遊文堂ぶろぐ

天下御免の落書文章サイト、のブログ版です。取り立てて見る程価値のあるものは御座いませんが、ごゆるりと(管理人ドモ)

小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』ハーラン・エリスン

2004-08-04 13:36:51 | ドモの読書感想
 大して読んではないものの、トラックバックを試したくて書評みたいなものを書きます。
 『恋するソクラテス』との関連に対しては、ナオニさんのブログを参照のこと。
 で、書評ですが、短編集ではあるものの、まだ先頭にあった表題作しか読んでないので、あしからず(すらすら読めない作家なのだ。)。
 このハーラン・エリスンという作家は個人的に重要な作家であるような気がして(暴力が主題という意味で)大分前から注目していたにも拘わらず、長いこと読まないでいました。理由としては邦訳された本自体が見つからないことが大部分を占めています。
 そして例の『エヴァ~』でタイトルに使用されるという経緯を経てから、やっとのこと本屋で『世界の~けもの』を見つけたんですね。
 買ったのも大分前の話になりますが、読んだのも内一本のみという惨状を見れば、いかに読んでて疲れるか分かると思います(寝る前に心地よく読むのが好きナノ)。
 内容としては、悪い意味で期待を裏切られなかった、と言うべきか。あまりに抽象的で難解な気がします。
 出だしは、ある男の凄まじい暴力的描写で始まります。妙にリアルで印象に残るその男が、遙かな未来、遠い場所で彫像として残る謎。というところから始まり、舞台は時空列を超越した全ての中心である交叉時点へと移ります。そこでは、狂気にまみれた退廃性の力線をあらゆる生物、場所に放出しており…
 …この書評、嫌です。とにかく気の遠くなりそうな時間の流れと場所への変化を描いており、それに頭を付いて行かそうとするので精一杯。物語の大筋は分かったとしても、そこにどんな教訓があるのか分からず、いや、教訓、答えなどありもしないというのが主題かも知れない。とまで考えてしまう作品でした。
 つまり、何かしら重要なことを書いているような気がするのですが、言葉にできない。そういう言葉にできない感動のために小説という表現があると感じさせる作品でした。
 重要なのは、心に留めておくということだと思います。それがいつか自分自身の人生経験とぶつかって、その真の意味が理解できることこそ文学の醍醐味なのですから…。
 それにはおあつらえ向きのかっくいい文章、事象だと思います。