■「日本の国民に、その器用さと勤勉さを行使することを許しさえするならば、
日本は遠からずして偉大な、強力な国家となるであろう」
(初代駐日米国総領事、タウンゼント・ハリス)
安政4(1857)年のきょう(旧暦)、米国のハリス駐日総領事が江戸城で
13代将軍、徳川家定に初めて謁見した。表向きの用件は米大統領の親書伝達。
「遠方からの書簡、また口上、満足である。幾久しく交友したいと大統領に申し上げて
もらいたい」。ハリスのあいさつに家定はこう答え、短い儀式は終わったが、
ハリスの真の目的は通商条約の締結にある。
彼は数少ない「将軍公認の外交官」として、病弱な家定に代わって実務を担当する
幕府高官の説得に腕をふるう。
ハリスは親日家だった。冒頭のことば(岩波文庫『ハリス日本滞在記』)
は同じ年の新暦12月の日記にある。
その1年あまり前、初めて日本の土を踏んだころには
「私は、日本人は喜望峰以東のいかなる民族よりも優秀であることを、繰りかえして言う」とつづっている。
日本人を「特異で、半ば野蛮な国民」と表現したペリーとは大違いだ。
しかし、個人の情と国益とは別問題だった。
安政5年夏に結ばれた日米修好通商条約は、米国に治外法権を認める一方、
日本に関税自主権がない典型的な不平等条約だった。
二枚舌-という批判はあたらない。
海をはさんだこの隣国から受けた“レッスン”の一つである。
(産経 2008/10/21)
日本は遠からずして偉大な、強力な国家となるであろう」
(初代駐日米国総領事、タウンゼント・ハリス)
安政4(1857)年のきょう(旧暦)、米国のハリス駐日総領事が江戸城で
13代将軍、徳川家定に初めて謁見した。表向きの用件は米大統領の親書伝達。
「遠方からの書簡、また口上、満足である。幾久しく交友したいと大統領に申し上げて
もらいたい」。ハリスのあいさつに家定はこう答え、短い儀式は終わったが、
ハリスの真の目的は通商条約の締結にある。
彼は数少ない「将軍公認の外交官」として、病弱な家定に代わって実務を担当する
幕府高官の説得に腕をふるう。
ハリスは親日家だった。冒頭のことば(岩波文庫『ハリス日本滞在記』)
は同じ年の新暦12月の日記にある。
その1年あまり前、初めて日本の土を踏んだころには
「私は、日本人は喜望峰以東のいかなる民族よりも優秀であることを、繰りかえして言う」とつづっている。
日本人を「特異で、半ば野蛮な国民」と表現したペリーとは大違いだ。
しかし、個人の情と国益とは別問題だった。
安政5年夏に結ばれた日米修好通商条約は、米国に治外法権を認める一方、
日本に関税自主権がない典型的な不平等条約だった。
二枚舌-という批判はあたらない。
海をはさんだこの隣国から受けた“レッスン”の一つである。
(産経 2008/10/21)