田の神様のつぶやき

歳とともに憂国の情深まり、日本の将来を政治経済の在り方から見つめていきたい。

「大阪都構想」に対し“市役所も市議会も今のままでよい”という意見、面白いね

2015-03-14 17:01:15 | 日記

 今日の私のとっている地方紙(共同通信面)で「大阪都構想-住民投票」識者の見方として、二人の学者が論じておられます。龍谷大学の富野暉一郎教授は「大阪市にとっての利益だけが対象となり、大阪府と大阪市の二重行政の解消などの経済的な側面に矮小化された安易な議論の傾向に危惧を感じている。」と述べておられ、慶応大学の上山信一教授は「“都市の経営機能回復を”と題して、都構想が必要だと考える。」としておられます。

 このお二人の都構想の意見は、ぜひ大阪の方に知ってほしいと思い、同じ共同通信の記事を使っている大阪日日新聞に聞くと、今日はこの記事は載せなかったとのこと。そこで、私も大阪が都になることを期待するものとして、以下上山教授の論文の一部をそのまま紹介させてもらうことにしました。

 「議会改革や選挙区の見直しのためにも都構想が必要だと考える。反対派の筆頭格は現職の市議会議員たちである。今の市議会は、24ある区ごとの中選挙区制で、わずか4千票ほどで当選する人もいる。これが5区に統合されると広域からの支持が必要となり、失職するリスクがある。彼らは市役所も市議会も今のままでよいという。」          都構想反対の多くの市議たちは、大阪のことより、自分の大切な仕事・議員という職を守るために反対しているのかもしれませんね。

 「市民の中にも反対派はいる。府と市を統合せずとも、二重行政は話し合いで解決すればよい。誇りに思う大阪市がなくなるのは寂しいと思っている。」 上山さんは大阪市生まれと書いてあります。大阪市を愛する気持ちは市民と同様、文面を見るとそれ以上かもしれませんね。しかし、愛すべき大阪がどんな状態なのかを市民の方よりよく知っておられるはずです。教授は、大阪府と大阪市の特別顧問もなさっており、両行政を知り抜いたうえで、市民の期待する話し合いの解決策は無理と見られているようですね。

 「この30年来、大企業本社の流出が相次いだ。大阪府内の総生産(GDP)が全国に占める割合は、今や8%弱にまで下がった。経済の悪化とともに失業、犯罪が増え、大阪は今や各種指標の全国ワーストランクの上位を独占する。大阪市・大阪は瀕死の重体にあり、起死回生を必要とする。大阪市を五つの特別区に分割することで、自律改革ができない市議会と機能不全に陥っている巨大な市役所の組織を解体し、都市の健全な経営機能を回復する意義が大きい。」 

 大阪府と大阪市は、歴代の知事も市長も一級の方々だったし、どちらの職員も優秀であったはずです。しかし、両者が大きな力で対峙していたことにより、大阪全体の発展を阻害していたのは明らかです。大阪都構想を認めない代わりに、「大阪戦略調整会議」で話し合えば二重行政の弊害は防げるというのも苦肉の策、歴史が証明しています。地元の大阪日日新聞こそ、この共同通信の大阪都構想に対する識者の見方は市民に紹介すべきでしょう。また、各メディアも、利害に絡む市議の意見をそのまま記するのでなく、分析論評を添えてほしいものですね。

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大阪都構想で、腰の引けた反論はやめ、中身のある徹底討論を

2015-03-12 15:46:36 | 日記

 大阪都構想で、日経新聞“大阪のかたち”シリーズに、自民市議は「1つの市でできている事務を5つに細分化することでコストが生じる」と言っているらしい。私は、今まで競合していたインフラ整備や産業振興など広域行政機能を大阪府に移管し、この分野の職員を減らすことによるコスト削減の方がはるかに大きいとみている。しかも、競合分野は市行政の中でも、府職員に負けない優秀な職員を配置していた部署のはずだ。競合廃止により、本来の住民サービス分野での職員のレベルアップが図られ市行政は向上することになる。若干の初期投資や、人件費のある程度の増減はやむを得ないものであり、「一部の区の新庁舎完成まで、職員はどこで執務するのか」(公明市議)など些末な疑問は、反対の材料探しにしか見えない。今必要なのは、なぜ大阪都構想が必要なのかの議論である。

 道府県は、国と市町の間にあって調整機能も大きな仕事である。ところが、大阪府の場合、大阪市の財力・権限のウエートがあまりにも大きいため、大阪市に対してだけでなく周辺市町に対する調整機能も大変なものがある。前回と同じことを述べているが、一般市民には分かりにくいと思うので具体例を示す。かつてラスパイレス指数(国家公務員と地方公務員の給与比較)で、全国の上位は大阪市をはじめ大阪府の市町が占めていた。これは大阪府の指導力の弱さか、大阪市と同様府下の市町が無視してきた結果だった。その他、これもかつての話になるが、戻し税を生保所帯に給付する際、大阪府下の市町は協力を拒んだと聞く。大阪府・市の二重行政の解消は、大阪府の機能強化となり、ひいては関西全体の発展につながる。

 気になることは、野党各党が討論形式の住民説明を避けていると報じられていることだ。「討論が得意な橋下氏と論戦は避けたい」(自民市議)、「市長に答弁を求めると、かえって市長の宣伝になってしまう」(共産市議)、と書いてある。まさに“何をおっしゃるウサギさん(たち)”の感じだ。特に自民党、情けない。自民党は、いずれ憲法を改正しようとしているが、憲法改正前に各党と十分な議論をした上で、国民投票に持っていく覚悟がなければならない。大阪都構想は、地方版であっても政策選択の住民投票を行うものであり、直接民主主義の試金石となるわけだ。住民投票の前の徹底的な議論なくして民主主義は育たない。大阪都構想での議論をしたくないのであれば、憲法改正もやめようよ。

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「大阪都構想」街頭演説より公開討論で

2015-03-05 00:09:18 | 日記

今大阪では「大阪都構想」の住民投票が5月に実施される見通しの中、賛成、反対の立場から街中で訴える活動が盛んになっているそうだ。日経新聞では、2月16日に“大都市、統治改革なるか”と大阪都構想の特集記事を組み、また日経系のテレビ大阪では、2月28日に2回の特集番組を放送した。私は、大阪府の隣の県に勤めていたことから、一般の方より府・市を知る者として、大阪が都になることは、わが県にとって脅威である一方、関西全体の活力導入につながるとみている。

特集記事や特集番組を拾らいながら、私なりの意見を述べたい。大阪都構想は、広域行政機能を大阪府に集約する一方、大阪市は今ある24区を5つの特別区に再編する。特別区の区長や区議会議員は選挙で選ぶことになる。府に集約するのは、港湾管理や大規模開発などインフラ整備や産業振興、防災・消防などである。一方、区が担うのは、住民登録や子育て・福祉、小中学校教育などである。さらに、保健所や児童相談書、教育委員会も各区に置き一部東京都の区より機能拡大を図るそうだ。

特集記事の導入部で「ヒトやカネが集中する政令市は一般の市よりも大きな権限があり、道府県と競合する面がある。そこで、大阪都構想は---」と入っていくのだが、私は、大阪府の場合、大阪市の集中するウエートがあまりにも大きいため、国と市町の間にあって単に大阪市に対してだけでなく周辺市町に対する調整事務も大変なものがあったことを知っている。港湾管理では、大阪府は堺泉北港を管理し、大阪市はその何倍かの大阪港を管理していた。また、産業振興では、大阪市の関西財界との関係はきわめて大きく、大阪府をしのぐ影響力を持っていたと思う。大阪府・市の関係は、他の道府県の政令市との競合どころか、逆転していた面も多くあったはずだ。

大阪都ができたならば、大阪財界は今までのように犬猿の仲だった大阪府と大阪市に気を使わず、大阪都と一対になって国内外に経済力を伸ばし、特に東南アジアへは地の利を生かした積極的な事業展開が可能となる。大阪財界も期待しているはずだ。そうなれば、東京へ本社機能を移していた(元)関西財界も大阪に戻り始めるだろう。私は、大阪都構想の最大のメリットは、単に重複施策・事業の解消だけでなく、今までじり貧を続けてきた大阪経済の活性化にあるとみている。

日経特集は、大阪都構想を解説しているが、メリット、デメリットの分析はしていない。ただ、見出しに“移行コスト最大680億円”とあり、「初期投資がかかりすぎる」とする反対派の意見を紹介している。ところが、2月27日夜の池上彰、大阪を考える特番の“大阪都構想の未来は”で 落語家・ざこば氏が、この680億円について「初期投資がいるのは当然とちゃう(違う)。」と、言外にバカといっているのが聞こえた。大阪市、大阪府ともに何兆円の予算を組む中で、反対派の「イニシャルコスト、市民税の無駄使い」はいただけない。

同日27日昼、これもテレビ大阪の特番、“橋下市長が緊急参戦「都構想」VS共産党”も見たが、橋下市長の都構想の説明に対して、共産党の府議(市議?)は首を横に振るばかりで具体的な(反対)意見は聞き取れなかった。終わりの頃、若い女性の出演者は「共産党の方だけでなく、他の党も来てほしかったですね。」と言っていた。さっそく、Wikipediaで反対派の「批判」を見ると、自民党「大成の大合併に逆行する」等、民主党「民活導入は公務員が失業する」等、共産党「是正措置が大がかりすぎる」等、何を言っているのか分からないような理由が上がっている。

ただ、自民党大阪府連は都構想の対案として総合区を設置して、「大阪戦略調整会議」で知事や政令市長、各議会の代表らが政策を協議すれば二重行政の弊害は防げるとしているようだ。私はかつての仕事の関係で、大阪府や大阪市の元職員の知人を持っており、その方々にそれとなく聞いてみると、長い歴史の中で、今の府・市の関係は珍しい(良い)状況であり、いずれかつての大阪府と大阪市に帰っていくだろうとのことだった。ここに、統治機構の改革、大阪都構想の意味があるようだ。

2月28日の日経新聞(夕)“都構想、街中でも論戦”記事、「都構想は日本の将来像」、「都構想は大阪市を壊すだけ」、「特別区設置の効果額は年一億円程度だ」などが飛び交っているとのこと。大阪市民にとって、どちらを信じたらいいのか判断できないだろう。大阪都構想を最終的に決定するのは市民の住民投票、しかも人を選ぶのではなく大阪市の仕組みを変えるのか変えないのかを決めなければならない。そのためには、ぜひとも公開の場で大阪都構想のメリット・デメリットの討論を展開しておく必要がある。日本初の直接民主主義による政策決定、メディアの協力は欠かせない。

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