アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

興奮の3時間が眼と胸に焼き付く『RRR』🚩1⃣主人公の2人

2022-09-13 | インド映画

ここのところ、『RRR』漬けになっています。10月21日(金)から公開されるインド映画『RRR(アールアールアール)』(2021)は、インド映画ファンの皆様ならとっくにご承知の通り、『バーフバリ』二部作(2015&2017)を作って大ヒットさせたS.S.ラージャマウリ監督の最新作です。このブログでも、インドでの『RRR』製作中からたびたびいろんなニュースをお伝えしてきたのですが、まさかこんな作品になっているとは。当初のニュースは、南インドの旧アーンドラ・プラデーシュ州(現在のテランガーナ州とアーンドラ・プラデーシュ州)で反英闘争を戦った2人の偉人をモデルにして、その活躍を描いていく、というものでした。それはこちらの記事でもご紹介した通りだったのですが、史実を大胆すぎるほど大胆に脚色し、1+1を20ぐらいにしたパワフルなストーリーを紡ぎ出したのが、映画『RRR』だったのでした。まずは映画のデータと、簡単なストーリーをどうぞ。

©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

『RRR』 公式サイト
2021年/インド/テルグ語、英語、ほか/原題:RRR(アールアールアール)
 監督・脚本:S.S.ラージャマウリ 
 原案:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード 
 音楽:M.M.キーラヴァ―二
 出演:NTR Jr.、ラーム・チャラン
 配給:ツイン
10月21日(金)より全国公開

©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

舞台は1920年のインド。1958年にイギリスの統治下に入ってから60年余り。そして、カルカッタ(現コルカタ)からデリーに遷都して10年足らず。イギリスはますます強大な力をふるい、インド人を見下して、横暴の限りを尽くしていました。南インドの森の中にあるゴーンド族の集落では、狩猟のためやってきたイギリス総督が、総督夫人の望むゴーンド族のペイントが上手な少女マッリを連れ去ろうとしていました。部下に命じて銀貨2枚を投げつけさせると、マッリを車に乗せ去って行こうとする総督一行。マッリの母ロキは非力ながら抵抗しますが、頭を殴られてその場に倒れてしまいました。

デリー郊外では、警察の駐屯地に民衆が押し寄せていました。「ラーラー・ラージパト・ラーイを自由にしろ!」捕らわれた政治指導者のラーラーの釈放を要求する群衆は、駐屯地の鉄条網を壊さんばかりの勢いで迫ってきます。そんな彼らを静かにさせたのは、警官ラーマ(ラーム・チャラン)の果敢な捨て身の行動でした。満身創痍となったラーマでしたが、後日の顕彰の場では一切報償なし。彼はなぜか、出世を強く望んでおり、今回の結果に大いに失望します。

一方、デリー郊外の森の中では、ビーム(NTR Jr.)が野獣を捕まえようとしていました。山犬は逃したものの、大きなトラを捕まえたビームは、ムスリム(イスラーム教徒)の服装に戻り、デリー市中へと帰っていきます。実はビームとその仲間は、ゴーンド族からマッリ奪還のために派遣された「羊飼い」たちでした。この情報を得たイギリス総督の妻は、「生け捕りにすれば特別捜査官に昇進させる」と警官たちに約束します。ラーマは「羊飼い」の仲間らしい男と接触したのですが、逃げられてしまいます。

男を追いかけて橋の上までラーマが来た時、橋の下段の鉄道線路では燃料を積んだ貨車が通過していました。ところが摩擦熱で火花が走り、燃料に火がついて大変なことに。ビームに頼まれて丸船で魚獲りに出た少年は、川に落ちてきた燃えさかる燃料タンクのそばで立ち往生してしまいます。これを見たラーマは、橋の上から河岸にいるビームに合図を送り、二人して救出作戦を実行に移します。まるでサーカスのようなこの作戦で少年の命は救われ、ラーマとビームは親友の契りを交わすことになったのでした...。

©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

冒頭部分は章立てされていて、「STORY」「FIRE」「WATER」とお話が展開していったあと、上記のシーンとなって、その後にタイトル『RRR』が出て来ます。タイトルが出るまで39分。もうすでに、1本分映画を見たような感覚に陥ってしまいますが、まだまだこれからが本番よ、なのでした。こんな風に、最初から最後まで中身がぎっしりの作品で、それなら疲れるかと言えばそんなことは全然なく、あらゆるエピソードが上手に組み合わされていてダレることなくラストまで引っ張って行かれる作品です。中でもアクション・シーンの凄さはハンパではなく、上の橋をめぐってのアクション始め、口をあんぐりと開けてしまう級のアクションが次々と出て来ます。NTR Jr.とラーム・チャランも、よくやった、と誉めてあげたいアクションの数々で、見応え200%でした。アクション好きの皆様、楽しみにしておいて下さいね。

©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

途中でストーリーは20年ほど前にさかのぼり、ラーマの少年時代に父(アジャイ・デーウガン)と母(シュリヤー・サラン)がイギリス軍との戦いで命を落としたエピソードが語られます。それなのに、なぜラーマはイギリス警察の中で忠実な警官として勤務しているのか―そういった謎もおいおい解けていくのですが、この脚本もうまくて、ぐいぐい引き込まれます。さらにうまいのがラーム・チャランとNTR Jr.の演技で、特に微妙な表情の変化とかがよく現れるNTR Jr.の演技の素晴らしさは、本作を面白くする大きな要素になっています。山出しのビームに、学問もあり、洗練されたラーマという取り合わせは絶妙で、どちらもが度を超さず、友情をはぐくみながら互いを探ってもいく、という緊張感も漂わせながら、観客をグイグイグイと引っ張って行ってくれます。

©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

実は今、劇場用パンフレットに資料的なことを書くので、調べに調べている最中です。いろんな人の助言ももらったりしながら、S.S.ラージャマウリ監督の意図を理解すべく、勉強を重ねています。本当に、ラージャマウリ監督作品は、深読みする楽しみがあっていいですねー。最後に予告編を付けておきますが、今週からマスコミ試写も始まるので、ネット等に映画評とかも出始めると思います。どんなに鋭い映画批評であっても、この映画の本物には敵いませんので、どんどん紹介や批評を読んで、劇場でご覧になる日を心待ちにしていて下さいね。

映画『RRR』本予告 10/21(金)公開

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ホテル・ムンバイ』を一緒... | トップ | インド映画『エンドロールの... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

インド映画」カテゴリの最新記事