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米国産牛肉の輸入再開で喜ぶのは、牛丼屋だけじゃない!

2005-11-08 | 経営
いつもご覧頂き、まことに有難うございます。
なんとか、1日1本、間に合いました。


週刊エコノミスト05.11.15号で興味深いレポートがありました。
まず概略をご紹介します。
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・米国産牛肉の輸入停止に伴い、輸入牛肉関連の税収は激減。

・日本の関税収入8千億円~1兆円のうち、
 牛肉輸入分はざっと1,000~1,500億円。 

・牛肉関税分は「輸入牛肉等関税財源」として、
 農畜産業振興機構に交付され、
 「調整資金」の名のもとにプールし、
 国内の畜産業進行費用に充てる。
 いわば、農水省畜産部の隠れ予算。

・調整資金の使途は、
  ①肉用子牛価格が基準以下となった場合の補給金、
  ②食肉の価格維持、需給調整を目的とした「調整保管」費用 
  ③「その他」
  この「その他」が金額的にもっとも多く、平成17年度では
  47もの事業実施団体に総額1,600億円以上の資金が投入されていると。

・しかし、この調整資金は97年度末に1,848億円あったのが、
 BSE対策費で01・02年度合計4,000億円を使用こと等から、
 04年度末には584億円まで激減。

・今、輸入再開を誰よりも待ち望んでいるのは、
 農水省と「畜産一家」かも。

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(コメント)
・やはり物事にには必ずウラがあるんですね。
 牛肉関税が畜産利権と表裏一体であるなら、
 輸入再開の動きも理解できますね。
 しかも輸入再開で一気に牛肉が押し寄せれば、
 セーフガードが発動され、現行の暫定関税税率38.5%が
 年度末まで50%まで引き上げられ、旨みも増しますしね。

・因みに、時同じくして、WTOの農業交渉において、
 先進国における高すぎる関税率に上限を設けようとするなどの動き
 も見られ、こちらも目を離せません。
 11月7日の日経新聞では、日本の主な重要品目の税率を載せて
 いましたので以下に記載します。
  ・こんにゃくいも 1,705%
  ・エンドウ豆   1,083%
  ・コメ       778%
  ・落花生      593%
  ・バター      482%
  ・砂糖       325%
  ・大麦       256%
  ・小麦       252%
  ・小麦粉      249%
  ・生糸       245%
  ・でんぷん     234%
  ・牛肉        50%
       (暫定38.5%)

牛肉以外にも色々な「調整資金」があるんでしょうね。

もちろん関連する食品・外食産業にとっても
サプライチェーンや競争戦略に関わる問題でしょうから、
WTOの農業交渉問題には留意すべきでしょう。
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1 コメント

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喜ばないのは消費者だけですね (sho-hisha)
2005-11-09 10:41:22
こんな育てられ方をしている肉がくるそうですから。。

最近企業倫理って何?と思うことしきりです。



【牛に鶏糞】鶏糞への肉骨粉混入率を30%程度とFDA要官見積(=年間30万トン?)

http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/c35a71a82981c6c137518f281eb161c0



なお、米国はこんな問題も抱えているそうです。



狂鹿病問題:鹿ハンターからヤコブ病26名発生 そして鹿肉骨粉や油脂・エキスの行方は?

http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/fdabffcdc95ff6b4d78cad2bc71cd0a5
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