる論議は判断を宇都宮さんに一任へ。
苦渋の判断――立候補取り下げ
→ 「共闘」への対応で準備に遅れも。保守分裂の好機を活かし、運動の分断を避けるため、苦渋の判断。
鳥越候補への応援演説見送りをめぐって
→ 宇都宮さんの政策反映を明確にしない鳥越氏。週刊誌報道への対応の問題もあって応援見送り。
3. 小池圧勝・鳥越大敗の選挙結果をどう見るか
政党推薦を受けない小池氏の圧勝
→ 前回比で投票率上昇の中、無党派・全年代から支持を受け小池圧勝。政党存在感は低下。
年代別投票先——―若者からの支持を得られなかった鳥越氏
→ 得票率伸びず、若い世代の支持は失い、「野党共闘」の成果は出ず。
都民が重視した政策と投票先
→ 支持者は景気・雇用・福祉を重視。市民ニーズをとりこんだ小池氏。
参院選東京選挙区、都議補選との比較から見る野党共闘の失敗
→ 補選の野党得票の半数前後しか鳥越氏は獲得できず。完全に失われていた「野党共闘」効果。
前回都知事選における宇都宮との地域別の得票比較
→ 区部では鳥越氏は前回宇都宮の得票率より減。前回大雪の影響の消えた山間部で得票増。
選挙結果から見えた野党の課題
→ 若い世代からの支持獲得の失敗、市民のニーズに答えることへの失敗をどう総括するかが野党側の課題。
4. 今回の都知事選挙から得られる教訓と私たちの課題
多くの市民の支持をいかに得るか
→ 圧倒的多数の無党派層から支持を得る必要性。政党支持者の「数合わせ」戦略の限界。
知名度とストーリー選挙
→ 政策本位の選挙を大前提として、効果的発信のツールとしての知名度とストーリー性。
日常的な準備
→ 都知事選は都政を問う選挙と浸透させることなど含めて、日常的活動が決定的に重要。
宇都宮さんへの期待と支持
→ 「撤退」以降、むしろ知名度が拡大し、築地問題など政策も浸透。
政党からの支援をめぐって
→ 野党共闘の支援を得られなかった私たちの側の力量も問題。政策実現のため政党への働きかけを続ける。
地域に根ざす市民のつながりの強化
→ それぞれの地域の“困った”を持ち寄り、その原因と解決策を考え、都政を動かすことが次につながる。
5. 私たちは東京を希望のまちへ変える運動を続けていく
なぜ私たちは立候補できなかったのか
→ 前回総括で得た教訓を実行できていなかった。力量をつけつつ、連携を呼びかけていく努力を続ける。
東京を希望のまちに変革するため、運動を続けていく
→ 「次」に向けてのリスタートを期すため、私たちの運動の原点を趣意書という形にまとめた。
ー了ー

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