「狂犬」などではなく～HERO'S韓国大会・柴田勝頼の試合を観ての呟き

『HERO'S』10.28韓国大会の中継録画で、柴田勝頼VSホ・ミンソクの試合まで見終わったところ。隣の部屋の音声からすると今たぶん、デニス・カーンVS秋山の試合やってるけど、明日以降時間ある時観るからいいや。
　試合結果はとっくの昔にスポナビに出てる（…格闘技のページを開けるだけで、秋山戦の結果が思い切り写真入りで出ちゃってるってどうなのよ？放映前は結果をどこでも観ない・耳に入れないよう気をつけてたのに台無し）んでですが。柴田、２ＲでKO負けを喫しました。

　今回の柴田勝頼は、気持ちと、技術（戦略も含め）の間で引き裂かれた状態で試合してるように見えました。狂犬などではない、素で必死に闘っているひとりの若い選手、真剣に苦しんでいる選手に見えました。そんな彼を観ていて、辛いというより、何か考え込んでしまった。

　総合の打撃はよくわからんのですが、観たままの感じで言えば―ほぼスタンディングでの打撃戦になった試合に現れた要素のそのほとんどにおいて、柴田のほうが優れていると思えるものはなかったです。柴田がパンチを一発繰り出せばミンソクからは2発3発と返ってきて、ヒット率でもミンソクが上回ってた。パンチで相手を倒せるかどうかは、パンチンググローブをはめている場合は必ずしも重たくなくてもよいのですが、総合の薄いグローブでは重さがやっぱりかなりものをいうんじゃないか。その重さでもミンソクが上のように見えました。そしてさらに膝蹴り。ミンソクの膝は柴田のボディに、顔面にずっしり食い込んでた。
　ミンソクの重たく手数も多い攻撃に対し、では柴田のディフェンス技術はどうだったのかといえば、ここに進歩があまり見られない…膝の防御も、マウントとられてからの動きも、相手の体重が重かったとはいえ、柴田に出来ていることが思いのほか少ない気がしてならないです。

　ふだん私は柴田の試合を観て、技術面云々という分析的な見方は殆どしないんだけど今回はしてます、というかせざるを得ないというか。勢い、情熱、気持ち、柴田はこれらを有り余るほど持っているファイターで、それは今も変わりがないと思ってます。而して総合格闘技の経験と技術において、彼が今何ほどなのか、どれだけ「持たざる者」なのかがひと試合ごとに露になってきている。そんなふうに感じます。
　完全に否定的な意味で言っているのではなく、柴田自身も、観ている側も、現実が惨くてもそれに向き合う過程にいるのかなと。そんなのできれば観たくないですよファンとして。そういう過程は絶対必要なのでいいんです。ただそれって本来はHERO'Sのような地上波中継のあるいわば「晴れ舞台」で見せるものではない。晴れ舞台は経験や努力で学んだものを結実させる場であってほしいもん。
　しかし柴田には絶対的に経験を積める場が足りていない。経験少なくしてあんなリングに上がれるのは恵まれている反面、剥き出しにされると本当に辛いし苦しいだろうと思う。今のように試合をしながら、負けがこんでもとにかく経験を積めよ、積んでくれよと、応援する側としては悔しい思いもしながら、でもファンだからね…そう、ファンならば気長に付き合っていくことはできる。しかし観ている人すべてがファンなわけではなし。今、こいつには負けることも大事なんですと言って許されるなら、選手は誰も苦労しない。そんなに悠長なことを言っていられるほど、あのリングの上にスペースはないでしょう。上がってきたい選手はいくらでもいる。現に、ファンだから気長に待てると言いつつ、私自身も、ひとたび彼がHERO'Sに上がるとなれば、前回から何か成長した柴田であろうと期待しちゃってるんだから…
　じゃあどうするのか。本当は他のリングでもできる限り試合したほうがいいと思う。もしそれが難しいなら―試合という実践の場に代わる経験を、どこでどうやれば積めるのかわかりませんが、何とかならないのか。スパーリングの回数なのか相手なのか、何かできることはないんだろうかなぁ。

　…そんなこと、私が心配しても始まらないんですがね^^;　何であれこれ心配しちゃうかな、こと柴田に関しては。
　あーもう今日は寝よう



　 　←参戦中！