色レポ

都市・建築・インテリアを、色彩というキーワードからひも解きます。環境色彩計画に特化した企業 クリマのスタッフブログです。

昇仙峡周辺で見つけた橋の色について

2011-09-26 19:59:53 | まち色
週末の休みを利用して、山梨県北アルプスへ登山に出かけました。
…が、前日までの雨で道路が通行止め。そのためバスも運休していて、登ることができませんでした。

しかし4時間もかけて来て、何もしないで帰るのはもったいないので、近くの昇仙峡へ行きました。
紅葉には早すぎるのですが、仕方がないですね。

昇仙峡に行く前に荒川ダムを見学。
そこで今回も景色に馴染むこげ茶色の橋を見つけました!



このような色の橋を見ると、シャッターを切らずにはいられません。
カラリスト魂が揺さぶられます(笑)。
周囲の緑の美しいこと!

そして、満足した気持ちで、いざ昇仙峡の滝へ。

これが、その時の滝の写真です。



水が泥で濁ってます。
これでは確かに道路が通行止めになってもやむをえません。
登っていたら、がけ崩れに遭遇していたかもしれません。
そんな風に登山できなかった自分を慰めながら、川沿いを歩いていたら
最後にがっかりするような景色に出会いました。



荒川ダムに架かる橋とは対照的に、自然の緑よりも目立つやや彩度の高い青緑の橋。
色票を持参していなかったので、測色はできませんでしたが、せっかくの自然景観がやや損なわれているような気がしました。
惜しいっ!
この程度なら皆さんは気にならないのでしょうか?
やや色彩に対して、私が過敏になり過ぎでしょうか??

ではでは。
次回は、登山できることを願って。

aya

カラーコーンの色彩についての考察

2011-09-16 15:21:41 | カラーシミュレーション
この夏、オープンデスクに来てくれている学生への課題として、私達CLIMATが日頃気になっているテーマから一つを選んで、Photoshopを使った簡単なカラーシミュレーションによる色彩の検証を行ってもらいました。以下はその検証と考察のまとめです。こうして様々な環境を構成する要素のベースを整えることにより、より見えやすく景観にも馴染む注意喚起の方法など、考えて行きたいと思います。

街の様々なシーンで見掛けるカラーコーン。よく見掛けるものとして赤や青、または、コントラストの効いた赤と白のストライプ模様のものなどがある。それらはどれも原色でよく目立ち、主に敷地内への侵入や駐車を禁止するために使用されていることが多い。だが一方では、鮮やかな色が周辺の環境の見え方を阻害したり、安価であることから劣化しても放置されたままであったりと、景観に良くない影響を与えている、という問題があるのではないだろうか。

例えば、風情のある京都の街並みに真っ赤なカラーコーンがひとつ置いてあるとしよう。その地域固有の風景が、たったひとつのカラーコーンがあることよって台無しになってしまうのではないだろうか。また、緑がいっぱいの大自然の気持の良い景色に、真っ赤なカラーコーンが並べてあるとしよう。するとカラーコーンが自然の緑や草花等の色よりも目立ち、せっかくの自然がくすんで見えるかもしれない。
また、そのような特別な場所ではなく、私たちが普段何気なく過ごしているまちでも、このような現象が起こっているのではないだろうか。

まちとは、様々な要素を持ったもので溢れかえっている場所である。商店や住宅、緑や車や看板等多数の要素が存在している。そしてそれらは全て必ず色を持っている。ということは、まちには様々な色が存在し、商店や看板などはそれぞれの目的を、色を使って主張してくるはずだ。そのような環境にカラフルなカラーコーンが更なる主張を繰り広げると、色が散乱しまちが雑然として見え、美しくない景観となってしまうのではないだろうか。

そこで平成16年に国土交通省が策定した『景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン』を参考に、カラーコーンの色を検証してみた。ガイドラインに記載されている推奨色、10YR 8.5/0.5(オフホワイト)、10YR 6.0/1.0(グレーベージュ)、10YR 3.0/0.5(ダークグレー)、10YR 2.0/1.0(ダークブラウン)の4色である。



①10YR 8.5/0.5(オフホワイト)は、特にコンクリート等が多く見られる都市部の景観には適度な対比を持ちつつ融和的であると考えられる。だが僅かに色味を持った微妙な色合いのせいか、コーン単体で見た時に白いコーンが汚れでくすんでしまったような印象を受けた。

②10YR 6.0/1.0(グレーベージュ)は、とても日常の景色に溶け込むものとなった。ただ、馴染みすぎて景観と一体化し、カラーコーンの機能が発揮されない危険性がある。

③10YR 3.0/0.5(ダークグレー)は、明度・彩度が低いため従来のものと比較するとかなり落ち着きのある印象となる。色情報の多い街中などには、あえてこのような落ち着いた色を用いることで、人々の目を引くのではないだろうか。

④10YR 2.0/1.0(ダークブラウン)も同様に、明度・彩度が低く落ち着きがあり、ダークグレーと比べると少し黄赤味があるため、より自然な雰囲気のあるものとなった。街中ではもちろん、風情のある景色や、洗練された商店街など、色数に限りのある中で使用すると、その街が持つ雰囲気を壊すことなく存在感を放つことが出来るのではないだろうか。

次に、従来のカラーコーンの定番カラーである赤を扱い、徐々に彩度を落としてみる、という検証を行った。



こちらは、彩度を限界まで下げた④以外は、落ち着き過ぎず・目立ちすぎないものとなり、自然な見え方になるのではないかと感じた。もともとの赤色から、他の色相に変えることはしていないため、カラーコーンとしての認識性は損なうことなく周辺の景観に馴染ませることが可能であり、歩行者の安全性や境界性の確保と景観の保全をバランス良く実現できるのではないだろうか。

今回の検証のまとめとして、カラーコーンは、人々に注意を促すために、いたずらに目立つ色を使用しておけば良いと言うことではなく、背景と同時に色を考え、その景観にふわさしい色・まちの雰囲気にふさわしい色をそれぞれ選択し使用すべきことが重要であることが分かった。更に、色の鮮やかさばかりを意識するのではなく、周りのものとの明度の対比で、カラーコーンを目立たせることが可能であり、明るさの対比を効果的に利用することが重要であると感じた。

地域や場によって臨機応変に様々な色相・明度・彩度のカラーコーンを細やかに使い分けることで、まちの特徴や個性がより美しく印象的に見えてくるのではないだろうか。

静岡文化芸術大学デザイン学部空間造形学科・國米 沙希

木の色が織りなす街並み 金沢市主計町

2011-09-02 14:56:44 | まち色
こちらも仕事で行ってきました!と言いたいところですが…、
先日金沢へ「旅行で」行ってきました。

金沢は、数年前にも訪れたことがあるのですが、
その時は、年末ギリギリの雪景色で、街をゆっくり散策、という雰囲気ではありませんでした。
年末年始のお休みで金沢21世紀美術館も閉館していて、ガッカリしたのを覚えています。

今回は、美術館にも行くことができました。
でも今日ご紹介するのは、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている主計町(かずえまち)です。



木の色というと漠然と茶色を思い浮かべますが、このようにして並んだ建物を見ると
少しずつ違っていて繊細な変化が楽しめます。
繊細で落ち着いた色調の外壁と石の舗装に、夏の濃い葉の緑がよく似合います。

そして「やっぱりいいな、伝統的な街並みは。」と思ったのが、お店の暖簾です。





麻のような涼感のある素材の暖簾が風になびく様子は、実に日本的でゆったりとした時の流れを感じます。
暖色系の建物に、涼しげな白や青の暖簾。
一日歩き回った疲れも暑さも和らぐ景色でした。

ではでは。

aya