今日の私のとっている地方紙(共同通信面)で「大阪都構想-住民投票」識者の見方として、二人の学者が論じておられます。龍谷大学の富野暉一郎教授は「大阪市にとっての利益だけが対象となり、大阪府と大阪市の二重行政の解消などの経済的な側面に矮小化された安易な議論の傾向に危惧を感じている。」と述べておられ、慶応大学の上山信一教授は「“都市の経営機能回復を”と題して、都構想が必要だと考える。」としておられます。
このお二人の都構想の意見は、ぜひ大阪の方に知ってほしいと思い、同じ共同通信の記事を使っている大阪日日新聞に聞くと、今日はこの記事は載せなかったとのこと。そこで、私も大阪が都になることを期待するものとして、以下上山教授の論文の一部をそのまま紹介させてもらうことにしました。
「議会改革や選挙区の見直しのためにも都構想が必要だと考える。反対派の筆頭格は現職の市議会議員たちである。今の市議会は、24ある区ごとの中選挙区制で、わずか4千票ほどで当選する人もいる。これが5区に統合されると広域からの支持が必要となり、失職するリスクがある。彼らは市役所も市議会も今のままでよいという。」 都構想反対の多くの市議たちは、大阪のことより、自分の大切な仕事・議員という職を守るために反対しているのかもしれませんね。
「市民の中にも反対派はいる。府と市を統合せずとも、二重行政は話し合いで解決すればよい。誇りに思う大阪市がなくなるのは寂しいと思っている。」 上山さんは大阪市生まれと書いてあります。大阪市を愛する気持ちは市民と同様、文面を見るとそれ以上かもしれませんね。しかし、愛すべき大阪がどんな状態なのかを市民の方よりよく知っておられるはずです。教授は、大阪府と大阪市の特別顧問もなさっており、両行政を知り抜いたうえで、市民の期待する話し合いの解決策は無理と見られているようですね。
「この30年来、大企業本社の流出が相次いだ。大阪府内の総生産(GDP)が全国に占める割合は、今や8%弱にまで下がった。経済の悪化とともに失業、犯罪が増え、大阪は今や各種指標の全国ワーストランクの上位を独占する。大阪市・大阪は瀕死の重体にあり、起死回生を必要とする。大阪市を五つの特別区に分割することで、自律改革ができない市議会と機能不全に陥っている巨大な市役所の組織を解体し、都市の健全な経営機能を回復する意義が大きい。」
大阪府と大阪市は、歴代の知事も市長も一級の方々だったし、どちらの職員も優秀であったはずです。しかし、両者が大きな力で対峙していたことにより、大阪全体の発展を阻害していたのは明らかです。大阪都構想を認めない代わりに、「大阪戦略調整会議」で話し合えば二重行政の弊害は防げるというのも苦肉の策、歴史が証明しています。地元の大阪日日新聞こそ、この共同通信の大阪都構想に対する識者の見方は市民に紹介すべきでしょう。また、各メディアも、利害に絡む市議の意見をそのまま記するのでなく、分析論評を添えてほしいものですね。