アジア映画巡礼

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タイ映画『ホームステイ』豪華ゲストの舞台挨拶

2019-09-19 | 東南アジア映画

昨日は、川崎のチネチッタで行われた、タイ映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』の舞台挨拶付き先行上映にお邪魔してきました。来日したのはパークプム・ウォンプム監督と、主演のティーラドン・スパパンピンヨー、そして、BNK48のリーダーでもあるチャープラン・アーリークンという豪華ゲストです。チネチッタのスクリーン10はほぼいっぱいで、司会の方が「タイの方は?」と尋ねると10人ほどの手が挙がりました。何せ、アイドルのお二人が来ているので、見たいですよね。ティーラドン・スパパンピンヨーは愛称をジェームスと言い、TRINITYというアイドルグループとしてデビューしたばかりで、その初ライブを済ませてすぐ、日本に来てくれたそうです。以下のレポートでは「ジェームス」という名前も使っていますので、混乱しないで下さいね。では、舞台挨拶の模様をどうぞ。司会は映画パーソナリティの伊藤さとりさんです。


司会:まず、一言ずつご挨拶をお願いします。

監督:コンニチハ。私はパークプムです。『ホームステイ』の監督です。よろしくお願いします。

チャープラン:(こちらはしっかりとした日本語で)皆様こんにちは。BNK48のチャープランです。今回はパイを演じています。

ティーラドン:僕はティーラドンです。ニックネームはジェームスで、映画の中ではミンを演じています。


司会:日本の小説で森絵都さんの「カラフル」が原作ですが、タイを舞台にするにあたってはどんなご苦労がありましたか?

監督:日本の小説をタイで映画化する、ということで、とてもチャレンジングでした。日本とタイはいろいろ違うので、タイに合わせて映画化するのは結構大変でしたが、全力で取り組みました。

司会:特にこだわったところはどこでしょう?

監督:原作小説を読んだことのない人にも、見ただけで内容がわかってもらえるよう、見た人にドキドキしてもらえるよう、工夫しました。VFXもたくさん使っていますが、このお二人の出演者にとても助けていただきました。感謝しています。


司会:ジェームスさんにうかがいたいのですが、難しい役だったと思います。今回、どうやって挑みましたか?

ティーラドン:ミンの役ですが、これは魂が他人の体に入り込む役です。監督からのアドバイスは、「すべてを忘れてゼロから始めよう。全部、受け入れてほしい」というものでした。僕は、ドラマの役を演じる時、結構リサーチをします。役の背景とか個性とか、そういったことを調べるんですね。でも、今回の役は魂なので、監督からは「ゼロにかえって演じて」と言われました。(生の声を聞いていて気がついたのですが、この人の声、深みがあってとてもいい声です)


司会:次はチャープランさんにうかがいましょう。タイでは国民的アイドルですが、演技は今回初挑戦でしたね。いかがでしたか?

チャープラン:まず、監督に御礼を申し上げたいです。チャンスを与えてくださって、ありがとうございました。この役をいただいた時は、とてもドキドキして嬉しかったです。パイは私と似ているところがあるので、全力で取り組むことができました。(ちょっとハスキーな、こちらもとてもいい声です。ナマ声っていいですね)

司会:事前にワークショップもおやりになったとのことですが。

ティーラドン:この作品は、撮影、そしてワークショップにも時間をかけて行われました。どちらも3ヶ月ずつかけて、全部で6ヶ月かかったんです。自分の感情を直に出さなくてはいけない時もあって、そのままでバーッとやったところもありますね。

司会:チャープランさんはどうでした?

チャープラン:私は演技が初めてだったので、ワークショップから始めてセリフを憶えるなど、ドキドキしながら3ヶ月やってきました。全力を尽くしたんですが、特にジェームスさんが私の先生になって、いろいろアドバイスをしてくれたので、やってこれたという感じです。

司会:ジェームスさんはどんなアドバイスを?

チャープラン:言葉で言うよりも、演技の手本を見せてくださった、ということです。

司会:ジェームスさんはチャープランさんの演技を見てどう思いました?

ティーラドン:ワークショップの1日目に話した時は、演技という言葉の意味もまだよくわかっていない感じでした。でも3ヶ月、ワークショップで鍛えられた結果、素晴らしい演技をするようになったと思います。


監督:チャープランは実生活ではあまり感情を外に出さない人なので、泣いたり怒ったりする演技は大変だったと思います。でも、最終的にはとてもいい演技をしてくれましたね。

司会:ジェームスさんはどうでしたか?

監督:彼の最初の印象は、正直に言うとあまりよくなかったんです(笑)。『バッド・ジーニアス』の役柄の印象が強かったんですね。ところが演技をやってもらうと、すごくいい演技ができることがわかり、あとはスムーズに行きました。

ティーラドン:日本では『バッド・ジーニアス』はどうだったんでしょう?

(大きな拍手が起きて、ティーラドンさん、お礼を言うように頭をさげました)


司会:最初のシーンはすごかったですね。雨の中、ビルの外壁を伝い歩くなんて。

ティーラドン:この映画はCGやVFXをいっぱい使っているんですが、その中でもあのシーンは大変でした。朝の6時から始まって、撮影が終了したのが次の日の朝6時、24時間かかったんです。雨に濡れて寒いし、建物から飛ぶ、というシーンばかり繰り返すので、本当に大変でした。

監督:撮影チームが「はい、それでOKです。もういいですよ」と言ったのに、彼は「いや、もっとやりますから」と言って、10数回トライしてくれたんです。

ティーラドン:僕も、あまりに大変で労働局に訴えようかと思ったんですが(笑)、思いとどまりました(なかなかユーモアもある人です^^)。この作品が素晴らしいものになったのは、本当に監督のお陰です。毎回監督は撮り終えたあとモニターを見て、パーフェクトでないとOKを出さないんです。そのお陰で、いい作品になったんだと思います。

司会:チャープランさんが苦労したところは?

チャープラン:ジェームスさんとケンカをするシーンで、感情を噴出させないといけないところで苦労しました。


司会:ところで皆さん、日本へいらしたのは何回目ですか?

監督:本当に、何回も来ているんですよ。10回以上来ていますね。

チャープラン:同じです、10回以上です。

ティーラドン:僕は一番少なくて、8回です。その中で、連ドラの撮影で九州に行ったのですが、食べ物がすごくおいしくて、とても楽しかったです。

司会:そのドラマのお陰で、タイの方がたくさん九州に行ってるそうですね。

ティーラドン:そういう噂を聞いていたんですが、本当だったんですね。できれば、佐賀ビーフを食べたいです(笑)。

司会:チャープランさんの好きな所は?

チャープラン:九州、関西、大阪、東京...。中でも一番好きなのは大阪です。学生時代に3週間、交換留学生で大阪にいたことがあるんです。そのほか東京も大好きで、第二の家みたいに感じています。

司会:監督はいかがですか?

監督:いろんなところが好きですが、新しく行った場所では、箱根で温泉につかるのが好きですね(笑)。美術館も好きですし。場所としては、広島、大阪、鹿児島...。

司会:では最後に、皆さんから日本の皆さんにメッセージを。

ティーラドン:『ホームステイ』、ミテネ!

チャープラン:(全部きれいな日本語で)『ホームステイ』をよろしくお願いします。あとでまた、見に来てください。

監督:私は今すごくドキドキしているんですが、日本の皆さんの反応が楽しみです。この作品が生まれた国に戻ってきたようなものなので、どんな反応があるのか興味津々です。楽しみにしています。


というわけで、ステキな舞台挨拶は、最後に観客と共に写真を撮って終了。『ホームステイ』10月11日(金)から公開です! 公式サイトはこちらで、最後に予告編を付けておきます。

森絵都「カラフル」をタイで映画化『ホームステイ ボクと僕の100日間』予告

 


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3 コメント

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Unknown (naoki)
2020-02-02 20:49:10
先生,ご無沙汰しております
昨年見損なったこの映画,バンコク出張のJAL機内で入っていたのでみました!
原作(小説読みました)と設定いろいろ変えてあったけど,援交場面が示唆するだっただけにせよ,先生とになっていたのはちょっと嫌だったなあ,不気味でした。全体的に私にはちょっと暗い作りで一回みたらお腹いっぱいな感じです。

同じく機内上映に入っていたベトナム映画のファーストラブはよかった! ベトナム映画ってのもいいいですね!

先生に教えていただいたエカマイの映画館はじめ,宿に近いターミナル21も今回は食指動かされる作品見当たらずで,バンコクで映画みなかったです。
去年はグリーングック,その前かな?にはラ・ラ・ランドみて,これ好きやなあっておもたんですがね

ところで母校キャンパス,20年度限りですね!
いや,先生の時代は上本町だけですかね

では今年もボリウッド,昨年公開のバジュランギおじさんやシークレットスーパースターみたいな作品あればうれしいです
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naoki様 (cinetama)
2020-02-03 02:05:56
コメント、ありがとうございました。
バンコク出張にいらしたのですね。
お泊まりはスクンビット地区だったのですか。
インド映画もご覧にならなかったようで残念ですが、まあ、『グリーンブック』と比べられたら、見応えがそれと同じかそれ以上の作品というとあまりないですもんねー。

大阪外大(現大阪大)は箕面の山の中、というと語弊がありますが、不便な所から今度は電車の駅にも近いところに移転するようで、よかったです。
私は一度しか行ったことがないので、バスにも乗らなアカンかってえらい遠かった、という思い出しかないんですが、あそこに通いはるのは大変やったことでしょう。
(この頃ミルクボーイとカジサックにハマってまして、脳がすぐ大阪弁モードになってしまいます...)

今年のインド映画はさて、どうかなあ。
見応えはあっても、お好みに合う作品は少ないかも知れませんね...。
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Unknown (naoki)
2020-02-03 16:02:05
ご返信ありがとうございます,先生
そうなんですか,今年のインド映画は私の趣味に合いそうな,最後にはいい気持ちになれる感じのものは少なそうなんですね。残念です。

3月にシンガポール出張です。
さてまた機内上映なり,現地で何か,日本未公開作品や見逃し作品で趣味のあうのがあればいいなあと期待しています。
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