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こっそり読書日記

HQの感想。ネタバレあり。

メソポタミアの殺人

2023年04月18日 | アガサ・クリスティ ポワロシリーズ

Murder in Mesopotamia  
「メソポタミヤの殺人」  1985年 ハヤカワ・ミステリ 高橋 豊訳

 

 

原作の登場人物は

エイミー・レザラン  看護婦   32歳 
原作はレイリー医師に頼まれた看護師レザランさんの手記という形で進行 
発端はレイリー医師からレイドナー夫人の付添いの仕事を頼まれる
(夫人は周期的にある恐怖症に襲われるため、付き添いが必要とレイドナー博士の希望で)  
ドラマ版のレザランさんはヘイスティングスが出ているせいもあり
役割的に半分くらいの印象でしたが
原作はレザランさんの心情がその都度語られてるから、最後まで読みながら
何か彼女が関わっているんじゃないかとか(アクロイドみたいな)思いながら
ドキドキしたけど、お供のヘイスティングスが登場しない代わりってことと
さらに女性ならではの視点で語られてるところがいつもと違う感じ
Georgina Sowerby
「MI5」

エリック・レイドナー(ライドナー)  遺跡調査隊長 考古学者  
アメリカのある博物館に依頼されてテル・ヤリミアで古代の遺跡を発掘中
レザランの印象は、話しぶりは多少神経質でためらいがち、大人しく親切でも
どこか絶望的な影のある中年の紳士
Ron Berglas
「ロウ&オーダー:クリミナル・インテント」S1E6

ルイズ(ルイーズ)・レイドナー  エリックの妻(2年前に結婚)30代後半くらい
発掘現場に来て半年も経っていない
20歳の時国務省勤務のフレデリック・ボスナーという青年と結婚後すぐに彼は出征し戦死

普段は非常に快活でめったにくよくよ考えたりしないが、何かに取りつかれているようで
相当な嘘付きで、きどり屋でちょっと変わった女性と評するレイリー医師

Barbara Barnes
ヒクソン版マープル「カリブ海の秘密」エスター・ウォルターズ

 

遺跡調査隊員

リチャード・ケアリー   建築家 40手前くらい
彼を初めてみた時のレザラン看護婦の感想は、こんな美男子初めて見たわと驚いたものの
死人のような顔をしていると不思議がる
レイドナー博士の10年来の友人で発掘にも最初から加わる5年目の古参組

Christopher Bowen
「刑事モース」S6E3獣医役のエピで見たばかりでした
「メグレ警視」 「ルイス警部」S4E2

 

デヴィッド・エモット  アメリカ人 昨年も発掘調査に参加している
無駄口は聞かず、みんなを虜にするレイドナー婦人に対しても客観的な意見を持ってる
さほど出番はなかったけど魅力的な青年

 

ウィリアム・コールマン (ビル) イギリス人 今期から発掘に加わった青年
(ドラマ版ではヘイスティングスの姉夫婦の養子)
Jeremy Turner-Welch
「外科医の恋」

 

カール・ライター 写真担当 メガネをかけた太った青年
28歳シカゴから来て、ビルと同じく今期から発掘に加わっている

 

ラヴィニ(ラヴィニー)神父 
カルタゴから来たフランス人の牧師(書板などの碑文の解読を担当) 
Christopher Hunter
「シャーロック:ライヘンバッハ・ヒーロー」 「主任警部モース」S6E3

 

アン・ジョンソン  イギリス人で家事の世話をみている 調査隊には最初から参加
ドラマ版ではレイドナー博士の右腕で博士を敬愛している  
Dinah Stabb
「MI5」 「第一容疑者」2

ジョーゼフ・マーカド   イタリア人
Alexi Kaye Campbell

マリー・マーカド   ジョーゼフの妻       ルイズを憎んでいる
Deborah Poplett

レイリー先生  外科医  
バグダッドから1日半ほどかかるハッサニーという土地で開業する外科医

シェイラ・レイリー  レイリーの娘

アブダラ       土器洗いの少年
Ramzi Brari

メイトランド      バグダッド警察署長  
Iain Mitchell
「第一容疑者:希望のかけら」 「心理探偵フィッツ」S3E6,7


シーラ・メイトランド   警察署長の娘(原作では医師の娘)
Pandora Clifford
「ヴィクトリア」 「冤罪:弁護士エマの挑戦」 「ニュー・トリックス」S8E6

 

ドラマ版のあらすじは
友人であるヴェラ・ロザコフ伯爵夫人から困ったことがあるから助けて欲しいとの手紙で
イラクのバグダッドまでやって来たエルキュール・ポワロ
ホテルに到着したものの、当のロザコフ夫人とは会えないまま
そこからヘイスティングスと彼の甥がいる発掘現場に足を延ばすも
到着早々アラブ人の作業員の一人が殺される事件が起きていた
調査隊の宿泊所に滞在することになり、不自然なぎくしゃくした空気の流れを感じたポワロは
発掘チームの一人アン・ジョンソンから、ライドナー博士が結婚した妻を現場に連れてきた時から
おかしな雰囲気になってしまったと教えられる
一方でライドナー夫人ルイーズからは、彼女の身に起きた奇妙な出来事や
初めの結婚後数日で出征した夫を亡くした彼女の元にその夫の名前が書かれた脅迫状が届いていることも聞かされる
ロザコフ夫人が姿を現すのを待つ間バグダッドのホテルと発掘現場を行き来するポワロだったが
そんな中ライドナー夫人が殺害される事件が起きてしまう
捜査を始めると聞きとりをした人々がそれぞれいろいろな嘘をついていたこともわかり・・”

原作ではポワロの出番は事件が起きてからで(なかなか出て来なかった)
たまたまシリアの軍部内の不正事件を調査していたポワロさんが仕事を終えて
観光のためバグダッドへ向かう途中ハサニーを通ることを知った警察署長が
自分たちには不慣れな殺人事件のため捜査協力を依頼する

以下ネタバレしてます

 


今回も男を惹きつける魅力ある女性を巡っての事件ということで
ライドナー夫人を殺したのは夫の博士
その博士は、実はルイーズが最初に結婚したフレデリック・ボスナー(ボズナー)
ルイズは夫が戦死したと周りに思わせていたが実は結婚して数ヶ月過ぎた頃
偶然夫がスパイだったと知った夫人は若さ故の愛国心から陸軍省勤めの父親に話してしまい
アメリカで処刑されたと聞かされる
ところが彼は脱走を計って実は生きていて、その後列車事故に紛れて別人になりすまし
博士として15年後再びルイーズの前に姿を現し結婚する
(なんつー執念、いわゆるストーカーですな)
それまでの間、ルイーズの元に恋人や結婚話が持ち上がると脅迫状が送られて来ていて
博士と結婚した後は脅迫状も届かなくなっていたが、発掘現場でケアリーと相思相愛になりそうになって(原作ではすでに関係もある)
誰かにとられるならと殺してしまう結果に

ここでドラマ版では、夫がスパイだと自分が密告したことは無かったことになってたから
そのことも含めての罪悪感からくる、元夫からの脅迫状だと思いこむ恐怖感とか
ポワロさん恒例の謎解きシーンで、心理学的な解説が伝わってこない気もする
自分が密告したから銃殺刑になって死んだと思い込んでいたわけで
周りの人たちから見た印象が違って見えるのも理解できるのに

警察署長の娘に変更されたシーラもケアリーにのぼせているんじゃなくて
青年2人を手玉に取ってる設定

 

今回も天性の魔力(男を引き付ける)を持つライドナー夫人に引き付けられる男性多々で
容疑者候補も多い
ただし今回の魔性の美女設定は、よくある女性には嫌われるタイプとは違って
(現にレザランさんはすごく好意的だったし、他の女性たちに嫌われてたのは
 アン・ジョンソンは敬愛する博士に悪い影響を与えていると思い込んでだったし
 マリー・マーカドは夫の麻薬中毒を暴露されたくなくて警戒していたという状況)
しかしながら、普段は美男美女に拘らない自分としては中心人物が美女じゃなくても構わないのですが
このお話の肝となるのは魔性の女(美人だからだけってこともないのはわかるけど)
配役のミスじゃないかと思えるくらい、もっと言えば原作での美女あげあげが違和感に思えるほど
普通の俳優さんだったような気もしないでもない
(カリブ海の秘密ではオールドミス的な女性だったような)
原作を先に読んでなかったら、ドラマ版の中盤まで美女設定などと思いもしなかった
ドラマ版では短いからさほど気にならなかったけど
原作のポワロさんの聞き取りが、夫人が美女故にの男どものそれぞれの感情って受け答えだから
今回はこの聞き取りの部分もなんだかな〜な感じで(似たような作品を読んだばかりだからか)
珍しく、ワクワク感もないしラストまで何度も本を置いてしまった

脅迫状を送りつけてきた相手として、フレデリック・ボズナーの歳の離れた弟(30歳くらいになっている)
の可能性もありかということで、若い調査隊のメンバーも捜査対象に

殺人は癖になるって、ここ2、3作でよく見かけた言葉のような気もするけど
やっぱ運に恵まれなければ、目撃者や何かおかしいと気づく人が出てくるから
そうなると殺さざるを得なくなるってことか

ドラマ版でマーカードは麻薬常習者で作業員を殺したのは彼だったけどオリジナルエピ
麻薬中毒者だけど、殺しもしてないし自殺もしてない

 

ラヴィニ神父の正体はドラマ版と同じでフランス警察に名の知られた泥棒のラウル・ムニエール
博物館の美術品などを専門に荒らし回っていて窓から覗き込んでいた不審人物は彼の相棒
アン・ジョンソンのベッドの下に血痕のついた石臼を置いたのもラヴィニ

手記のラストでは、逃げていたラヴィニ神父とその相棒は逮捕され
シェイラ・レイリーはビル・コールマンではなくディヴィッド・エモットと結婚

ポワロはシリアに戻り、1週間ほどしてオリエント・エクスプレスで家に帰りとあって
これが「オリエント急行殺人事件」に繋がるのか?

そしてレザラン看護婦は、2人も殺してしまったレイドナー博士に同情しているという終わり方

 

ポワロさんはカソリック信者

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