goo blog サービス終了のお知らせ 

アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

飛びます、飛びます、3D『ドラゴンゲート』

2012-12-21 | 香港映画+中国映画

先日、徐克(ツイ・ハーク)監督の新作『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』の試写を見せていただきました。3D作品です。

原題は『龍門飛甲』で、下敷きになっているのは言わずと知れた胡金銓(キン・フー)監督の名作『残酷ドラゴン・血斗!竜門の宿(龍門客桟)』 (1967)、そしてそれのリメイクであるツイ・ハーク脚本&製作作品『ドラゴン・イン(新龍門客桟)』 (1992)です。とはいえ、前作から20年、本作はストーリーの大枠を前作から借りているだけで、まったく別物のハイパー時代劇となっています。では、まずは基本データをどうぞ。

 『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』 公式サイト
(2011年/中国/121分/原題:『龍門飛甲』)

<キャスト>
 ジャオ:李連杰(ジェット・リー)
 リン:周迅(ジョウ・シュン)
 ユー/フォン(二役):陳坤(チェン・クン)
 グー:李宇春(リー・ユーチュン)
 チャン:桂綸[金美](グイ・ルンメイ)
 スー:范曉萱(メイヴィス・ファン)
 ワン督主:劉家輝(リュー・チャーフィー)

<スタッフ>
 製作・監督・脚本:徐克(ツイ・ハーク)
 製作総指揮:于冬(ユ・ドン)
 製作:施南生(ナンシェン・シー)
 アクション監督:元彬(ユエン・ブン)
 美術:奚仲文(イー・チュンマン)
 撮影:蔡崇琿(チョイ・スンファイ)
 3D監修:チャック・コミスキー

 配給:ショウゲート
 協力:ハピネット

2013年1月11日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー。

お話の始まりは陰謀渦巻く宮廷から。皇帝の子を宿した官女スー(メイヴィス・ファン)は、皇后とつるむ宦官ユー(チェン・クン)の手から逃れ、船で逃げ延びますが、途中で見つかってしまいます。それを助けたのは女剣士のリン(ジョウ・シュン)。一方、仲間と共に役人を懲らしめている剣士ジャオ(ジェット・リー)は、ユーを倒そうとしますが、仲間を失った上、ようやくのことで逃げのびる羽目に。

その後彼らは、徐々に砂漠の真ん中にある宿屋へと集まって来ます。先からそこにいたのは、盗賊団と思われる異民族の一味。彼らに君臨する女王チャン(グイ・ルンメイ)もまた、相当な使い手のようです。リンとスーに続き、ユーの手下である宮廷役人の先遣隊が現れ、さらに女剣士グー(リー・ユーチュン)と情報屋のフォン(チェン・クン二役)も姿を現します。ところが、フォンはなぜかユーにうり二つ。フォンをユーかと思いこみ、宮廷部隊は混乱をきたしていきます。

彼らが砂漠に集まってきたのは、間もなく60年に一度の砂嵐が襲って来、嵐によって300年前に砂漠の下に沈んだ都市が現れてその財宝が手に入る、という情報を得たからでした。宮廷部隊Vs.残りの剣士たち、という闘いが続くうちに、巨大な砂嵐がついに彼らを襲ってくるのですが...。

えーっと、今回も忙しく、宣伝会社から正規のヴィジュアルを頂戴できませんでした。というわけでホントはいけないんですが、春に香港国際映画祭で手に入れたスチールを付けておきます。右から、チェン・クン、グイ・ルンメイ、リー・ユーチュンです。一番左のいかついお兄さんは、韓飛行(ハン・フェイシン)という人で、ボクシング界出身のようです。

まあー、これだけ主人公がいるわけですから、ストーリーも闘いも目まぐるしく展開していき、ちょっと頭がクラクラ。人間もピューピュー飛ぶし、剣やら小刀やらムチやら武器もピューピュー。まさに「飛甲」状態がエンエン続きます。CGとワイヤー大盤振る舞いのアクション、見ていてこちらもだんだん疲れてきます。見るのに、かなり体力を必要とする作品であることから、ハリウッドもスタミナ切れで降参したのかも知れません(笑)。

ただ、チェン・クン演じる宦官ユーが出てくる場面だけは、ものすごく魅力的です。ピューピュー飛ぶ武器の代わりに、画面にお花が飛んでいるような、なまめかしいチェン・クンの姿がたっぷりと拝めます。それに、ジェット・リーよりも見栄の切り方が上手な感じも。ビシッ、ビシッと画面が引き締まるのは、チェン・クンが出てきた時が一番です。ファンの方はぜひお見逃しなきよう。

肝心の3Dなのですが、私がへそ曲がりなのか、一番3Dを体感したのは最初のタイトルの所でした。字が浮き出ている感じが、3Dらしさを一番感じさせてくれるのです。これは、三池崇史監督作品『一命』 (2011)を見た時も同じ感想を持ったのですが、立体感を最も感じさせるのが画面に字が出てきた時、というのは皮肉な限り。アクションはむしろ、2Dの方が迫力があり、美しく見える気がします。今後3Dは、ハリウッドに任せといていいんじゃないかなあ、中国&香港映画界の皆さん。

 

 


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 見ました!『命ある限り』 | トップ | 予想とは違った『最愛』 »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ガルーダの機内で見ましたが... (アハマド)
2012-12-22 10:18:46
本作はガルーダインドネシアの機内で見たので3Dではなかったのですが、正直ひどい作品だなあという感想です。舞台装置と映像処理が派手になっただけで、これなら「新龍門客桟」の方がまだ良かったと思います。終盤のどんでん返しもとってつけたように感じられて落胆しました。

胡金銓のオリジナル「龍門客桟」に心酔している私としては、懲りないツイ・ハークにただ呆れるばかりです。大作時代劇が好きな大陸の観客にはウケルのかもしれませんが...

ネガティブなコメントで申し訳ないのですが、実際のところ80年代にツイ・ハーク映画に熱狂して香港映画に開眼した日本のファンは少なくないと思われ、その一人として正直な感想を書いてみました。ごめんなさい。
返信する
アハマド様 (cinetama)
2012-12-23 00:11:22
コメント、ありがとうございました。

えー、「ひどい作品」と言ってしまうと身もフタもありませんが、確かに.....(ゴニョゴニョ)。
でも、チェン・クンは非常に「いろっぺー!」という感じに撮られていまして、これは拾い物でした。アングルとか、いちいち決まるんですよー。衣裳も素敵でしたし、イケメン好きの私としては、まあこれだけでオーケーかと。
あと、チェン・クン扮する宦官の部下も、結構美形が揃ってましたよ。まあ、そのあたりが見どころですかねー。(結局、ホメてない気が....)
返信する
役者は悪くないです (アハマド)
2012-12-24 12:46:37
我ながら失礼とは思いつつ、「ひどい作品」と書かざるをえなかった心情を汲んでいただいて大変恐縮です。なまじお金がかかっているだけに、ストーリーや映像処理の問題点が目について、つい辛口となってしまいました。

仰るとおり、役者陣には不満はありません。イケメンを揃えたところもいいですね。でも、それだけに欠点が目についてしまうのは如何ともしがたいです。

私の場合「胡金銓原理主義者」という偏見もちなので、どなたか中立な方のご感想をお聞きしたいところです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

香港映画+中国映画」カテゴリの最新記事