The Mystery of the Blue Train 1928
(ハヤカワミステリ文庫 1982 田村隆一訳)
追記:2023年6月
以前観た時に感想残していたとはいえ、なんか中途半端だったのねと気づき
今回の再々再・・・放送をきっかけにもう一度読み直してみたら
原作に忠実とまではいかなくて、結構変更もしてたのねと補足しました
特にポワロさんの調査員ゴビイ氏が出ていたなんて(直接ルーファスに雇われてた)不覚でした
登場人物名は原作のまま、以下ネタバレあり
エルキュール・ポワロ
ルーファス・ヴァン・アルディン (ヴァンオールデン) アメリカの億万長者
Elliott Gould
エリオット・グールドさんと言えば自分には80年代のイメージだったのですが
今回出演作チェックをしてみて意外なほど多数の映画やドラマに出演されてて驚いた
ルス・ケッタリング (ルース) ルーファスの娘 28歳 背が高くすらりとした美人
原作では金でデレクを排除しようとしたのはルスではなく、父親から指示されたナイトン少佐だったから
お金持ちの子女ゆえの純粋培養みたいなキャラで、よくいる高ビーでもないしむしろ同情するキャラ
ドラマ版ではちょっと盛りすぎで、あまりいい印象持てなかった
Jaime Murray
「華麗なるペテン師たち」や他のTVドラマでもお色気路線の女優さんなのか?ってくらい
露出度高めの印象でしたから、今回のお嬢様役でもそっち系?と予想したけど
あっさり殺されてしまいましたね、この方も2世俳優さんでした
デリク・ケッタリング (デレック・ケタリング) ルスの夫 レコンバリイ子爵の長男 34歳
ルスとの結婚時はともかく、今はミレールという愛人がいる
没落した貴族がリッチなアメリカの資産家の娘とお互いの利害関係で結婚というパターンは
年代は違えども、まさに「バカニアーズ」の世界で観たのと同じで結末も予想はできる
James D'Arcy
ジェームズ・ダーシーさんを初めて観たのは、多分1997年ミニシリーズ「氷の家」
その作品では暗い秘密を抱える家族の一員で結構印象に残りましたが
その後も着実に出演を続けているようで
「ブロードチャーチ」シリーズ2の悪い奴でしたね
「クローザー」のゲスト出演(英国俳優さんのゲスト出演ちょくちょくあった)はなんだか嬉しかった
マープルシリーズの「動く指」や2007年版 「マンスフィールド・パーク」等も
「リンリー警部」
リチャード・ナイトン少佐 ルーファスの秘書
滅多に人を褒めたりけなしたり批判したりしないルーファスとはほんの2ヶ月前にスイスで出会い
すっかり気に入られて雇われた
Nicholas Farrell
ニコラス・ファレルさんはすご~く見覚えのあるお顔なのに名前は覚えてなかった
検索したら出演作は数多く(日本語タイトルが付いている作品にも多々)、名脇役枠なのかな
2008年サリー・ホーキンズ版「説得」
アガサ・クリスティアワー「エドワード・ロビンソンは男なのだ」や
ポワロシリーズでは「ABC殺人事件」にも
アルマン・ローシェ (ラ ロッシュ)
ルスの結婚前の元恋人で父親に仲を引き裂かれたため、デリクとうまくいってないルスにつけ込む
Oliver Milburn
「刑事ジョー」に出てらしたようで、もちろん覚えはないのでほぼお初
「ルイス警部」S2E3
ミレール (ミレル) ステージ・ダンサー
原作ではデリクの愛人でも金欠状態になったデリクに離婚しないよう策を練ったり、宝石盗難にも関わっている
ドラマ版では何故かルーファスの愛人で、彼のために娘婿デレックを誘惑する役目を強いられる設定に
Josette Simon
「ニュー・トリックス」S9E3 「ロウ&オーダー:UK」 「MI5」 「内部告発」 「ルイス警部」S1E3
キャザリン(キャサリン)・グレイ 33歳 女遺産相続人
元々良家の出身も父親の破産で自活を強いられ23の時セント・メアリ・ミード村の気難しい老婦人のお世話係の職について10年
灰色の瞳、ユーモアのセンスあり(村のシーンではハリソン医師も登場)
老婦人亡きあと遺言で莫大な遺産を相続することに
(「もの言えぬ証人」のウィルヘルミナと同じような立場でしたが、こちらのキャザリンさんの方が
老婦人の親族から遺産の独り占めを非難されると、放っておけばいいと言う弁護士の説得にも関わらず
遺産からまとまったお金を出してるとか、性格も良いし、気骨もある女性)
20代のほとんど地味で平凡な生活を送って来たキャサリンは大金が入ったことで
やりたくてもできなかったことに挑戦して、まずは一流のドレスメーカーでワードローブを揃え
金目当てですり寄って来たタムリン夫人の意図を知りつつ招待を受けて
華やかな世界も経験することになり、2人の男性から好意を寄せられるも
結局は穏やかな暮らしのセント・メアリ・ミード村に戻って以前の仕事を続ける
ドラマ版では、設定は同じでも父親を破産させたのはヴァンオールデンで彼を怨んでいることが
動機になりうると、ラストのポワロさんの独壇場でするどい追及を受ける一人に
Georgina Rylance
「シャーロック」S4 E3に出てらしたようで(今度の再放送で確認せねば)
「リンリー警部」 「ニュー・トリックス」S4E5
タムリン子爵夫人 (ローズィー・タンプリン) 44歳 キャサリンの従姉
リヴィエラ社交界の花形 3度目の夫が子爵だったため称号は手放さないまま4度目の現在の夫は一文なしの27歳
ドラマ版では夫人となっていたから爵位はない設定なのかな
Lindsay Duncan
「シャーロック」レディ・スモールウッド役や新マープルシリーズ「鏡は横にひび割れて」では
マリーナ・グレッグ役も、やはり舞台での活躍も多い俳優さんのようです
チャールズ・エヴァンス (コーキー) 子爵夫人の夫 27歳の美青年
Tom Harper
「バーナビー警部」S11E1 「ルイス警部」S1E2、「刑事フォイル 生物兵器」の回に出てらしたのね
レノックス・タムリン 子爵夫人の娘
レノックスは軽薄っぽい母親とは違って、キャサリンやポワロさんとも心を開いて交流して
結構良いキャラだった
Alice Eve
こちらも俳優夫妻の2世さんで、トリビアには虹彩異色症とありましたが全く気付かなかったわ
2018年版「無実はさいなむ」 グウェンダ役
アダ・ベアトリス・メイソン ルスの小間使い 仕えて2ヶ月
Bronagh Gallagher
お顔も印象深かったけど、この方もミュージシャン系なのでした
(日本の女優さんの誰かに似てるけど、今一歩思い出せない)
「ニュー・トリックス」S9E7
ジョージ ポワロの執事 生粋のイギリス人 木彫りの面のような顔
長年貴族に仕えてきたジョージがポワロの執事になったのは、次の奉仕先を探していた時
バッキンガム宮殿で国王に拝見を許されたという記事を社交欄で目にしたため
パポポラスと娘のジア ギリシア人骨董商親子
この親子の登場する最初とラストのシーンがいまいち理解できてない
今回の再読でここにも登場してたのねと発見したゴビイ氏
ヴァン・アルディンに雇われた調査員 みすぼらしい服装の初老の男
デリク・ケッタリングについての情報を集めるよう指示される
人の顔を見ないで話すのが特徴、それまでにも2、3回情報集めに使われている
金持ちしか雇えない一流の調査員なのね
コー 警察署長
Roger Lloyd Pack
もうお亡くなりになってしまったけど、結構な出演数でこの方も俳優一家
「ハリー・ポッター 炎のゴブレット」「ドクター・ベルの推理教室」
「ニュー・トリックス」S5E4 「主任警部モース」S1E2
カレージュ 予審判事
脚色は Guy Andrews
ポワロシリーズでは他にも「満潮に乗って」「死との約束」「ヘラクレスの難業」も
火の心(炎のハート) 悲劇の宝石ルビー
今回の作品は、「プリマス行き急行列車」が原型なのですね
概ね原作に忠実で、ドラマも原作も楽しめましたが、この作品に関してはドラマ版の方が納得できた
原作は
”アメリカの大富豪の娘とほぼ利害関係で結婚したデレクは、ギャンブル依存症で金欠状態
一方父親ルーファスに若かりし頃恋愛を引き裂かれたルスは、デレクに夢中になり結婚したものの
無理やり別れさせられた相手に未練を残していたため、夫に愛人ができても気にすることもなく
父親に離婚を勧められるとあっさり承諾し、その機会に乗じて元恋人のもとに向かおうとする
その際、親馬鹿な父親から与えられた貴重な宝石[火の心]も持って行くことになり
ニース行きのブルートレインの車内で悲劇がおこる
ルスが殺され宝石強盗が目的なのか、離婚の成立していないデレクの遺産目当ての妻殺しなのか
ルーファス親子と偶然知り合ったポワロが、娘を殺されたルーファスの要望に応えて
これまた偶然知り合ったキャサリンとともに事件解明に乗り出す”
概ねと言いましたが、いわくありげな高価な宝石(ルビー)盗難と、資産家の娘殺人事件
原作ではキャサリンがルーファスの秘書ナイトンとデレクから思いを寄せられるって設定で
ナイトンはもっと若い印象だったし、ラスト近くまで犯人に結び付けなかったことや
なんと言ってもデレクに愛人(ミレール)がいたことが自分的にはマイナスポイント
だからラストでキャサリンがデレクを選んだことにモヤモヤ感が残った
{読み直してみて、デリクとは運命の出合いっぽく事件前に何度も偶然会ってたり
根本は悪人じゃなかったからこの流れも良かったのかと}
その点ドラマ版は、事件が解決してもっと旅を続けることにしたと言うキャサリンが
まっすぐロンドンには戻らずオリエント急行に乗ってウィーンへ行くわとポワロに別れを告げるから
こっちのほうが納得できたってところです。
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