正式に彗星として公表されたアトラス彗星C/2024 S1の情報が色々なところで見られるようになりました。
福原直人さんのホームページ
吉田誠一さんのホームページの今週の明るい彗星より
こちらの光度式が気になりました。
m1 = 12.0 + 5 logΔ + 8.0 log r
絶対光度が12.0等とかなり暗いのです。
紫金山-アトラス彗星は
m1 = 6.0 + 5 logΔ + 7.5 log r
で絶対光度6.0等となっています。
ちなみに近日点通過時に崩壊・消滅したアイソン彗星 C/2012 S1(なんとこちらもS1!)の崩壊前の光度式 は
m1 = 8.0 + 5 logΔ + 7.5 log r
で絶対等級8.0等です。
吉田誠一さんのホームページの彗星カタログより
アイソン彗星 C/2012 S1よりも小さい可能性があり、近日点通過時に崩壊・消滅することが懸念されます。
残念な話になるかと思ってもっと調べてみたら期待できるデータがありました。
2011年12月に南半球で長大な尾を見せたクロイツ群の彗星、ラヴジョイ彗星C/2011 W3 の近日点通過前の光度式は
m1 = 15.5 + 5 logΔ + 15.0 log r
で絶対等級15.5等でした。
吉田誠一さんのホームページの彗星カタログより
絶対等級15.5等でも崩壊も分裂もせずに近日点を通過し南半球で長大な尾を見せていました。
近日点距離qもアトラス彗星C/2024 S1の0.0083130に対しラヴジョイ彗星は0.0055561とラヴジョイ彗星の方が太陽に接近しているので期待できるかもしれません。
池谷・関彗星C/1965 S1との比較をしてみたかったのですが、光度式や光度変化のグラフを見つけることは出来ませんでした。
時代が古く、紙に印刷されたデータが残っているのでしょうけれど古い話なので誰も電子データにしていないのだと思われます。
もう一つの明るい話題は崩壊したアイソン彗星はクロイツ群の彗星ではなかったという事です。
上記の解説によるとアイソン彗星は太陽に接近して明るくなった歴史的な大彗星、キルヒ彗星C/1680 V1と似た軌道で過去に分裂した破片と考えられています。
崩壊するかどうかは彗星核の表面がどうなっているか、内部の構造や構成物がどうなっているかで決まってくると思われます。
元になった彗星が違うのであれば素性も違いそうです。
キルヒ彗星は周期1万年以上、池谷・関彗星は1,000年程度、ラヴジョイ彗星は698年とクロイツ群の彗星は何度も太陽にあぶられているので揮発し易い成分は少ない=崩壊しにくいと考えられます。
崩壊せずに近日点を通過できれば池谷・関彗星やラヴジョイ彗星のように明るく長い尾が見られるかもしれません。
本当に期待したいですね。
残念なのは近日点通過後は明け方の東の低空に見えることです。
昨日のように自宅付近では都心の汚れた空気に伴う雲に阻まれそうです。
一週間ぐらい休みを取って遠征するという訳にも行かず、悩ましいところです。