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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

チェンナイで見た映画

2013-03-11 | インド映画

昨日からムンバイに来ています。ムンバイのホテルは、カールという国内線空港に近い地域にある小さなビジネスホテル、バワ・スイートです。

なかなかいいお部屋なのですが、このホテル本当に小さくて、1つの階に4部屋しか作ってありません。まあ、その分部屋は割と広いんですけどね。エレベーターも人の横幅×3人分ぐらいしかない箱(!)なので、ちょっとコワイです。日本の基準だとまず合格してないな、このエレベーター、という感じ。このホテル、多分以前バワ・インターナショナルと言っていたのでは、と思うのですが、その時代からのエレベーターらしく、扉は手動で開け閉めします。何だか、古さと新しさが同居した面白いビジネスホテルです。

さて、ムンバイに早めにやってきたのはある方々のお仕事現場にまぜてもらうためなのですが、ここに書いていいのかどうか許可を取るのを忘れたので、そちらはちょっと後回し。その方たちと一緒に行ったのはこういうシネコンとかです。

右の写真はまもなく公開される作品『走れ、ミルカー(Run Milkha Run)』のポスター。主演男優は、何と、『闇の帝王DON ベルリン強奪作戦』の監督、ファルハーン・アクタルです。やっぱり、役者の方が、今彼がやりたいことなのでしょうか。

ここでちょっと、チェンナイの報告を追記しておきます。あのあと見た映画は2本。カマラハーサン主演の『ヴィシュワルーパム』と、ヒンディー語映画『わが人生3つの失敗(Kai Po Che)』です。『わが人生3つの失敗』は、間もなく大阪アジアン映画祭で上映されるので、関西の方はご覧になれますね。

『ヴィシュワルーパム』以前ご紹介したので憶えていて下さると思いますが、テロと戦う主人公の物語です。ニューヨークでカタック・ダンスを教えている主人公と、彼のおだやかさに飽き足らず別の男に心惹かれている若い妻、という昼メロみたいなお話から一変し、この主人公が暴力も辞さない国家エージェントだった、とわかるまでが一つの山場。主人公はイスラーム教徒過激派のテロを阻止するため、アフガニスタンにある彼らの組織に潜入していた過去を持つ、というところで、アフガン時代が描かれるのも見せ場となっています。若い妻が原子力の専門家という設定がうまく生きるラストなど面白いのですが、描写が荒っぽいところもあり、これでは物議を醸すのも仕方ないかも、と思ってしまいました。インドを舞台にした続編も作られるようですが、見たいかと言われれば「う~ん」。でも、チェンナイでは皆さん、この映画を薦めてくれました。

続いて見た『わが人生3つの失敗』は、グジャラート州アフマダーバードを舞台にした作品です。2000年から話が始まり、3人の若者イシャーン、オーミー、ゴーヴィンドが登場します。イシャーン(スシャント・シン・ラージプート)はクリケットの花形プレーヤーだった過去を持ち、クリケットとなると夢中になるという欠点を持っています。オーミー(アミト・サード)はヒンドゥー教の右翼政党を組織する叔父から、早く自分の党に入って活動しろ、と言われています。一方ゴーヴィンド(ラージ・クマール・ヤーダウ)は堅実な考え方をする若者で、イシャーンの妹の家庭教師もしながら、クリケット選手を養成するスポーツクラブの経営を考えています。

オーミーの叔父の助けを借りて、やっとクラブがオープンし、運動用具の販売も軌道に乗り始めました。そしてイシャーンは、将来有望な男の子アリーを発見し、彼の訓練に夢中になります。彼らが新しいクラブの場所を見つけ、事業を拡張しようとした矢先、2001年のグジャラート大地震が起きます。そして、その痛手がやっと癒えた頃、ある凄惨な事件をきっかけにヒンドゥー教徒とイスラーム教徒の対立が激化していきます...。

実際の出来事をうまく織り込みながら、3人の若者の友情と離反を描くこの作品、青春映画でもあり、インド現代史の一側面を的確に捉えた映画でもあり、と、とても広がりを持つ作品になっていました。オススメですので、関西の皆様は大阪アジアン映画祭での上映をぜひお見逃しなきよう!

監督はアビシェーク・カプール。前作『ロック・オン!(Rock On!)』 (2008)も男の友情を描く作品でしたが、今回はさらなる奥行きを見せてくれて、これからが楽しみな監督となりました。

 


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7 コメント

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Unknown (michica)
2013-03-11 18:06:09
場所は違えど、同じ日に同じ作品を見ていたなんて、なんか嬉しいですね(^^♪
こちらのホテルもシネコンも小洒落た感じが素敵です。
ということは、『走れ、ミルカー(Run Milkha Run)』は違う監督で主役がファルハーン・アクタル監督なんですね? イケメンなので私的にOKですが(笑)。そのうち自作自演しそうですね。
追伸:昨日は映画の帰りに電車でボリウッド4のチラシを教科書読みしてみました。 凄い視線でしたよ。ははは(*^^)v
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日本で開催される映画祭一覧 (やっちゃん)
2013-03-11 22:10:14
はじめまして、山本と申します。

日本で開催される映画祭の一覧を作りました。
小さい映画祭まで網羅しているものがなく、更新が止まっているものが多いので、自分で作りました。

アジア関係の映画祭は、いろんな地域で開催されています。
よろしければ、ご利用ください。

私自身は、ラオスの国境沿いのタイの田舎に住んでいます。
煮炊きものは炭で行い。電話回線もない田舎です。
固定電話が普及する前に、携帯電話が普及してしまったためですが。
無線ネットがあるため、情報については困りません。

http://www.ajisai.sakura.ne.jp/~tabi/rink/01eigasai.htm



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わが人生3つの失敗 (shoko)
2013-03-11 23:32:51
大阪アジアン映画祭で見ました。
素晴らしかったです!!インド映画の底力と新しい魅力が満載でした!
監督の来日がキャンセルになり残念でした。
「カイト」の時も挨拶をされた「スラムドッグ・ミリオネア」の原作者ヴィカース・スクループ総領事が登壇され、今年はたくさんのインド映画が公開されるので、ぜひ楽しんでください、と。(6月に離日が決まっているそうです。)原題は、切れた凧のような不安定な気持ちと、教えてくださいました。
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michica様 (cinetama)
2013-03-12 02:08:27
コメント、ありがとうございました。

お~っと、大阪アジアン映画祭での上映は10日(日)だったのですね。よく確認しないで、「これから上映」なんて書いてしまってすみません。もう1回上映がありますので、見逃した方はぜひそちらにいらして下さいね。

『走れ、ミルカー』の監督は、ラーケーシュ・オームプラカーシュ・メーヘラーです。『愛国の色に染めて(Rang De Basanti)』(2006)や『デリー6』(2009)の監督です。ですので、こちらも結構いい出来では、と思います。なお、モデルとなったミルカー・シンについては、下のウィキをどうぞ。

http://en.wikipedia.org/wiki/Milkha_Singh
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山本様 (cinetama)
2013-03-12 02:12:03
初めてコメントをお寄せ下さり、ありがとうございました。

今はイサーンにお住まいなのですか? お仕事の関係なのでしょうか。のちほど、ブログを拝見してみます。

また、ご労作の地域別映画祭リスト、ありがとうございました。すごくたくさんあってびっくりです。ご興味のある方はぜひご覧になってみて下さいね。
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こんばんわ (アンダーブジヤ)
2013-03-12 05:14:19
やっとデリーに戻ってきました。相変わらずのどたばたの、
インド国内出張、楽しい反面疲れます。
デリーの家を掃除しなきゃと思いつつ、
このように小さなホテルでも綺麗なのがいいですね。
さて、2001年のグジャラート大地震、私はとても思い出が
あって、初めてインドに来た理由がこの大地震の災害救援ボランティア、小さな地方都市グジャラート、ジャムナガル。
滞在しながらインドで人生が変わったこと、このブログにも
インド人に紹介してもらった、日本人の妻と結婚したから知りえたこと、インドには不思議な縁です。
そのインドの映画の大スターのカーン様の娘さんが、
将来は女優になりたいとのコメントをカーン様が発言していました。将来も楽しみなスーパースターファミリーです。
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アスガー・ファルハディ監督 すばらしい (やっちゃん)
2013-03-14 22:35:47
よくご存知ですね。
タイの東北部イサーンです。
少し早かったですが、仕事を引退しました。


昨年はイラン映画を福岡の映画祭で見ました。
アスガー・ファルハディ監督のものです。
何の予備知識もなく見たら、引き込まれました。

彼女が消えた浜辺
別離

見終わった後に、その映画に出いた俳優と話をする機会があり、イランの社会、特に結婚制度について、いろいろ知ることができました。

後で知ったことなのですが、いろんな映画祭で賞を取っている監督なのですね。
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