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日常の雑感をそれとなく

118 トランプ大統領の矛盾

2018-03-11 12:34:47 | 思うこと
トランプ大統領が鉄鋼とアルミの輸入品に25%と10%の関税をかけると
言い出しました。アメリカの国益のためと言っていますが、国際競争力を
なくした米国の鉄鋼・アルミ産業の保護政策であり、一時的にその産業は
潤っても国際自由貿易を否定する事になるので、長期的に見てアメリカの
国益は損なわれます。

日銀の黒田総裁が必死になってインフレ2%を達成しようとしていますが、
一向に実現出来ません。インフレにならずに、今は何故デフレ気味なので
しょう。私なりに考えてみました。

デフレ傾向なのは、物が安く作られて豊富に出回っている事に加えて豊かさ
の中で欲しい物が少なくなって来ているからです。そして価値を生み出さず
途方もない消費だけをする戦争が無くなっている事もデフレを支えています。

では何故、物が安く作られる様になったのでしょうのでしょう。二つの要素
があると思います。それは①科学技術の進歩と②分業の進展です。この事は
江戸時代と現在を比較すれがよく分かります。江戸時代の生産はすべて人力
でした。しかし現在では手足の代わりに機械が仕事をし、頭脳の代わりに
コンピュウターが仕事をしており、そのスピードと正確さは両者間で雲泥の
差があります。綿花は日本で栽培されていましたが、明治維新後はすべて輸
入品になり、国際分業の恩恵を受けています。

近年エレクトロニクスの進歩はスマホでよく分かる通り、著しいものがあり、
そのエレクトロニクスの科学技術は生産面で劇的コストダウンを実現させ
ています。分業においては、グローバル化が加速して国際分業による最適地
生産とスケールメリットによる桁違いのコストダウンが計られています。

トランプさんは、この恩恵の中の国際分業を否定しようとしています。従っ
て、米国民は競争力が無くなった高額の国内生産品もしくはそれと同値の高
関税品を買わねばならないので得にはならず、最終的には損になります。

米国国民全体の為ではなく、選挙で自分に恩恵が得らる業界の方だけを見て
政治をしようとするトランプ流政治は、天に向かって唾するのと同じで、
その唾は他国の報復を招いた国際分業否定の唾となって、自らの顔に落ちて
来るのは明らかです。生産性を高めて価値を生みだす国際貿易を否定して、
高関税で我欲だけを通そうとする政策は過去にもありました。しかし結果は
戦争と言う悲劇を生みました。

”愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。トランプさんは、早晩、歴史に学
ばざるを得なくなるだろうと思います。

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