2001年に国際交流基金が行った映画祭<インド映画の奇跡:グル・ダットの全貌>がふたたび蘇ります。アテネフランセ文化センターで、全作品の上映が4月に行われるのです。
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グル・ダット(1925.7.9~1964.10.10)は、1950年代・60年代を代表する映画監督であり、俳優でもあります。どんな作品を作った人か、ということは、下記HPにある次良丸章さんのコメントをどうぞ。私の各作品へのかなり偏ったコメント(★)も、ご参考になれば幸いです。なお、このサイトで使った写真は、私がNational Film Archive of Indiaで焼き増ししてもらったもの(◎印)、並びに1988年の<大インド映画祭>等で使用後、インド映画祭実行委員会が保存しているもの(※印)です。
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特集 グル・ダットの全貌 Guru Dutt Retrospective HP
2012年4月11日(水)ー4月21日(土)(日曜休館/10日間)
■上映作品(上映スケジュールは上記HPをどうぞ)
『賭け』 (原題:Baazi/1951/モノクロ/137分)
監督:グル・ダット
主演:デーウ・アーナンド、ギーター・バーリー
★私の大好きなギーター・バーリー(左)が、酒場の歌手になって出演。彼女の歌のシーンはいずれも魅力に満ちあふれていて、アッと驚く雨降りソングなど衣裳も印象に残ります。昨年亡くなったデーウ・アーナンド(右写真の左)も、水も滴るいい男ぶりを発揮しています。実は、グル・ダットも一瞬出演。また、その後グル・ダット映画の常連となるコメディアン、ジョニー・ウォーカーもチラと出演しています。ノワールものにも分類できるサスペンス作品。
(◎)
『網』 (原題:Jaal/1952/モノクロ/133分)
監督:グル・ダット
主演:デーウ・アーナンド、ギーター・バーリー
★ゴアを舞台にした、キリスト教の宗教色が色濃く出ている作品。これにもグル・ダットはカメオ出演。
『鷹』 (原題:Baaz/1953/モノクロ/150分)
監督:グル・ダット
主演:グル・ダット、ギーター・バーリー
★王国を舞台にした活劇は、当時の人気テーマ。初めてグル・ダット自身が主演。
(◎)
『表か裏か』 (原題:Aar Paar/1954/モノクロ/140分)
監督:グル・ダット
主演:グル・ダット、シャーマー、ジョニー・ウォーカー
★いろんな要素を盛り込んだ、ハリウッド映画調ラブコメ。ジョニー・ウォーカーが本作から助演級で出演するようになりました。
『55年夫妻』 (原題:Mr. & Mrs. 55/1955/モノクロ/152分)
監督:グル・ダット
主演:グル・ダット、マドゥバーラー、ジョニー・ウォーカー
★グル・ダットと美女マドゥバーラーという組み合わせが楽しい社会風刺コメディ。グル・ダットの役は、有名な漫画家R.K.ラクシュマンがモデル。ヒロインがプールで歌い踊るシーン(右)は、カメラワークが素晴らしいです。
(◎)
『渇き』 (原題:Pyaasa/1957/モノクロ/145分)
監督:グル・ダット
主演:グル・ダット、ワヒーダー・ラフマーン、マーラー・シンハー、ジョニー・ウォーカー
★グル・ダット映画の最高峰とも言え、人間の魂の奥底を覗かせてくれる作品になっています。この作品から、グル・ダット映画のミューズ、ワヒーダー・ラフマーンが(右写真下)登場しました。
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『紙の花』 (原題:Kagaz Ke Phool/1959/モノクロ/148分)
監督:グル・ダット
主演:グル・ダット、ワヒーダー・ラフマーン、ジョニー・ウォーカー
★インド初のシネマスコープ作品。グル・ダットの実人生をなぞったような映画で、高名なプレイバック・シンガー(映画音楽の吹き替え歌手)の妻ギーター・ダットがいながら、自作品のミューズ、ワヒーダー・ラフマーンを愛してしまったグル・ダットと、主人公の映画監督とが二重写しになります。シネスコならではの構図が随所に生かされており、大画面で見てこそ楽しめる作品と言えます。DVD化もされていますが、未見の方はこの機会にぜひ。
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『十四夜の月』 (原題:Choudhvin Ka Chand/1960/170分)
監督:M.サーディク
主演:グル・ダット、ワヒーダー・ラフマーン、ジョニー・ウォーカー
★興行的に失敗した『紙の花』以降監督をしなくなったグル・ダット。ラクナウの町のイスラーム文化を背景に、パルダー(女性隔離)が引き起こす恋と悲劇を描いた本作は、イスラーム文化に詳しい監督に、というグル・ダットの希望で、イスラーム教徒のM.サーディクとなりました。
(◎)
『旦那様と奥様と召使い』 (原題:Sahib Biwi Aur Ghulam/1962/モノクロ/157分)
監督:アブラール・アルヴィー
主演:グル・ダット、ミーナークマーリー、ワヒーダー・ラフマーン
★稀代の名女優と言われたミーナークマーリーの演技が見物。ベンガル語小説が原作で、ベンガル的文芸風味に溢れた作品となっています。
『グル・ダットを探して』 (原題:In Search of Guru Dutt/1989/ドキュメンタリー/カラー/84分)
監督:ナスリーン・ムンニー・カビール
★グル・ダットの生涯とその作品を丁寧に辿っており、グル・ダット作品をよく知る観客には応えられないドキュメンタリーです。グル・ダットの作品を見て、この映画を見て、さらにもう一度その作品を見ると、様々なことがよく理解できます。お試し下さい!
■全作品日本語字幕付き
■各回入れ替え制
■料金
一般=1回券1000円/3回券2700円
アテネ・フランセ文化センター会員=800円
※アテネ・フランセ文化センター会員入会をご希望の方は登録が必要になります(当日入会可)
登録料:一般1500円/アテネ・フランセ学生1000円(約1年間有効)
■会場&お問い合せ
アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
03-3291-4339(13:00-20:00)
■主催
アテネ・フランセ文化センター
■フィルム・写真提供及び協力
国際交流基金
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4月はぜひ、グル・ダットの魅力に浸って下さいね。YouTubeにはたくさんの映像がアップされていますが、ここでは1つだけ、『十四夜の月』の主題歌シーンを付けておきます。この映画はパートカラーで、このシーンだけカラーで撮られたのでした。今回の上映は残念ながら全編モノクロなので、こちらでカラー版をお楽しみ下さい。