アジア映画巡礼

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見応えのあったヴィジャイの新作『Leo』

2023-10-20 | インド映画

昨日、インドで封切られたタミル語映画『Leo(レオ)』をその日に見られるという幸運に恵まれました。主演はヴィジャイで、監督はローケーシュ・カナガラージ。ヴィジャイ主演作は、今年1月にも『Varisu(相続人)』が公開されているのですが、それに続き本年2作目のリリースとは、一昔前の「年に2回、ヴィジャイ祭り」状態に戻った感じですね。ローケーシュ・カナガラージは、ヴィジャイ主演作『マスター 先生が来る!』(2021)を大ヒットさせているほか、その前々年にはカールティ主演作『囚人ディリ』(2019)で話題を呼び、そして昨年はカマル・ハーサン主演作『Vikram(ヴィクラム)』(2022)を大ヒットさせているという、今最も稼げる監督の1人です。『Leo』も昨日の初日だけで14億ルピーの興収だったそうで、ヒット街道を驀進しそうです。映画のデータを付けておきましょう。

『Leo(レオ)』
 2023年/タミル語/164分
 監督:ローケーシュ・カナガラージ
 主演:ヴィジャイ、トリシャー、サンジャイ・ダット、アルジュン、G.V.メーナン、ジョージ・マリヤン

40歳台と思われるパルティバン(ヴィジャイ)は、北方インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州の町のカフェ経営者。美しい妻サティヤ(トリシャー)と高校生の息子、小学生の娘と仲良く暮らしています。そんなある日、町にハイエナが現れ、皆を恐怖に陥れます。パルティバンと親友の森林警備官ジョーシー(G.V.メーナン)が協力し、最後は麻酔を撃ってハイエナを捕らえますが、一時は大騒ぎになりました。そんな時、凶悪な犯罪集団が町の金持ちを狙い、次にはパルティバンのカフェに目を付けます。夜遅く、すでに閉店している店内に無理矢理入ってきたのは、集団の1人であるサイコパスみたいな男。仕事を終えて帰ろうとした女性従業員とパルティバンの娘を人質にし、やがて彼の仲間もやってきて、パルティバンは売上金全額を差し出しますが、サイコ男は執拗に彼らをいたぶります。するとパルティバンの怒りが爆発、彼は銃を手にすると、あっという間に犯罪集団の全員を始末してしまいます。

警察が捜査に入り、パルティバンの行為が正当防衛か、過剰防衛かで争われ、事件の報道は新聞を賑わせます。それを読んだ南インドのギャングのアントニー(サンジャイ・ダット)とハロルド(アルジュン)は、パルティバンの写真を見て驚きます。「こいつ、レオじゃないか」「あの時、死んだんじゃなかったのか」。こうして2人のギャングのうち、アントニーがヒマーチャル・プラデーシュ州にやって来、パルティバンにつきまとい始めます....。

レオなる謎の人物を巡るお話になっているのですが、この設定はどこかで見たような...。とはいえ、脚本がかなりうまく作られていて、最初の獰猛なハイエナも、「雪山にいるのか!」と思ったらちゃんとストーリーの中に組み込まれていましたし、脚本の勝利、というところですね。あと、アクションシーンが結構生身のアクションになっていて、ヴィジャイが八面六臂の大活躍。久々に、イタいアクションを見せてもらいました。見ながらずーっと疑問に思っていたのは、ヴィジャイの役って「ショコラティエ」じゃなかったの? という点で、ずっと昔の予告編では、長い剣をチョコレートディップしていたシーンがあったような...。チョコレートは撮っているうちに脇に追いやられたようでした。悪のボス役にまたまたサンジャイ・ダットが出てきたので、少々辟易していたら、彼とバトンタッチするかのようにアルジュンが参戦、なかなかダイナミックなアクションシーンを見せてくれて大満足。20年ほど前は、いい人の役ばっかりだったのに、いつから悪役に転向したのやら、と少々悲しく見てしまいましたが、イケおじぶりはなかなかで、悪役以外もイケるのではと思います。

笑ってしまったのは、『囚人ディリ』(上写真)の真面目な老おまわりさん、ジョージ・マリヤンが登場したことで、ローケーシュ・カナガラージ監督、あの『囚人ディリ』のおまわりさんによほど執着があるのねー、と思ってしまいました。今回も、ドジをしたりもしながら活躍します。あと、自身も監督であるG.V.メーナンは、パルティバンの親友役で手堅い演技を見せ、トリシャーはホッと見る者を和ませてくれる、というとてもいい配役でした。日本でも公開されるといいですね。日本語字幕で、もう一度じっくり見たいです。最後に予告編を付けておきます。

LEO - Official Trailer | Thalapathy Vijay | Lokesh Kanagaraj | Anirudh Ravichander

 


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