色レポ

都市・建築・インテリアを、色彩というキーワードからひも解きます。環境色彩計画に特化した企業 クリマのスタッフブログです。

天然記念物三破石の緑

2012-07-24 19:22:06 | まち色
さて、予告通りJIAツアーで見つけた色彩の第2弾として、群馬県の名勝天然記念物山破石峡で測色した緑をご紹介します。



こちらが山破石峡です。写真上部に見えているのは下久保ダムだそうです。
木々の葉っぱの緑と空の青さが印象的ですね。
この写真で「お、随分と川原の石が緑っぽいなぁ」と気づかれた方は、かなりの環境色彩通です!(笑)
ま、それはさておき、葉っぱの緑の印象が強すぎて、川原の石の緑色にあまり気づかれない方でも、
近寄ってよく見ると…



こんな感じです。
どうです?緑色でしょう?
特に左隅のやや赤みがかった石と比べるとかなり緑色が感じられるのではないでしょうか?

日塗工を使ってざっと測色してみると、





石によって違いはありますが、マンセル値でおよそ5G 7/0.7程度です。

自然の色彩なので、ばらつきがありますが、彩度が高くても2.0にも満たない感じです。

日塗工で単色で見ると彩度1.0のグリーンは、グレーにしか見えないかもしれません。
しかし、色はともにある色との比較によって随分と見え方が変わります。
白っぽい石や暖色のものと一緒に見ると、立派なグリーンです。
ですから、暖色系が基調となっている日本の街並みの中で見ると、彩度1.0でも結構緑みが感じられると思います。
配色の際には隣りに来る色とセットで配色を検討するといいと思います。

それにしても、自然の色彩は実に繊細で多様な変化があって、いつまで見ていても飽きません。

やっぱり長い年月をかけてつくられたものの厚みにはかないません。

では、ちょっと中途半端な感じもしますが、今日はこの辺で。

aya




秩父セメント第2工場で見つけた渋い配色

2012-07-16 12:21:43 | まち色
月日が経つのは早いもので、気が付けばひょんなことから参加させていただいたJIAツアー(都市デザイン部会)から早1ヶ月半が過ぎてました。
相変わらずののんびり屋ですが、今日はこのJIAツアーで訪れた秩父セメント第2工場で見つけた色をご紹介します。

秩父セメント第2工場は1956年(第1期)、1958年(第2期)に竣工した谷口吉郎+日建設計によって設計された工場で、DOCOMOMOにも認定されています。
建物の詳細については、建築の専門の方々にお譲りすることとして(笑)、下の写真をご覧ください。





雨女にも関わらず、ツアー当日は見事な快晴!
当日頂いた参考資料によると「明るくて美しい工場」を目指したとあるように、敷地内は植栽豊かで開放感があり、
非常に清々しい印象です。

そして…敷地内を見学していて思わずシャッターを切ってしまったのがこれ↓。



この高彩度の黄色と渋~いグリーンの配色がとても印象的です。
基調色のグレーに対して、補助色のグリーンは適度に明度差・彩度差があります。
彩度もありますが、アクセントの黄色を邪魔しない程度に抑えてあります。
このグリーンを日塗工で簡単に測色してみると、



マンセル値でいうと5G 4.5/2程度です。5G(グリーン)系の色相は、アクセントカラーの黄色(測っていませんが、10YRに近い色相だと思います。)と
やや色相差がありますが、彩度が十分に抑えられているので、うまく調和しています。

一方、同じ敷地内で見つけた別の配色がこちら↓。



こちらの方は、緑色が10GY 6/2.5~3と、やや明度、彩度が高くなっています。
色相は、よりアクセントカラーの黄色に近いGY(グリーンイエロー)系ですが、
明度、彩度ともに先程の5G系に比べてより高くなっているため、黄色とのメリハリがなくなり、
ややボケた印象に感じられます。
個人的には、圧倒的に最初の配色の方が落ち着きます。

皆さんはいかがですか?

JIAツアーでは、もう一つ素敵な自然の色に出会いました!
が、こちらについてはまた次回!
(いつになるかなぁ???)

では。

aya