中心静脈栄養が本格的に始まりました。
幸い、カテーテルを挿入しているところの痛みは軽減してきているとのこと。
少し安心しました。
しかし挿入口が痒くなり始めて、看護師さんにそのことを訴えたら、
「我慢できませんか」と言われたらしく、ちょっと不満顔のしとりんでした。
縫っているところがかゆいのか、
テープを貼っているところが痒いのか、
しとりん自身もわからないということでした。
また担当医師が来られて、
「あんな状態で一般の産婦人科院に4週間以上も入院しているなんておかしい。
あと1週間早く来ていただければ、中心静脈栄養の効果がもっと早くあらわれるのに」
と言われていったとのことです。
転院前の産婦人科院の治療を暗に批判している言葉でした。
それほどしとりんの状況は切迫していたということです。
それを聴いて、私自身ももっと強く転院を訴えればよかったと思いました。
たしかに、治療のレベルは格段に違うと思います。
看護師さんたちの動きや技術もまったく違います。
年配の看護師さんが多かった産婦人科院に対して、
大学病院は若い看護師さんばかりです。
担当医も研修医も毎日顔を出してくれます。
しとりんのためのチームを組んでくれていますから、
それだけでもとても心強く思います。
中心静脈栄養専用の高カロリー液は1,000ccもある大きな袋です。
看護師さんがときどき来ては流れる速度を調節しています。
午後3時に私が来てからも何度も来られました。
しとりんは喉の痛みと中心静脈栄養口の痒みを何度も私にも訴えました。
私にはどうすることも出来ず、それを看護師さんへ伝えることぐらいです。
痒みに対しては、夜勤の看護師さんが来られた時にそのことを再度訴えて、
中心静脈栄養カテーテル挿入口の消毒とテープの交換をしてくださいました。
ただ針が抜けるおそれがあるということで、何度も行うものではないということでした。
喉の痛みに対しては、月曜日に耳鼻咽喉科に受診するということです。
夕方、栄養士さんが来られました。
「今日は出張だったので今来ました」
と帰ってきてからすぐしとりんの病室に来てくれたようです。
しとりんはこの栄養士さんと気が合うようで、友達同士のように話します。
栄養士の立場から口に出来るものを一緒に考え、的確に助言してくださいます。
私もその会話を聞きながら、何を買っておいたほうがいいのかをメモします。
やがて面会時間の終了を告げる館内放送が流れて、
手を握って別れを惜しみつつ病室を出ます。
「また明日ね」とドアを閉めるとき、胸が締めつけられます。
後ろ髪を引かれつつ路線バスに乗り、
池袋から電車に乗ると吸い込まれるように眠ってしまい、
降車駅で慌てて飛び降りるという感じです。
すぐ駅前のスーパーに入り、しとりんが口にできるものを探します。
(私の夕食も)
(今年のクリスマスも、年末年始も、しとりんは病院かなあ)
そう思いながらゆっくりと道を歩き始めると、
夜空に龍が見えました。
私を守護してくれている龍です。
その龍とテレパシーのように交信しながら歩きます。
帰り道、浅間神社に寄り、コノハナサクヤ姫さまにご加護をお祈りしました。
今日は111ナンバーの車を見ました。
「あなたが今現在、どのようなレベルにいても、そのレベルを引き上げてくれる」
(守られている‥)
そう感じて眠りについたのでした。