糖質制限をはじめて、はや5年ほど経過しました。
といっても私の場合は“ゆるやかな”糖質制限で、
ご飯・パン類など“主食の穀物は食べない”レベル。
基本的におかず類はそのまま食べています。
タイトにやっている方は、フライや天ぷらの衣を外して食べているようですが、
そこまでやると食べる楽しみが減ってしまうようで・・・。
その過程で気づいたのは、
いわゆる“おかず”の味付けは濃くてしょっぱくて、
そのままでは食べにくい(ごはんが欲しくなる!)こと。
米・小麦を代表とする穀物は炭水化物ですが、消化吸収の過程で糖質に変わります。
それを毎日食べている日本人は、全員“糖質過剰摂取”という見方もでき、
糖尿病のリスクを背負っています。
かつ、ごはんがはかどるおかずはしょっぱいため、
日本人は全員“塩分過剰摂取”傾向となり、
高血圧のリスクを背負っています。
日本人が米を主食とし、
精製塩が入手できるようになってから、
今や国民病である「糖尿病」と「高血圧」を背負う宿命だったのですね。
効果を実感している私ですが、無条件に受け入れているわけではありません。
疑問点を一つずつ解決して現在に至っています。
しかしいまだに、糖質制限に対して残っている疑問があります。
例えば・・・
・脂肪は制限の必要ないとされるが、その根拠はあるのか。
・カロリー制限は必要ないというが、過剰なカロリーはどこに消えるのか。
・豆類は一律、糖質制限にお勧めの食材か。
・練り物、ちくわ、かまぼこ、つみれ・・・似てるけど糖質含有量に差があるのか。
・おでんの具材で糖質制限するには、どのように選んだらよいか。
・チーズは糖質制限では良という評価である一方で、高血圧対策では悪と耳にしたが、それを打ち消す価値があるのか。
等々。
2019年に発行された糖質制限ご意見番の江部先生の著書を読んで、
知識のアップデートを図りました。
江部康二著(2019年、ダイヤモンド社発行)
□ 糖質=炭水化物ー食物線維
□ 血糖値を上げるのは炭水化物だけで蛋白質・脂質はほとんど上げない。
・低カロリーでも糖質が多ければ血糖値は上がり、高カロリーでも糖質ゼロなら血糖値は上がらない。
・食物線維も血糖値を上げない。腸内細菌が食物線維をエサとして短鎖脂肪酸を作り、少量のエネルギーになるが、これも血糖値を上げない。
・日本人のインスリン分泌能は、遺伝的に欧米人の半分。
・食後高血糖が起こるとインスリンが分泌されて血糖値を下げるが、余分な糖質は脂肪として蓄えられる。
・高血糖状態がずっと続いている状態より、空腹時と食後で血糖値が鋭く乱高下する「血糖値スパイク」の方が、血管を傷つけるリスクが高い。
□ 「脂質を取ったら太る」は間違いで、正しくは「糖質を取ったら太る」
□ 糖質制限の誤解、あるある!
・そばはさっぱりしているから糖質が少ない、ふつうのそばは糖質が多いけど十割そばなら大丈夫
→ 二八そばも十割そばも糖質量に大差はない。
・塩味のせんべいやあられなら糖質が少ない。
→ 米を原料とするデンプン食品なので糖質たくさん。
・砂糖はダメだけど、黒砂糖や蜂蜜ならOK。
→ 健康的なイメージのある黒砂糖、ハチミツ、和三盆、メープルシロップもその正体は砂糖に他ならない。
・春雨は原料がジャガイモだと糖質が多いけど、緑豆が原料なら問題ない
→ 緑豆(もやしの原料、もやしそのものは低糖質)の主成分はデンプン。
・魚のすり身を原料とする加工食品(魚肉ソーセージ、ちくわ、かまぼこ)は低糖質。
→ つなぎとしてデンプンや砂糖を使用している
・魚の缶詰(サンマの蒲焼き、サバの味噌煮)は低糖質
→ 味付けに砂糖がたっぷり使用されている。
□ 主食(穀物)の摂り方
・「玄米」「黒米」「赤米」「全粒粉パン」「全粒粉パスタ」「十割そば」など、“黒っぽい主食”を選択すべし。
・“黒っぽい主食”は精製度の低い穀類を原料にしており、食物繊維の含有量が多いので、血糖値の上昇を若干ゆるやかにする。
・逆に“白っぽい主食”は食物繊維が除かれている分、食べると血糖値が急上昇する。
□ 調味料類の糖質含有量の多少
(多)
・ドレッシング(※1)は砂糖が入っている。
・タレ、ポン酢(※2)は少なからず砂糖が入っている。
※1:カロリー制限では「青じそ」「和風」といった低カロリーのノンオイルドレッシングを勧められるが、ノンオイル系はオイルを抑えた分、糖質を多く含む場合があり注意。
※2: 一般的なポン酢は100gあたり「糖質12g」を含むが、糖質60%カットという糖質オフのポン酢がある。
・ごまだれは糖質が多い
・すき焼きの割り下には砂糖が入っている
→ 砂糖の代わりに糖アルコールのエリスリトールから造られたラカントS(サラヤ)がお勧め
(少)
・マヨネーズ(※1)、バター(※2)
・タルタルソースは低糖質でお勧め
・ドレッシングならオイルベースのフレンチドレッシング、マヨネーズベースのサウザンアイランドドレッシングがお勧め。オリーブオイルは可。
※1: マヨネーズの主原料は食用油、卵、酢で、日本では卵黄のみを使ったものが主流。大さじ1杯(15cc)で糖質0.2gと微量のため、たっぷり使用しても問題ない。カロリーをカットしたタイプは糖質が多めになるため、ノーマルタイプがおすすめ。
※2:食塩を含む「有塩タイプ」と含まない「無塩タイプ」があるが、どちらも糖質ゼロなのでお好みで。なお、マーガリンにはトランス脂肪酸という人工的に作られた有害な脂質が含まれているので控えるべし。
□ 調理の味付けに注意
・ご飯に合う“甘辛い味付け”は、砂糖やみりんをたくさん使いがち。
・糖質の少ない食材を使っても、砂糖、みりん、ソース、甘味噌などを使うと糖質過多につながる。
□ 食用油の選び方
・α-リノレン酸:必須脂肪酸、EPAとDHAは体内でα-リノレン酸から作られるが十分ではない。
・α-リノレン酸はエゴマ(シソ)油、アマニ油に多い。
・EPA、DHAはイワシ、サバ、アジ、サンマなどの青魚、マグロに多い。
・お勧めの食用油はエゴマ(シソ)油やオリーブオイル(未精製のエキストラヴァイージン)。
・サラダ油はリノール酸(必須脂肪酸ではあるが、摂り過ぎによる弊害あり)が多いので避けるべし。
□ レストラン、ファストフード店のメニュー
(NG)
・焼き肉のタレ(塩、ごま油で代用)
・参鶏湯(サムゲタン:餅米詰め)、冷麺、石焼きビビンバ、チヂミ、トッポギ(韓国風餅の甘辛炒め)、ダッカルビ(鶏もも肉と野菜の甘辛炒め)
・餃子・シュウマイ:皮に小麦粉がたっぷり含まれているのでNG(食べるなら1-2個)。
・酢豚、魚の甘酢あんかけ、麻婆春雨
(OK)
・すき家の「牛丼ライト」はお勧めご飯の代わりに豆腐が使われている。
・牛丼店では「皿」メニュー(牛皿、豚皿?)+サラダ(ポテトサラダ、ゴボウサラダはNG)がお勧め
・ハンバーガーショップなら、チキンナゲット、フライドチキン+サラダを。
・焼き肉はキムチと一緒にエゴマの葉、サンチュなどの葉物野菜で包んで食べる。
・キクラゲと卵の炒め物、棒々鶏、八宝菜、青椒肉絲、回鍋肉、麻婆豆腐、レバニラ炒め(いずれも一食で糖質10g程度)。
・青菜の塩炒め、中華風冷や奴、ピータン豆腐、酸辣湯(サンラータン)、卵スープ
□ 各食材と糖質含有の多少
(多)
・ニンジン、ゴボウ、サトイモ、ジャガイモ、レンコン、ユリ根などの根菜類。
※ 片栗粉・春雨はイモ類のデンプンから作られる。
・カボチャなどホクホクする野菜
・果物(アボガド以外)、ドライフルーツは果糖がたくさん。
※ デザートに果物を摂る場合の1日の許容範囲:リンゴ1/4個、ミカンやキウイフルーツ1/2個、イチゴ5粒
・ハチミツ、黒糖、和三盆は砂糖に他ならない。
・大豆以外の豆類(ひよこ豆、インゲン豆、エンドウ豆、そら豆)
・海藻では例外的に昆布だけは糖質が多い
(中間)
・豆乳
・牛乳(210g中糖質10.1g)
※ 低脂肪乳はふつうの牛乳より糖質が多めです。
・ヨーグルト(無糖タイプで100g中糖質5g)
(少)
・葉物野菜(キャベツ、白菜、ほうれん草、小松菜、ケール、モロヘイヤ)
・ブロッコリーなどの緑黄色野菜
・野菜では他にトマト、ピーマン、パプリカ
・果物ではアボガドのみ
・大豆と大豆食品(豆腐、納豆など)
・チーズ(ナチュラル、プロセス)
□ 糖質制限ではおでんの具材は何を選ぶべきか。
(NG)
・ジャガイモ、餅入り巾着、昆布
・練り物(はんぺん、ちくわ、さつま揚げ、ゴボウ巻き)
※ 「ちくわぶ」(ちくわとはちがう食べ物です):小麦粉を練ってゆでたものであり、1本で糖質20g。
(OK)
・第一選択(低糖質&高タンパク):卵、がんもどき、焼き豆腐、牛すじ、タコ、つみれ、厚揚げ
・第二選択(低糖質&蛋白以外の栄養素):大根、こんにゃく、シラタキ、ロールキャベツ
□ 糖質制限とスープ・シチュー系
(NG)
・ポタージュ、クリームスープ。
・ミネストローネ、オニオングラタンスープ、クラムチャウダー。
・クリームシチュー、ビーフシチュー、タンシチュー、グラタン、ドリアなど。
(OK)
・味噌汁
・わかめスープ、卵スープ、コンソメスープ
□ 糖質制限用冷凍食品通販サイト
・「糖質制限ドットコム」
・「糖質制限おたるダイニング」
□ 赤肉(牛肉、豚肉、羊肉など)、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)は危険?
・国際がん研究機関では赤肉と加工肉の食べ過ぎはガン(おもに大腸癌)のリスクを上げる可能性を指摘している。
・日本の国立がん研究センターの見解は、日本人の平均的な摂取量であれば、赤肉や加工肉の摂取が大腸癌のリスクを上げる可能性はないか、あっても小さい。
・以上、賛否両論であるが、著者は肉の過剰摂取に糖質過多が加わると発がんリスクが高まると考えており、糖質制限すれば肉の摂取には問題ないという立場(加工肉は添加物が含まれているという視点から摂取は控えめ)。
□ 飲み物に含まれる糖質の多少
(多)
・コーラなどの炭酸飲料やジュースなどの甘い清涼飲料水は約10%の砂糖や果糖(※)を含む
→ 500mlのペットボトル1本に糖質50g(角砂糖10個以上)が溶けている!
・ヘルシーなイメージのあるスポーツ飲料も糖質をたくさん含んでいる。
・果汁100%ジュース、果汁ミックスの野菜ジュース、野菜100%ジュースにも糖質が多く含まれている
※ 果糖:ブドウ糖の数十倍も糖化しやすく、AGEs(終末糖化産物)も作りやすいので要注意
(中)
・牛乳、豆乳:糖質は「低脂肪乳」>「ふつうの牛乳」、「調製豆乳」>「無調整豆乳」
(少)
・ミネラルウォーター
・番茶、麦茶、ほうじ茶
・コーヒー、紅茶
□ アルコール飲料は制限すべき?
(NG)
・醸造酒:ビール(※)、日本酒
※ いわゆる“ビール腹”は危ない危ない内臓脂肪型肥満。
(OK)
・蒸留酒(※):焼酎、ウイスキー、ジン、ラム、ウォッカ
・辛口ワイン(赤でも白でも)は醸造酒の中で例外的に低糖質
・糖質ゼロのビール系飲料、日本酒ならOK
※ 蒸留酒を糖質の多い果汁やトニックウォーターで割ってしまうとNG、炭酸水やミネラルウォーターがおすすめ。