日焼け酒焼けみのもんた焼け

　父が入院した当日は仕事から帰ってきたダンナに話をしただけでした。

　そして翌日、一応まだ離婚はしていないので母にも連絡をしました。

　でも・・・

　ん～。。。なんか忘れていることがあるな。

　なんだろうな。

　ダンナの親には先生の話をちゃんと聞いてからにしよう。

　（父の話しっぷりはもう余命数ヶ月のような言い方だし←全然違います）

　誰かを忘れているな。

　






　あ、兄・ヒロだ。



　そういえば私にはちゃんと兄がいるじゃないか！

　忘れてるじゃないか！！


　そんな感じで兄に連絡をし、先生の説明を聞く＆父のお見舞いに兄は来ました。

　父と兄は１年以上会ってません。

　と、いうか父は私以外に付き合ってるヤツはほぼいないようです。

　自分のきょうだいも全員健在なのに、誰にも知らせていません。

　兄は一人で父のところに行くのが気まずいというか照れくさいというか。

　父の病室で待ち合わせしようとしたのにニコス家まで迎えに来ました。

　先生の説明の帰り際、兄は

　「あ～あ。オレ、月曜から金曜まで社員旅行サイパンやったのに。金曜手術かぁ・・・。

　キャンセルしなあかんわ～。」

　「残念やわ～。オレの会社人数少ないやん？一人行かんかったら寂しいしなぁ・・・。」

　と父の病状よりサイパンに行けないことを嘆く兄。さすがです。

　「こんな時にサイパン行けなくて残念なんて！！心配じゃないの？？」

　なんて私が言うわけもなく、

　「へー、サイパンやったら関空朝着じゃないん？もうあの便ないん？」

　と、金曜の朝日本に着くなら行っとけば？って感じで聞きました。

　「もうないねん。金曜の夜に名古屋に着くねん。」

　「ほな、一日早く帰ってきたら？」

　「え？そんなんできるん？」

　「わからん。聞いてみたら？」

　「え～、できるかな～？ムリちゃうん？？」

　「だってアンタ、新婚旅行先で

　『明日からのマウイ行きキャンセルしてホノルルに残りたい』

　って言ったやん？」（当時旅行会社勤務の私が手配し、国際電話でこんなことを言ってきました）

　「そうやな～。聞いてみるわ。」

　そして兄は金曜日の朝、関空着で帰ってきました。

　スーツケースを持って病院ロビーを黒い顔でうろつくのがみっともなかったです。

　父の手術中、「社長が手配してくれたし、心配してくれてるからさ～サイパンに電話する。」

　と言いながらも「なんて言ったらいいん？」と聞いてきます。

　「わからん。ジャパニーズスピーカープリーズでええんちゃうん？」と適当に答えると、

　「ケータイから国際電話かけられへんよな～。公衆電話行ってくるわ。」

　と去っていきました。

　か、かけれると思うんですが・・・と思っていたら

　「国際電話ってどうやってかけるん？」

　と戻ってきました。

　その間にケータイからの国際電話のかけ方をｉモードで調べていたので教えてあげました。

　


　そして手術後、数週間経ち・・・

　父が私に言いました。

　「ヒロは、手術の前の日徹夜して飲んでたんや。」

　と、まるで本人から聞いたような口ぶりで話します。

　「あんな・・テカテカのドス黒い顔でやってきて・・・

　あんな汚い顔になるまで飲んで・・・ヒロはいくつになっても落ち着かん。」



　違うよ・・・違うよ、お父さん。

　たしかに、たしかにみのもんな風のテカリと黒さだけどさ。

　いつも飲んでばっかりだけどさ。

　今回は違うの。

　ビーチで軽くシャワーを浴びたまま飛行機に乗ったの。

　グアムで６時間ぐらい待ち時間があったらしいの。

　その足で病院にやってきたの。

　っていうか、お父さんがタイヘンだって時期に


　サイパンで遊んでたの。