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こっそり読書日記

HQの感想。ネタバレあり。

Sense and Sensibility ジェイン・オースティン 感想

2012年02月23日 | 英国ドラマ

原作は 「知性と多感」 近代文芸社 駆動政司訳 

オースティンの長編作品は全部持っていると思っていたら、これだけがなかった
今回図書館で借りたハード・カバーを読んでみて、再読することもないだろうと
自分の覚え書き用に残してみました

原作にほぼ忠実だったのはドラマ版のほうでしたが、やはり時間が長い分
登場人物もほぼ同じだったり、それぞれのキャラクターも原作に沿ってる気もする

(この翻訳本ではエレノアはエリナ、マリアンヌはマリアンとなってましたので、原作表記どおりに)
映像版で理解してなかったのは、異母兄ジョンに追い出されたダッシュウッド一家の立場
エリナやマリアンの父親であるミッスター・ヘンリー・ダッシュウッドは
サセックス州にあるノーランド・パークの前当主の甥にあたり、高齢の前当主を看取り
その後法定相続人として、当主となっていたが
エリナたちの母親と結婚する前の夫人(死別)との間に一人息子がいて
そのミスター・ジョン・ダッシュウッドと彼の息子(2,3歳)に財産の半分が譲られた
(ジョンは資産家だった亡き母から相当な財産を貰い、結婚してさらに財産が増えたため
 初めはノーランドの財産を相続することに関心が無かった)
ヘンリーは叔父の遺言に失望させられるが、娘たちそれぞれに千ポンドずつ残されたことや
まだ自分も先が長いと考えていたため楽観したまま叔父の死後わずか1年で他界する
その時未亡人と娘たちに残されたのは一万ポンドだけという背景があったとわかりました
そうしてジョンの妻ファニーがしゃしゃり出てくるわけで、いつの世も嫁の器量一つってことで
ジョンも妻にいいように操られるしょぼいキャラでしたが、よくあるパターンと思えば納得できる

で、嫁のファニーが我が者顔でノーランド・パークにやって来た日にゃぁ
自分ならミセス・ダッシュウッドのように半年も我慢などできず、とっとと出ていくこと間違いなし
その部分の描写も、原作では屋敷にあった立派な家具調度品(ピアノを含めて)など
持って出ることになるから、映画版やTVドラマ版のように、みすぼらしく出ていく印象とは違い
女中も2人、下男も一人連れていくと、今の基準で考えるのもおかしいですが結構リッチでした

ダッシュウッド一家に救いの手を伸ばしたのは、母方の親戚サー・ジョン・ミドルトン
彼の妻の母がミセス・ジェニングズ
ミセス・ジェニングズの2人の娘が、サー・ジョン・ミドルトンの妻レディ・ミドルトンと
ミスター・パーマーに嫁いだシャーロット(クリーヴランド在住)
デヴォンシアでは彼らとの社交生活が描かれていて、サー・ジョンの親切心にもびっくり

ミセス・ジェニングズの親戚がスティール姉妹 
並みの容姿の姉アン(30近い)と、かなり美しい妹ルーシー(22.3歳ってことは18で婚約か)
(彼女たちが自分より上の立場の人々に媚びいる態度を観ていると世渡り上手ってことでしょうが
結局数々の策略をめぐらしたルーシーの結末がみじめでないのも、その性格が効いたのねと納得

ということで、ダッシュウッド家の経済状態は原作より映像版のほうが貧乏状態が強調されてた

背景をクリアした上でまず何が驚いたかって、原作読んでみて登場人物の年齢に驚いた
マリアンは16歳半から17歳、エリナは19歳~20歳、マーガレットは13歳~って設定で
おいおい!17歳のマリアンはともかく、エリナも19歳でっせ!
だからエマ・トンプソンさんに違和感あったんだ~と納得(この時点では原作も読んでないのに)
マリアンは典型的なティーンエイジャーだし、マリアンと似た性格の母を持つエリナにしても
しっかりせざるを得ないとはいえ、19歳だからと思えば納得できる
なのに映画版ではエマ・トンプソンさんですわ~、脚本だけに何故しとかなかった?と聞きたい

ドラマ版のエリナは演じる俳優さんを知らないせいか、20歳に見えないこともないから
不自然でもなかった
映画版のレビューなど検索すると皆さま納得されてるみたいだけど
20歳くらいであの立場と、どうしても30過ぎにしか見えないエマさんエリナであの立場では
痛々しさが全然違う
映画版もドラマ版も不満というほどでもないけど、やはり映画版は配役に無理がある・・
アラン・リックマンさんとケイト・ウィンスレットにしても30近く離れているわけで
それじゃあほんとにロリ・・じゃぁありませんかってね、歳の2倍というくらいならまだ許せる
(まあ当時は15.6で結婚もありだから、現在に当てはめるのもおかしいのですが)

そしてもう一つのびっくりが、原作を読んでみて絶対嫌いなタイプだと思っていたマリアンが
いやいや案外良い子じゃないの~ってことに
(16.7ならあの思いこみも理解できるし失恋の痛手もわかる、まだ世界が自分中心の頃だから)
それに引き換えお気に入りキャラだと思っていたエリナにガッカリさせられたのが驚きでした
確かにあの一家の中でもっとも常識人だと言うこともわかるし
優しく良き母とは言えマリアンのように短絡的な母親だから
エリナがしっかりせざるを得ないってことも良くわかる
ですが、さんざん心の中で悪口言ってるエリナさんをみるにつけ、どんどん嫌いになってく
(自分も嫌ってる奴とは話もしたくないマリアンタイプだと気づいたから)
その点、私はあなたなんか嫌い!って行動もそれに伴うマリアンのほうが素直で良いってことに
もちろんそんなんじゃぁ世の中渡っていけないし、お金持ちのお嬢じゃぁあるまいしってことですが
なんだか徐々にエリナに共感できなくなり、とどめはラストで
許しを請いに来たウィロビーにエリナが同情する場面
これで一気にエリナさんの株が下がった
あんな自己中のウィロビーなど同情の余地もないし、彼のおかれた事情が事情だからって・・って?
ブランドン大佐の足元にも及ばない虫けらですことよ!
マリアンにしたことはともかく、もう一人の犠牲者にしたことはどうでもいいのか?と問いたい
無垢な少女に手を出して捨てているのですよ~~~!!って 声を大にして言いたい
そこでエリナさんにガッカリして、エドワードと上手くいってもさほど喜べず
だってエドワードだって言ってみれば優柔不断男じゃぁありませんか?(もっと言えばひきょう者)
確かに一家を肩に背負ったエリナさんが幸せになって欲しい気持ちはあるけど
エドワードの態度も矛盾ありすぎで、婚約者に忠誠を尽くすって男らしいこと言ってても
エリナの気持ちがわからなかったって言いわけでは納得いかない
そしてマリアンとブランドン大佐の結末も、原作ではもっとゆっくり進展していって
2年後の19歳でブランドン大佐と結婚するというラストのほうがより納得できました
それにしてもブランドン大佐素敵過ぎです!
オースティン作品ではミスター・ダーシーに次いでお気に入りキャラとなりました

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