産経新聞 2010.7.10 14:46
中国人48人が入国直後、大阪市に生活保護を申請した問題について大きく報じた華字紙 大阪市西区に住む中国福建省出身の日本人姉妹の親族とされる中国人48人が入国直後、市に生活保護を申請した問題が、国内の中国人ら向けの新聞(華字紙)で大きく報じられている。不況の中、生活に困窮する在日外国人は多く、生活保護に対する関心の高まりが背景にあるとみられる。ただ、中には受給ノウハウを指南するような特集記事もみられ、“生活保護のススメ”とも取られかねない内容が波紋を呼びそうだ。
週12万部を発行している華字紙「東方時報」(東京)は、8日付の1面トップで今回の問題を報じた。主に日本の報道機関が伝えた内容を紹介したほか、2ページにわたって「在日華人はどのように生活保護を申請すればよいか」と題する特集記事を掲載。厚生労働省や法務省入国管理局に直接取材して得た回答を一問一答形式で紹介している。
具体的に記述
この中で、外国人の生活保護受給の可否について「生活保護法の対象外だが、昭和29年に出された当時の厚生省通知に基づき、生活が困窮している外国人には法が準用される」と記載。申請条件として、原則10年以上の日本在留など、一定の要件を満たせば許可される一般永住者や日系・難民などの定住者-といった在留資格が必要と説明しているほか、「原則は本人申請」「扶養義務者や同居する親族も申請できる」などと具体的に伝えている。
在日中国人が親族らを日本に呼び寄せるケースは多く、法務省によると、国内の外国人登録者は近年中国籍が急増。平成19年に韓国・朝鮮籍を抜きトップとなり、21年末で68万518人と全体の3割超を占める。
一方、大阪市によると、在日外国人の4月現在の生活保護受給率は、市全体の受給率(5・3%)を上回る8・3%。在日外国人の生活支援に取り組む同市のNPO関係者は「外国人は生活基盤が脆弱(ぜいじゃく)で不況などの影響も受けやすい」と指摘する。
特集を担当した東方時報の男性記者によると、定住の在留資格を得て来日しながら、派遣切りや雇い止めで職を失うなど生活に困窮する中国人らは多いという。記者は「今回の問題が発覚する前から特集記事の掲載は決まっていた。(日本社会では)生活保護の受給に厳しい意見も多いが、外国人でも本当に困窮すれば受給の権利があることを知らせたかった」と話す。
高い関心
また、週10万部発行の「中文導報」(東京)も、8日付の1面記事で大量申請問題を報じた。申請を受け付けた西区役所にも電話取材し、「定住者の資格があり生活が困窮している以上、支給を認めざるを得なかった」とする職員の談話を掲載。大阪市の今年度の生活保護費は2863億円で、市税収入の5割近くに迫ることにもふれ、「不正受給に敏感」と解説した。楊文凱編集長は「大量申請問題は中国国内でも高い関心を集めている」と話す。
ただ、生活保護の受給を推奨しているとも受け取られかねない記事には厳しい声もある。日中情勢などに詳しい中国出身の評論家、石平氏は「中国国内では生活に困窮している人は何億人もいる。華字紙の特集には、中国人永住者や帰化した人らに対し『中国からどんどん家族や配偶者らを呼び寄せ、すきを突いて生活保護をもらえ』というメッセージや発想が感じられる」と話している。
中国人48人が入国直後、大阪市に生活保護を申請した問題について大きく報じた華字紙 大阪市西区に住む中国福建省出身の日本人姉妹の親族とされる中国人48人が入国直後、市に生活保護を申請した問題が、国内の中国人ら向けの新聞(華字紙)で大きく報じられている。不況の中、生活に困窮する在日外国人は多く、生活保護に対する関心の高まりが背景にあるとみられる。ただ、中には受給ノウハウを指南するような特集記事もみられ、“生活保護のススメ”とも取られかねない内容が波紋を呼びそうだ。
週12万部を発行している華字紙「東方時報」(東京)は、8日付の1面トップで今回の問題を報じた。主に日本の報道機関が伝えた内容を紹介したほか、2ページにわたって「在日華人はどのように生活保護を申請すればよいか」と題する特集記事を掲載。厚生労働省や法務省入国管理局に直接取材して得た回答を一問一答形式で紹介している。
具体的に記述
この中で、外国人の生活保護受給の可否について「生活保護法の対象外だが、昭和29年に出された当時の厚生省通知に基づき、生活が困窮している外国人には法が準用される」と記載。申請条件として、原則10年以上の日本在留など、一定の要件を満たせば許可される一般永住者や日系・難民などの定住者-といった在留資格が必要と説明しているほか、「原則は本人申請」「扶養義務者や同居する親族も申請できる」などと具体的に伝えている。
在日中国人が親族らを日本に呼び寄せるケースは多く、法務省によると、国内の外国人登録者は近年中国籍が急増。平成19年に韓国・朝鮮籍を抜きトップとなり、21年末で68万518人と全体の3割超を占める。
一方、大阪市によると、在日外国人の4月現在の生活保護受給率は、市全体の受給率(5・3%)を上回る8・3%。在日外国人の生活支援に取り組む同市のNPO関係者は「外国人は生活基盤が脆弱(ぜいじゃく)で不況などの影響も受けやすい」と指摘する。
特集を担当した東方時報の男性記者によると、定住の在留資格を得て来日しながら、派遣切りや雇い止めで職を失うなど生活に困窮する中国人らは多いという。記者は「今回の問題が発覚する前から特集記事の掲載は決まっていた。(日本社会では)生活保護の受給に厳しい意見も多いが、外国人でも本当に困窮すれば受給の権利があることを知らせたかった」と話す。
高い関心
また、週10万部発行の「中文導報」(東京)も、8日付の1面記事で大量申請問題を報じた。申請を受け付けた西区役所にも電話取材し、「定住者の資格があり生活が困窮している以上、支給を認めざるを得なかった」とする職員の談話を掲載。大阪市の今年度の生活保護費は2863億円で、市税収入の5割近くに迫ることにもふれ、「不正受給に敏感」と解説した。楊文凱編集長は「大量申請問題は中国国内でも高い関心を集めている」と話す。
ただ、生活保護の受給を推奨しているとも受け取られかねない記事には厳しい声もある。日中情勢などに詳しい中国出身の評論家、石平氏は「中国国内では生活に困窮している人は何億人もいる。華字紙の特集には、中国人永住者や帰化した人らに対し『中国からどんどん家族や配偶者らを呼び寄せ、すきを突いて生活保護をもらえ』というメッセージや発想が感じられる」と話している。