今日は3月11日でしたね。日本のニュースサイトを読みながら、6年前にここムンバイで津波のニュースを知った時のことを思い出していました。
ムンバイに来たのですが、チェンナイで見たとっても面白い映画のことを書いておかなかったので、遅ればせながらちょっとご紹介を。『Jolly LL.B2(法学士ジョリー2)』(『The State VS. Jolly LL.B』のタイトルもあり)です。2013年の『Jolly LL.B』の続編なのですが、監督は同じスバーシュ・カプールながら、主演俳優がアルシャド・ワールシーからアクシャイ・クマールに代わっています。最初の作品も結構ヒットしたのですが、さらなるヒットを目指して、今一番油が乗っている俳優と言えるアクシャイ・クマールに主演が変更になった模様です。主人公の名前も「ジャグディーシュ・ティヤーギー」から、「ジャグディーシュワル・ミシュラー」に変更。でも、いいかげんな駈けだし弁護士ジョリーが老獪な大物弁護士相手にトリッキーな法廷闘争を繰り広げる、というパターンは踏襲されています。
愛称ジョリーことジャグディーシュワル・ミシュラー(アクシャイ・クマール)はラクノウの弁護士のタマゴ。法学士の学位を取ったあと、父が事務助手として長年仕えていた超大物弁護士リズヴィーのもとで、やはり助手として働いています。美しい妻プシュパー(フマー・クレイシー)と小学生の息子がいて、家庭生活は円満ですが、妻には頭が上がらない恐妻家でもあります。そんな彼の望みは、一人前の弁護士として独立して、事務所を構えることでした。相棒のビールバル(ラージーウ・グプター/『PK』の寺院警察署の警官役の人です)も後押ししてくれるのですが、何せお金がない。登録料(含む袖の下=ワイロ)だけでも莫大なお金がかかるのです。そんな時、新婚の夫をテロリストと間違えられ、警官との撃ち合いで亡くしたヘナー(サヤーニー・グプター)が、何とかリズヴィー弁護士に夫の無実を証明してもらいたい、取り次いでほしい、と言ってきます。「でも、リズヴィー先生に引き受けてもらっても弁護料が高いよ。少なくとも20万ルピーは必要だな」と言うと、ヘナーは何とかする、と言うではありませんか。ジョリーはつい魔が差して、「先生が引き受けて下さるそうだ。ついては20万ルピーをまず渡してほしい」とヘナーに言い、彼女が持って来たお金で弁護士登録をしてしまいます。「弁護士になれば、その信用で借金もできるし、彼女にはすぐお金を返すさ」と言っていたジョリーでしたが、その前にヘナーにネコババがバレて、お金をだまし取られて絶望したヘナーは自殺してしまいます...。
その後、ジョリー自身がヘナーの夫の名誉回復に動くのですが、この後半が素晴らしい見せ場の連続となっています。警察側が雇ったラクナウでトップクラスの凄腕弁護士プラモード・マートゥル(アンヌー・カプール)と、よき家庭人で、近づく娘の結婚式ばかりが気になる裁判官スンダルラール・トリパーティー(ソゥラブ・シュクラー)に対し、ジョリーが、亡きヘナーの夫イクバール・カーシム(マーナヴ・カゥル)にかけられたテロリスト嫌疑は名前が似ていることを利用した警察の陰謀だったことを証明していくのです。ただ、それが一筋縄ではいかず、荒波に翻弄されるようなストーリー展開になっているのが、見る者を画面に引きつけて放しません。すっとぼけたトリパーティー判事がお話を意外な展開に持ち込んだり、ジョリー有利!と観客が安心していたらどんでん返しがあったりと、もう一度じっくり見直したいぐらい面白かったです。予告編はこちらです。
Jolly LLB 2 | Official International Trailer | Now Playing in Cinemas
アクシャイ・クマールは昨年もヒットを連発しましたが、今年もこの『ジョリーLL.B 2』がすでに200カロール(20億ルピー)近くを稼ぎ、絶好調を見せつけました。冒頭には、日本でも報道されたインドの受験戦争を揶揄するシーンを入れたりと、脚本も担当するスバーシュ・カプール監督の腕は相当なもの。日本での公開は、こういう法廷闘争作品は難しいかも知れませんが、以前のアクシャイ・クマール主演作『Special 26』(2013)などと共に、映画祭や特集上映でぜひ日本の皆さんにも見てもらいたい作品です。