日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

「ロレックスの秘密」by 出石尚三

2011-11-18 22:13:13 | 時計・鞄・靴
 2002年、講談社発行。

 先日、ロレックスの古い時計を購入しました。
 1960年代のセミ・バブルバック。
 18KYGのケースにエンジンターンド・ベゼル、バーインデックス、ドルフィンハンドのシンプルフェイス。
 さて、相場はいくら位なのかな、とネットで検索してみましたが・・・同じ時計が見つかりません???
 一番近いものを選ぶとすれば、これでしょうか。

 

 購入の経緯から偽物とは思えないし、いろいろ調べていくと、1950年代~60年代の高級時計は、顧客の希望によるオーダーメイド感覚であったらしい。
 つまり、大量生産ではなく、一点ものの可能性もある、ということ。

 う~ん、そう信じようか。

 しかし腑に落ちないので、バブルバックの本を購入して読んでみましたが、セミ・バブルバックの記述はほとんどなし。
 それにしても、バブルバックの文字盤は数限りない種類があるのですね。
 オーダーメイドの話が信憑性を帯びてきました。

 そしてこの本にたどり着きました。
 二部構成となっており、第一部はロレックス社、とくに創業者のハンス・ウィルスドルフ氏について。第二部は代表モデルの解説。

 彼の卓越した先進性、完璧主義が成功をもたらしたことは論を待たないことですが、メディアの取材を生涯一度も受けることがなかった秘密主義もポイントとして取り上げられています。
 彼自身は時計師ではなかったので、客観的に顧客が何を必要としているか見通すことができました。
 これから腕時計の時代が来る、使いやすく高級感のあるアイテムとして評価を得るには、ロレックスの特徴と云われるオイスターケース(防水)・パーペチュアル(自動巻)・クロノメーター(正確)を実現する必要がある、そしてそれを執拗に追求しました。
 技術畑を横目で見ながら、自分のイメージを極限まで高めて実現させるしつこさは才能であり、先日亡くなったアップル社のスティーブ・ジョブズ氏と共通する資質があると感じた次第です。

 第二部の主要モデルの解説はマニアックですね。
 でも、セミ・バブルバックは取り上げられていません。残念。
 やはりバブルバック後の移行期に少数作られたモデルなのでしょうか。