いつもお世話になっております。去年、T-29をS字に改造した改29を発表したわけですが、いろいろ思うことをもありまして、作り方まで発表することを躊躇しておりました。しかしながら、自分のアイデアが他人の幸せになるのも良いだろう…とこの場を借りて製作方法を発表することにしました。毎日、当ブログをチェックしてくださっている皆さま、お待たせいたしました。
このT-29をS字にしたいのだが、S字にするためにはどうすればよいかというと、
リップをなくし、沈める
以上これだけでございます。ただ、いくつかコツがあるのでその部分を今回皆さまに伝えてみようと思う。
まず、ボディーが沈む姿勢について話しておきたい。
ボディーは必ず(または極力)頭と尻が同じ高さで沈むように沈むようにしなければならない
極端な頭下がりになったり…
尻下がりになったりしてはいけないのだ。
確認のためもう一度言うが、ボディーは水面に平行もしくは最低でもやや頭下がりぐらいに仕上げておこう。
ここまでの説明で肝心なことは8割方述べている。あとはご自分の好きなように鉛を詰めていけばよい。ただ参考程度にワタシの鉛の詰め方をここで紹介しようと思う。
このT-29の改造で一番厄介なことは、メーカーの製造段階で個体によってボディーの大きさも鉛の詰め方も全然違うということである。「この位置にこれだけの鉛を詰めれば上手く沈んでくれる」という話ではないのだ。
ワタシ的にベースに考えている鉛の配置は以下の通り。
赤い番号は鉛を入れる順番
黄色い番号は丸オモリの号数を示している
1番目と3番目に入れる鉛の号数を4or3としているが、ボディーによってその辺も臨機応変に対応していただきたい。経験からいうと4号だと沈下スピードが速くなりすぎてしまうように思う。かといって3号だと沈まない可能性も出てくるように思う。あくまでこれはワタシの配置である。要は前に書いたとおり「沈みさえすればいい」のだから、ご自分のこだわりのシンキングスピードを追求して鉛を配置してもらいたい。(お勧めは超、超、スローシンキング)
では改造に入っていこう。
まずリップを折る。
この29のリップは意外に弱く、ノコギリその他のもので切れ込みを入れてやるとすぐに「パキッ」と折れてくれる。
その後金ヤスリででっぱりを無くす。
この時注意したいことは、金ヤスリでボディーを傷つけないこと。ワタシも既に何体も製作しているが、何回やっても口元にキズがついてしまう。コツとしては、粗方削れてきたら目の細かいヤスリに変えて削ることだろうか…。そうすることにより傷つく可能性も減ってくるだろう。
削り終わったら、S字の泳ぎを邪魔するヒレを取る。
2連結されているボディーのうち前側のボディーのヒレはすべて取り除きましょう。後ろ側のボディーに付いているヒレは残しておいても構いません(尾びれは絶対に残しておいてください)
次に鉛を埋める作業に移ります。
まず既製の状態で鉛が入っている場所は以下の通り。
黒い丸で囲んでいる場所に、鉛が入っている。完全に浮くルアーのくせになぜ入っているかというとボディーを水面で立たせるためである。
で先程も触れたが、紫の四角で囲った位置に鉛を仕込もうと考えている。
仕込む鉛は市販されている丸オモリ(玉オモリというのかな?)。まず今回は1番~4番の順に3、3、3、2号の鉛を詰めようと考えている。
鉛をトンカチで四角く形成する。
以外と思うかもしれないが、鉛というのは案外柔らかく形成しやすいものなのだ。
形成し終わった鉛。ボディーにハマるように形成しよう。
何とか、入りそうだ。
ここでウエイトボックスの制作に入る。ここで用意するものは、彫刻刀。小学生が使うようなもので構わない。
掘り進んでいると、既製のオモリが顔を覗けてくる。

サイドの土手を崩さない様に慎重に慎重を重ねて、鉛を摘出する。
摘出した後も、すでに四角く形成した鉛がハマるように、四角くウエイトボックスを彫っていく。
もう少しでハマりそうだ…。
軽くトンカチで鉛をたたいてやると、無事鉛が納まった。
すぐさま針を付けて、風呂場で浮かべてみる。、
以後同様であるが、必ず一つの鉛を入れる度に針を付けた状態で水辺でシンキングテストをしてみること!!これは結構重要なことで、先程も書いたとおり個体によって状態がバラバラであるがために、確定した鉛の重さや位置で思うように沈まない可能性があるのだ、というより思うように沈まないことがほとんどである。大切なのは個体によって鉛の重さ、位置を変えてやること、これが鉄則なのだ。
そら見たことか…。ご覧の通り、今回の個体は尻側が異常に重い。こんな状態のものに2番目の場所に鉛を追加したら、バランスが崩れてしまい、平行に沈まくなってしまう。(ちなみに今まで作った10個のうち2個がこのような尻下がりの個体であった。他の8個は最初に指定したワタシがベースと考えている場所で上手く沈んでくれている。)
ここで作戦変更。この状態のものを上手く平行に沈めるためには、2つあるボディーのうちの前側にオモリを入れなければならない。今さっき3号玉を仕込んだのだが、1、3番の場所に4号玉を入れて沈ませようとワタシは考えた。
4号玉を四角く形成。
若干ウエイトボックスを彫り拡げたが、無事4号を入れることに成功。
3番の場所も彫り進めていく。
予定の4号が入るように、四角く彫り拡げていく。細かいことをいうようだが、この場所はルアーのエラの部分にあたり、鉛を摘出したり、掘り広げるにあたって崩れやすいので細心の注意が必要である。またメーカー側もいい加減であるせいか、鉛の位置が中央部より右、左にずれていることがある。そうなると自分が作った四角い鉛は中央に置くことになるので、必然的にキズ穴が大きく見えてしまうことがある。
無事、装着完了。今回はメーカー側がちゃんと中央ラインに入れていたため、傷も最小限で済んだ。
鉛を埋め終わったら、すぐに風呂場へ直行。針をつけ直して、浮かべてみる。(ちなみにワタシとしてはこの状態でスローシンキングになっている予定である)
あと、少しなんやけどなぁ。沈みきらなかった。
ここで考えられるのは、4番の場所に2号のオモリを入れること。または1番と3番に入れたオモリの上に板鉛を貼ること。
今回実は板鉛を貼ってみたのだが、それでも沈まず、板鉛で沈めるとなるとかなり盛り上がってしまい、見た目的にも不細工になるので今回は中止した。かといって4番の場所に2号玉の鉛を入れるのも、2号では重すぎで頭下がりになってしまいそうだったので中止。1号、またはそれ以下の鉛を入れたいがあいにく持ち合わせていない。
そこで考えたのが、スプリットショット用のガン玉であった。ガン玉をハンマーでたたいて、平たくし、ウエイトボックスに入れて、四角い鉛で蓋をするようにしてみた。
分かりづらいと思うが、元々入っていた鉛の位置に、平たくしたガン玉が上手くハマるようになっている。
無事、装着完了。
針を付けて浮かべてみる。
なぬ、あと少しであるが浮いてしまった。
そこで板鉛を貼ってみる。
無事沈んでくれた。これで一応、S字に泳ぐようになっている。
いったん入れた鉛を外し、瞬間接着剤をつけて鉛を仮止めする。
仮止めをしたら、使わなくなった汚い用器(洗面器、バケツなど)を用意し、水を張り、その中でヤスリで鉛の角を落とす。
この時は
必ず、水の中で削るなどして、鉛の粉末が体内に入らない様に心がけること。専門でもないのであまり詳しいことは分からないが、鉛は体に毒らしい。
角を落とすのは、単なるビジュアルの問題だ。気にならない人間はそのままでも良いと思う。削る場合はできるだけ左右対称にすること
まぁこんなもんだろう。
今回、鉛を削ったせいか、3番の位置にも板鉛を貼り足すことになったが、無事沈んでくれた。もちろん、超超スローシンキングに仕上がっている。
最後の最後に、市販のエポキシ接着剤を傷口が埋まるように薄く塗布する。
塗布する場合の注意点としては
必ず、傷口の水気を無くすこと。水分があったら、エポキシは白く濁ってしまう。
塗布したら、腹側を上に向けて一日乾かしておく。
一日後、完全に乾燥しきったら出来上がりである。
どうでしたか?一応、今回はこのような製作段階となってしまいましたが、要は最初に書いたとおり、
平行に真っ直ぐスローシンキングするようにすれば良いのです。沈めるにあたっては、個体により微妙に鉛を埋める位置や重さが変わってきますので、
くれぐれも鉛を入れたら、一回一回針をつけ直して水の中でシンキングテストをしてみてください。それにより、場所や重さを変えていくんです。
このリアルさと言い、きっと大物を引き寄せてくれるに違いありません。ぜひ、お試しあれ。
あっくれぐれも製作するに当たっては自己責任でお願いいたします。
明日もビガワン。