■花がシンボル
ロンドンの花屋で「薔薇二輪6Pence、百合
三輪9Penceを買う。素敵に高いことなり。」
と、漱石が日記に書いたのが1901年5月4日の
英国留学中のことです。
明治男の漱石先生が、友人が来訪するとい
うので、部屋を飾ろうと花を買い、活けたと
思ったら何だかシャレているなぁ、格好いい
なぁと思ったことがあります。その友人とは
「味の素」の発見者池田菊苗氏のことです。
その話を華道家や現代美術作家の集まりの
席で話題にしたら、明治の男性は花を活ける
のは当たり前だったし、嗜みだったと聞いて
ちょっと驚きました。
婆娑羅大名と言われた佐々木道誉の観桜の
パフォーマンスは有名ですし、戦国の武将達
と花との結びつきなど、聞きかじった話も結
構あり、現代の日本の伝統文化の有り様まで
会話が広がりました。
そんな会話の中「オフィスに花瓶ある?」
と質問され、「ないな~」と答えながら、な
ぜかちょっと気恥ずかしい気分になりました。
「オフィスに花があると、きっと雰囲気が変
わるよ」「一輪挿しを全員のデスクにおいた
らいいと思うよ」とか、そんな話が妙に刺激
的でした。
その話を聞いた翌週からです。毎週月曜の
朝、花を買うのが習慣になり、もう一年半近
くになります。花屋が朝10時に開くのを待っ
て、いつも最初の客になります。出社して各
自の一輪挿しに活ける15分くらいの時間がま
た格別なのです。
日本の伝統と言われる生け花を、未だ活け
たこともなかった自分がちょっと悔しく、か
といって一人習いに行くのも億劫でした。思
い立って友人の現代美術作家で華道家に講師
をお願いし、オフィスの仲間を募り、会議室
で「生け花初体験」を開催しました。
そのことが、知人が主宰している企業研究
会にまで波及し、おじさんたちも熱心に「活
け花体験」。
実践して初めて気がつくことって確かにあ
ります。何事もやってみるべし初体験です。
昨今何かと語られる「もてなし」。この言
葉に含まれるシンボリックな行為のひとつが
「花」を活けることだったような気がします。
花に託したメッセージは時と場を得てその人
の心を確かに伝えることと思います。
友人が来訪する時、どんな花を選ぼうか?
と悩んでみるのも一興かと思いますが、如何。
0728中
ロンドンの花屋で「薔薇二輪6Pence、百合
三輪9Penceを買う。素敵に高いことなり。」
と、漱石が日記に書いたのが1901年5月4日の
英国留学中のことです。
明治男の漱石先生が、友人が来訪するとい
うので、部屋を飾ろうと花を買い、活けたと
思ったら何だかシャレているなぁ、格好いい
なぁと思ったことがあります。その友人とは
「味の素」の発見者池田菊苗氏のことです。
その話を華道家や現代美術作家の集まりの
席で話題にしたら、明治の男性は花を活ける
のは当たり前だったし、嗜みだったと聞いて
ちょっと驚きました。
婆娑羅大名と言われた佐々木道誉の観桜の
パフォーマンスは有名ですし、戦国の武将達
と花との結びつきなど、聞きかじった話も結
構あり、現代の日本の伝統文化の有り様まで
会話が広がりました。
そんな会話の中「オフィスに花瓶ある?」
と質問され、「ないな~」と答えながら、な
ぜかちょっと気恥ずかしい気分になりました。
「オフィスに花があると、きっと雰囲気が変
わるよ」「一輪挿しを全員のデスクにおいた
らいいと思うよ」とか、そんな話が妙に刺激
的でした。
その話を聞いた翌週からです。毎週月曜の
朝、花を買うのが習慣になり、もう一年半近
くになります。花屋が朝10時に開くのを待っ
て、いつも最初の客になります。出社して各
自の一輪挿しに活ける15分くらいの時間がま
た格別なのです。
日本の伝統と言われる生け花を、未だ活け
たこともなかった自分がちょっと悔しく、か
といって一人習いに行くのも億劫でした。思
い立って友人の現代美術作家で華道家に講師
をお願いし、オフィスの仲間を募り、会議室
で「生け花初体験」を開催しました。
そのことが、知人が主宰している企業研究
会にまで波及し、おじさんたちも熱心に「活
け花体験」。
実践して初めて気がつくことって確かにあ
ります。何事もやってみるべし初体験です。
昨今何かと語られる「もてなし」。この言
葉に含まれるシンボリックな行為のひとつが
「花」を活けることだったような気がします。
花に託したメッセージは時と場を得てその人
の心を確かに伝えることと思います。
友人が来訪する時、どんな花を選ぼうか?
と悩んでみるのも一興かと思いますが、如何。
0728中