スペインがホームにセルビア・モンテネグロを迎え、グループリーグ首位の座を巡る戦いが繰り広げられました。
カードが乱れ飛び、一人退場者を出すという結果的に見れば荒れた試合でしたが、1-1でセルビア・モンテネグロが首位を守り、スペインのW杯出場に少し暗雲が立ち込めてきました。
スペイン:スターティングメンバー
9 9:トーレス
7:ラウール
11 7 17 11:ビセンテ
17:ホアキン
6:シャビ・エルナンデス
6 14 14:シャビ・アロンソ
3 2 3:デル オルノ
2:サルガド
4 5 4:マルチェナ
5:プジョル
1 1:カシージャス
《交代》
後半8分 トーレス → タムード
後半12分 ホアキン → ルイス・ガルシア
後半29分 ビセンテ → ルケ
基本形は4-4-2だと思われます。ラウールが中盤に下がっているのではなく、トーレスと縦の関係を作るため影のように動き回るために中盤に顔を出すだけで、別段中盤に吸収されていた訳ではありません。そのため前線と中盤の底はポッカリ穴があいています。
サイドのビセンテ・ホアキンはサイドラインにベッタリで余程のことがない限り中に来ません。ポジションチェンジは皆無です。
サイドバックの2人が中盤の底のラインまで押し上げてきているので、辛うじて数的優位を保っている状態でした。
セルビア・モンテネグロ:スターティングメンバー
8 8:ケジュマン
11:ジョルジェビッチ
11 22 7 22:イリッチ
7:コロマン
10 4 10:スタンコビッチ
3:ドラグティノビッチ
3 6 6:ガブランチッチ
20 5 20:クルスタイッチ
5:ビディッチ
1 1:イェブリッチ
《交代》
後半0分 イリッチ → ジキッチ
後半39分 コロマン → マリッチ
後半45分 ジキッチ → ネナド・コバチェビッチ
全体をコンパクトにまとめ相手に対して必ず数的優位を作り、カウンターチャンスを窺っていました。DFラインは高さに強く競り負けることは無いので、スペインの攻撃をサイドに誘導していました。足元の縦パスには敏感に反応し、ファウルをしてでも止めるほど過剰な反応が見られました。
スペインの攻撃はサイドのビセンテ・ホアキンの両人がサイドの深い位置からドリブルで突破し、クロスを上げて、それをトーレス・ラウールが決めるという物でしたが、セルビア・モンテネグロは中の高さに自身があるのか、ワザとクロスを上げさせていたように思えました。もちろん良い体勢・中に切れ込むのを防止するために、2人で守備についていました。
時たま、中盤の底(シャビとアロンソ)から足元への縦パスが配給されると、猛然とセルビア・モンテネグロがチェックに行き、明らかに嫌がっている節が見受けられましたが、そこを突く事は前半は見られませんでした(後半に入っても気が向いたときにパスする程度だった気が・・・・・・)。
シャビとアロンソのどちらかが前に飛び出すとか、ドリブルで切れ込む等変化を付けられれば、もうちょっと違った展開も見られたかもしれません。またサイドの2人がライン際にベッタリなのも、もうちょっと中盤に流動性を持たせれば、相手を混乱させることが出来るのに・・・・・・。
唯一つの失点は、何が何だか分らない内に取られ、守備に関してはドタバタしている印象しかありません。サルガドの中盤を突っ切るドリブル突破には驚かされました。中盤が流動的でないこのチームにとって彼の意外性&度胸は良い薬になっているのかもしれません。
それにしてもPA内(ゴールが見える位置)でパスするなんて・・・・・・以前の日本代表を見ているようで、スペインが深い迷宮に迷い込んでしまったのかなと心配です。
あんまりスペインの試合をジックリ見たことが無いのですが、普通の状態ではこれがスペインのスタイルなのかも知れません。
しかし、後半に入ってアドレナリン爆発状態になると、手が付けられなくなるほど暴れまくり、中盤の問題点が気にならないほど動き回る姿は、これがみんなを魅了するスペイン本来の姿なのかと一人納得してしまいました(笑)
セルビア・モンテネグロは、自陣内に篭って相手に突き入る隙を見せていませんでした。自分達に有利な状態を保ち、相手の行動を制限し、誘導する戦術が徹底されていた感じがします。以前見たときは、もっと足元で繋いでショートパスやドリブルで崩していた印象があったので、ここまで固く守っている姿にビックリしました。
両者とも頭に血が上りやすいのか後半は見るも無残な荒れた試合になりましたが、ある意味これが両者にとって普通なのかもしれません。Jリーグと比べると格段にこの違いが分ります。これに拍車をかけるが如く審判が普段プレミアで笛を吹いていることも関係があるかもしれません。ちょっとやそっとで笛を吹かない所を見ると、その凄さが窺い知れます。