2005 9・7 宮城スタジアム
日本が5-4という壮絶な殴り合いを制し、ホンジュラスを退けました。
評価の分かれる試合内容かと思います。
日本:スターティングメンバー
柳沢 高原
中村 中田(英)
中田(浩) 稲本
サントス 宮本 中澤 加地
楢崎
ホンジュラス:スターティングメンバー
ベラスケス マルティネス
ゲレロ フェレラ ガルシア
ベリアス ゲバラ
フィゲロア カバジェロ イサギレ
マラレス
前半8分・27分得点を取られた型とは、中村・中田(英)が両サイドに固定し、ホンジュラスの3バックの裏、両ウイングの裏を取る意思が見られましたが、左サイドの守備の連携が非常にマズく攻撃のリズム・守備のリズムを作り出せませんでした。
前半崩れた守備の一例・・・・・・柳沢・中村・中田(浩)・サントスで敵を囲んでも、中村がプレッシングで相手に体を当てに行かず、細かいショートパスでかわされ、中村のフォローをするはずの中田(浩)が体を当てて止めに行くのを躊躇し、サントスが自分の裏のケアーを気にしなければならない所(普段なら中澤が全てフォローしてくれる)を安易に前に出すぎて、あっさり裏にスルーを入れられ、最後はPA内でマイナスのクロスを入れられ得点を許す場面がありました。
中盤におけるプレッシングの開始位置・誰が体を当てに行くのかが明確にされていないことが分ります。リスクを恐れて及び腰になっていたとも言えます。この事がDFラインを前に押し上げられない原因の一つに挙げられると思います。
DFライン内でのフォローの明確化・選手間の距離・マークの明確化・・・・・・両サイドバックの中途半端なポジションの裏を突かれたり、サントスー宮本、加地ー中澤間の間延びした間を突かれたり、警戒しなければならない選手をフリーにしたりと踏んだり蹴ったりでした。サイドのケアが空回り・・・・・・これがDFラインを怖くて上げられない大きな原因かもしれません。
残念ながらDFラインの問題は試合終了まで解決することはありませんでしたが、一歩前(中盤)でボールをキープする時間を長く持つことによってリスクを減らす方法を取りました。
柳沢 高原
中村
中田(英)
中田(浩) 稲本
サントス
宮本 中澤 加地
楢崎
中田(英)が真ん中に位置し、ボランチの2人の前後に位置し、ボールを落ち着ける場所を作り、攻守のリズムを作っていました。この試合両サイドバックの攻撃力など皆無に近いものがありましたから、サイドからの攻撃は殆ど皆無でした。縦の関係(FW-MF間)がこの試合のキーポイントになりました。ポストプレーの上手さ、連続したワンタッチのワンツーなどホンジュラスのお株を奪う活躍でした。ゴールが見えたら積極的に撃つ姿勢も素晴らしかったです。
《個人評》
楢崎・・・・・・
DF崩壊のとばっちりを喰らった感じですが、一本ぐらいスーパーセーブを見せて欲しいところ。
宮本・・・・・・
サントスの裏のケアを出来ず、改めてそのDF能力に疑問を呈したいです。
皮肉にも中澤の能力の凄さを思い知る結果になりました。
中澤・・・・・・
加地との連携が上手くいっていないことは明らかです。後半、加地の裏を取られたりする場面もありました。4バックに慣れていな事も露呈する結果に・・・・・・。
サントス・・・・・・
別段守備に期待している訳ではありませんが、これほど対応できないのかと呆れるばかりです。彼の意識としてDFラインの一人というより、MFの一部、若しくはウィングがバックに下がったという意識があるのか、気の抜けた守備が終始続きました。期待した攻撃参加もたった一度(この一度をゴールに結び付けてはいますが)で、彼が原因で失った得点を考えてもプラスには到底及びません。味方に敵を抱え込んでいる状態でした。
加地・・・・・・
中途半端な位置に上がり、サントスと同様不安定なDFラインを形成していました。守備をするのか、攻撃するのかハッキリして欲しいところです。後半、果敢な上がりを見せ、健在振りを見せましたが、サントス同様、彼が原因で失った得点をプラスにする活躍は見られませんでした。
稲本・・・・・・
タックルやスライディングで相手を止めに行くも、かわされる場面が多々見られました。相手を囲んだら必ずボールを奪取(相手を止める)したいところです。中途半端に相手を囲んで、そこからドフリーな選手にパスを出されるのだけは避けたかったところです。前に積極的に仕掛ける場面が余り見受けられず、周りとの連携不足を露呈してしまいました。
中田浩二・・・・・・
周りとの連携不足を当初は見せたものの、少しずつ修正して見せた所は評価に値できます。また、中盤から裏に抜けるパスや、セットプレーでのヘッド、ロングシュートの精度など、彼の特徴+αも見れて、フランスでの成長も垣間見れました。彼には申し訳ないですけど、左サイドバックでの起用を真剣に考えてもいいかもしれません。
中田英寿・・・・・・
3失点目を見事に演出し、気の抜けたプレーは試合から遠ざかっているでは片付けられない失態です。それ以外にもドリブル中に後ろから相手にボールを取られる場面も見られました(ここ近年こんなプレーが割りと多い・・・)。サイドに陣取ると途端に存在が消えるのはご愛嬌ですが、中盤の低い位置からのミドルレンジの縦パスや、カウンター時のスルーパスなど相変わらず唸ってしまうプレーもありました。中盤でボールを落ち着かせることが出来る唯一人のプレーヤーでした。
中村・・・・・・
守備のマズさはありましたが、彼にそれを期待するのはお門違いです。
今更ながらの活躍だったので特に記するところはありませんが、右に左にと存分に動き回り、攻撃にアクセントを加え、危険な匂いを十分に漂わせていましたが、ちょっと気になったのはFKです。スコットランド特有の柔らかくピンポイントに投げ入れるラグビーのスローインのようなクロスはちょっぴり彼の地を思い起こさせるプレーでした。
柳沢・・・・・・
チェイシングもしっかりこなし、攻撃の繋ぎもフィニッシュも合格点です。特にゴールが見えたら、迷わずシュートを撃つ姿勢は今までとは違う彼の一面を見せてくれました。危険なFWになりつつあります。惜しむらくはクラブで出場機会に恵まれない事ぐらいです。
高原・・・・・・
らしいシュートを何本も魅せ、得点も1点決めました。クラブで調子を取り戻せば納得させられる動きを見せてくれるかもしれません。サイドに流れなかった事はかなり評価できると思います。
小笠原・・・・・・
稲本と交代で投入。交代で入って一得点を決めたものの、期待された中盤からのスルーパスや、攻撃のアクセントは全く見せられず、この投入が中田英寿をボランチに下げる為だけの物であったことは、皮肉な結果です。
玉田・・・・・・
柳沢と交代で投入。期待されていた裏への走りが残念ながら見られず、悲しい結果になりました。中盤がボロボロで、前に正確なパスが出なかったことを考えれば、同情の余地は十二分にあるかと思います。
大黒・・・・・・
高原と交代で投入。玉田と同様、裏への走りを期待。一本厳しいパスが彼に通ったものの上手くトラップできず惜しくも敵に取られてしまいました。中盤が突かれきった状態ではパスも来ないですし、見せ場無しでした。
田中・・・・・・
終了直前に中村と交代で投入。後ろを3バックに戻し、守備の安定を図るために投入されたことは明らかですが、余計にDFライン・中盤に混乱をもたらし、相手にいいように攻められていました。彼の責任というより監督の責任なので何とも言えませんが・・・・・・。
《全体評》
ホンジュラスが高さ(セットプレー)に弱いことは明らかだったので、そこを突ける攻撃を見せられなかったのは残念なところです。中田英寿・中村は相変わらず厳しいパスを出しますが、彼らのパスを使いこなせない様では世界で上を望むのは夢物語と言ってもいいでしょう。一試合でそう何本も決定的なパスを供給できるほど世界は甘くないので、一発で相手を沈める気概を見せて欲しいところです。しかし、今までと違ってこの打ち合いに負けなかったことは評価しても良いかと思われます。決定率も割りと高かったんじゃないでしょうか? 前回(2002年)同様、ホンジュラスの攻撃は抜け目がありませんでしたが、メキシコに比べると攻撃の戦術は稚拙で守備もザルでした。ちなみにホンジュラスはW杯に出ません・・・・・・。
やっぱり頭痛の種は尽きませんね(苦笑)
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