観戦記～Ｋ－１ＷＯＲＬＤ ＧＰ ２００８ in YOKOHAMA

　昨日は横浜アリーナにて「Ｋ－１ ＷＯＲＬＤ ＧＰ ２００８ 」を観戦してきました。
　横浜アリーナへ行くのは初めてだったのですが、席を選べばかなり見やすい会場ですね～（今回は階段状の席の前から6列目）。武道館の１Ｆスタンドと同レベルの印象です。あのくらい見やすいならば12月の決勝トーナメントも観に行きたい、と今から既にその気です^^ しかしあれですね、ＭＡＸよりもＧＰシリーズのほうが、舞台装置や演出には明らかにお金かかってますねぇｗ
　試合に関しては面白かった試合と、かなり…な試合、入り混じっていたと思います。今回はワンマッチ大会ということで日本人選手の出場が多かったけど、こちらもいい試合した選手、ちょっとなぁ…という選手それぞれでした。
　試合経過はスポナビにもう詳細が出ていますので、個人的に簡単な感想を。
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☆第２試合：ハリッド“ディ・ファウスト”　ＶＳ　アレキサンダー・ピチュクノフ。ハリッドはかなり頑張っていたと思います。身長差がかなりあるピチュクノフ相手に、延長含めて５Ｒ、ぼろぼろになりながら粘り強かった。でもヒザを警戒すれば間合いをなかなか詰められず、詰めてパンチで攻めればヒザが飛んでくる、という状況の中、ラウンドが進むに攣れ蹴りでもらったダメージが蓄積してパンチの威力やスピードが落ちてしまったように見えました。結果、判定はピチュクノフに。
　ハリッドはパンチで打ち合える相手だと非常に面白い試合になるんだけど、極真勢のような相手をどう崩すかが上にいけるかどうかの鍵になるのかもですねー。

☆第3試合：ピーター・ボンドラチェック　ＶＳ　野田　貢。前回、シリル・アビディを倒して涙を流さんばかりに喜んでいた野田、今回は非常に落ち着いた試合運びだったように見えました。
　時々飛んでくるボンドラチェックのパワフルな反撃に観ていてヒヤヒヤさせられたものの、ロープ際やコーナーにボンドラチェックを追いつめるとすかさず連打を叩き込む攻撃の繰り返しが見事でした。この先楽しみかもしれません。

☆第4試合：マイティ・モー　ＶＳ　前田慶次郎。Ｋ－１トライアウトから上がってきて、オープニングファイトを経て、別の興行では中迫にも勝って今回の本戦出場を果たした前田慶次郎。私、頑張ってほしいと思って応援してました。しかし、今回の試合内容はとても意外ですし残念です。
　この試合は地上波で放送しなかったと聞いたので、会場観戦していた人かスカパーで観た人しか実際どんな感じだったかが伝わらないかと思います。勿論、会場で観ていてもその人の見方で印象はかなり変わるものですが、スポナビの記事などを読むと、「モーに見事に勝利して、澤屋敷に次ぐシンデレラボーイ誕生！」のようなトーンになってますね。私の受けた印象は残念ですが全然違いました。勝つために試合としての面白み、醍醐味を完全に捨てたとしか見えず、とてもつまらない試合でした。トーナメントであればそれもわからないでもないけれど、今回はワンマッチ。今の彼にそこまでして勝利にしがみつかせる必要があったのか疑問…。澤屋敷選手がバンナに勝った時とは全然違うと思います。
　キャリア関係無く、勝てればそれに越したことは無いです。日本人若手選手がマイティ・モーを倒したとなれば話題も呼ぶし。逃げ回る前田選手をとらえきれなかったモーにももっと頑張ってほしかったとも思うし。それでもやっぱりすっきりしません。
　大事な本戦デビューだし、期待の若手であるだけに残念です。前田選手だけの責任だとは全然思っていません。次、彼が誰と当たるにせよ、また頑張ってほしいと思いますよホントに。今年以降のトライアウト組の目標になってもらわないといけない人なんだから。

☆第5試合：グラウベ・フェイトーザ　ＶＳ　アレックス・ロバーツ。アレックス・ロバーツの試合は以前一度後楽園ホールで観たことがありまして（その時は鮮やかなハイキックでＫＯ勝利を飾ったんでした）、今回Ｋ－１初参戦ということでちょっと応援してました。
　結果としては血まみれで壮絶なＫＯ負けでしたが、気持ちは本当に強かったです。グラウベのキレのあるブラジリアンハイキックやミドルキック、さらにはパンチの攻撃に晒されながら前に出ることをやめなかったですからねー。ロバーツが頑張れなかったのではなく、グラウベの冷静な戦いっぷりとキャリアに今回は歯が立たなかったというしかないんじゃないでしょうか。ああいうふうに前に出て闘える選手にはどんどんチャンスを与えて、経験を積んでいってもらいたいと思いますー。
　ただ、あれだけ出血していたら（ＫＯされたのは出血とは無関係だと思いますが）ドクターチェックは入れてもよかったんじゃないかという気はしました。

　☆第6試合：バダ・ハリ　ＶＳ　レイ・セフォー。個人的なメインはこの試合＾＾。この試合になった途端、入場通路脇に駆け寄って入場を待つ人の数が一気に増え、お客の期待度の高さがわかりました。
　昨年後半からいいところなし、身体さえ整えてこられなかったセフォーなので試合は楽しみながら大変心配でした。身体のほうは、彼の全盛期には比べるべくもないけどまあ昨年よりはかなりマシかなぁというくらいには絞ってきていて、入場時にも元気でセフォーらしさが見えてまずは安心。
　対するバダ・ハリはまた身体も厚みを増したようだし、落ち着いているし。何せ昇り調子な人なので存在感が回を追うごとに増してきた気がするんだよね～。線が太くなってきてカッコ良し。
　試合は始まった途端鋭い攻撃の刃が交差して会場がワッと沸きあがる。私の後ろに座ってた人が「やっぱレベルが全然違うな～」と感嘆してましたが、そう感じた人は多かったんじゃないかな。セフォーが間合いをつめるスピードがここ暫くまったく観られなかったような速さ、鋭さで、これは勝てるかも！なんてワクワク。ちょっとだけノーガードスタイルも見せてくれたしねｗ
　しかしバダ・ハリは強かった…あの打たれ強いセフォーを１Ｒでダウンさせたのは凄い。それでもすぐさま、二度立ち上がってきたセフォーも見事でしたが、その彼をコーナーに追い込みまるでサンドバッグ扱いするかのように情け容赦ない攻撃（特にフックの連打が凄まじかった…）で三度目のダウンを奪ったバダ・ハリは実に見事でした。内容もさることながら、ふたりがきっちりと見せる試合、沸かせる試合をしてくれたことで会場が非常に盛り上がりました。
　最後にはちょっと流血もしていたセフォー、バダ・ハリの攻撃をあれだけまともに食らってダメージどうだったかな…と気になっていたんだけど、セミファイナルのテイシェイラの試合の時にはリングサイドに戻ってきて、ニコニコしながら観戦してました。頑丈だー。そういう意味でも徹頭徹尾プロですね、彼は。

☆第7試合：武蔵　ＶＳ　澤屋敷純一。今後のことを考えると是非ここは澤屋敷に勝ってもらったほうがいいんじゃないか、勝って欲しいなと思ってたカードでしたが、武蔵が久々に（失礼）やってくれた感じでしたねー。入場の時から落ち着きと気魄が違いましたもん。
　


　試合内容も、初手から前に前にと出て行っていて、ああいう武蔵は本当に久しぶりに見た気がします。とにかくキックが走っていて、武蔵の武器が活きている戦い方になってたんじゃないかと。練習の成果なのか、覚悟のような心情面での変化なのか、とにかく鮮やかな勝ちという印象でした。ああいう武蔵がいつでもリングに上がってくれるとまた全体の流れが変わってくると思うんですけどね～。日本人同士の意地のぶつかり合いだけで終わっちゃうようだと意味ないですし。
　澤屋敷は前回のピーター・アーツ戦に続き今回も１Ｒ目でのＫＯ負けで、かなり悔しい思いをしているでしょうかね。思い切りしててほしいですけどね。Ｋ－１は旧世代が未だに上に居続けているからだんだん面白くなくなってるんだとか色々言われたりもしているようですが、上が邪魔なら、下がきっちり力をつけて経験積んで倒すしかないわけで。一度の勝ちや負けでどうこうなることでもないんだし、今回だってちゃんと向き合う試合はできているのだから。

☆第8試合：エヴェルトン・テイシェイラ　ＶＳ　藤本祐介。磯部師範が「無尽蔵のスタミナをつけさせた」という極真世界王者・テイシェイラのＫ－１初参戦。極真の世界大会の中継で彼の試合はいくつか見たり、インタビューを読んだりしていてどんな試合をしてくれるのかとても楽しみなカードでした。
　でしたが…噛みあってたとはいえず、試合としての面白みは感じられなかったのが残念。私の印象では、テイシェイラはよくやっていたと思います。スタミナ切れは全く感じさせなかったし、顔面ありのルールやグローブに順応していないふうにも特には見えなかった。試合運びがやや待ちになりがちだったのは、今回はいたしかたないと思います。
　今回はやっぱり、藤本が試合を作るべきだったんじゃないか。「Ｋ－１を甘く見るな」「もうちょっと練習してから来い」と言うのであれば、Ｋ－１の試合がどんなものかのか自分がテイシェイラを引っ張って、思い知らせなくてはいけなかったのでは？　顔面ありルールの恐さを一度でも二度でも見せ付けなくてはいけなかったのじゃないのかなー。　少なくとも下がる姿勢が目に付く試合をするようでは…それで勝ちを拾えたわけでもなくＫＯ負け喫した―というのは単なる結果だったとしても、会場を盛り立ててお客を惹きつける試合にできなかった、その責任のかなりの部分が彼にある気がしました。

☆スーパーヘビー級タイトルマッチ：［王者］セーム・シュルト　ＶＳ　マーク・ハント［挑戦者］。
　…シュルト強えぇ。それしかコメントのしようがないではないですかｗ　マーク・ハントならもうちょっと何とかなるかと思わないでもなかったですがねー。彼のブランクの故なのか、体格差ゆえか、シュルトがどんどん自信と技術を身につけて‘絶対王者’として成熟しつつあるからなのか。そのすべてなのかもしれませんが。この後の挑戦者選定はかなり厳しくなりそうですなー。

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　ＧＰのシリーズは次は4.26オランダでのヨーロッパＧＰファイナル。発表になってる主なカードは、

ピーター・アーツ　ＶＳ　メルヴィン・マヌーフ
グーカン・サキ　ＶＳ　ポール・スロウィンスキー
タイロン・スポーン vs Nog Niet Bekend （読めない…^^;）

この大会はＫ－１ＭＡＸの試合も組まれているみたいで、会場のサイトに出ている情報では、「アンディ・サワーＶＳジョリー・メス」「ドラゴ　ＶＳ　アルバート・クラウス」「ブアカーオ　ＶＳ　Faldir Chabhari」「ムラット・ディレッキー　ＶＳ　ニキー・ホルツケン」などが見受けられます。ＧＰとＭＡＸが一緒に観られるっていうのは、羨ましいような微妙にそうでもないような…

　←参戦中！