ボチボチかめさん

良い日本を夢見てきましたが 現実は遠のくばかり
のろまですが小さな脳で考えます
日本のこと 日本人のこと

「ジタバタ」 退職前後 その3

2008-02-27 09:22:02 | つれづれ日記
引継ぎが次第にタイトになり、わたしは後任者の越智さんに
(仮名・この後も名前はすべて仮名です)
2、3日の延長を申し出たが、遠慮をしてか、彼女は予定とおりでいいという。

では、22日の最後の引継ぎは、多少遅くなることは承知の上で、、
と云うことではあったが、
それでも19時過ぎには完了するだろう、、とお互いに思っていた。

越知さんにはご家族があり、ご主人から携帯に状況を尋ねる電話が度々入っていた。
3人のお子さんはすでに眠ったという。

おさらいをしているうちに、21時になり、わたしが納得のいく
引継ぎを伝い終えた頃には22時近くになっていた。

ホッとしたわたしは、お手洗いに行ったついでにビルの一階まで下りて
冷たい空気が吸いたくなり、一歩、外に出た。

すると、ガチャンとビルの裏口が閉まる重たくにぶい音がした。
『あっ、し、しまった!』


事の重大さに気がついたのは、この後だ。
財布も携帯も持っていなかった。

首からぶらさげたカードでは夜の6時を過ぎると
ビルに入れない仕組みになっていたことを、わたしは完全に忘れていた。

厚い金属の扉をいくら叩いても、3階にいる彼女には聞こえるはずもない。

2分ほど走って表通りから、電気のついている三階の窓に向かって
「越智さん~、越智さん~!」と大声で叫んだが、二重の窓ガラスに声は遮られた。

表と裏口を何度も往復して、同じ事を繰り返してはみたものの事態は解決しない。
非常階段を駆け上がってみたが、かっちり施錠してあった。

このまま裏口で待っていれば、あまりに遅いと彼女が気づいて
下まで降りてきてくれるかもしれない。
だが、彼女は23時半の最終電車で帰ると言っていた。

ぐずぐずしてはいられない。


『あっ、そうだ!!』

わたしは一目散に駆け出した。


最新の画像もっと見る