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太陽のあとを追って

拙い詩と、拙い散文。

道程

2007年09月28日 | 行李のなか


古ぼけた鞄と
渡せなかった手紙
あの太陽めざし
空はどこまでも続くよ

希望と不安を抱えて
走り出した夢の途上
旅から旅へ
悲しみは野に咲く小さな花へ

道標もなく
行き着く場所も見えない長い道程
疲れたら椅子を倒して
少しおやすみ

この次に目が覚めたら
あなたを思い出に変えて
ありがとうって 感謝してるって
心から思える 私になりたい



ぜんぶする

2007年07月11日 | 行李のなか
あなたとの恋が終わって、
でもあまり寂しいと思えないのは、
あなたがいてもいなくても、私の日常には何の変わりもないことに気がついたから。
残ったのは、あなたとできなかったことの多さ。
それはそっくり、持って行き場のない私のかなしみだった。

街中で手をつないだり腕組んで歩きたかった。
メールと着歴と発歴は削除しないでほしかった。
友達に紹介して一緒にお酒飲んで遊びたかった。
何をするともなくテレビ見て笑いあいたかった。
スーパーで一緒に夕飯の買出ししたかった。
あなたのために頑張ってお料理したかった。
あなたのパンツを洗濯してあげたかった。
あなたの寝顔を見たかった。
「お帰り」と「ただいま」と「行ってらっしゃい」と「行ってきます」を言いたかった。

この次に誰かを愛したら、ぜんぶする。
あなたとできなかったこと、当たり前のこと、ぜんぶ。

さようなら

2007年05月13日 | 行李のなか
気持ちだけはいつまでも一緒だと
愛する心は 死んだ後も
永久に変わらないと
誓っても

遠くなる背中を引き留めることは
もうできない

魂で寄り添うよりも 体でそばにいたかった
二度と触れられない唇
嗅げない香り
さようなら

清算

2007年04月20日 | 行李のなか
瞼を閉じてみれば、いい思い出しか浮かんでこない。
寂しい思いをさせないようにって、時間を作って声を聞かせてくれた。
少しでも一緒にいられるようにって、夜遅くまで仕事をしていた。
頑張ったのにかわいそうって、私の代わりに泣いてくれた。
そんな思い出ばかり。



これまで悲しみの淵から這い上がれなかったこと。
体が燃え尽きるくらい嫉妬して、憎んだこと。
何も思い出せない。



別れた後で、これまでのことが清算される。
別れることで、清算される。

そんなのって、いやだ。

花が散る

2007年04月14日 | 行李のなか
花が散る

春が来るたびに
花々は裏切ることなく
咲きこぼれて
いつか見たと おなじ花を

次の春
見上げる花も おなじ花
まぶしそうに目を細めても
うつる影法師は一人

花が散る
取り戻せない 二人だけの季節
この春はもう二度と
帰って来ることはない



あなた
一緒にいたかった


散る花の 流れを止めて
花が散る