10月11日(金)よりインディアン・フィルム・フェスティバルが始まり、続いて第26回東京国際映画祭と続きますが、それが終わればいよいよ『マッキー』の初日です。先日「キネマ旬報」に紹介記事を書くために何度も見直したのですが、ますます惚れたぜ、マッキー!なので、ブログでもちょっとご紹介を。まずは、映画のデータをどうぞ。
『マッキー』 公式サイト
ⓒ2012 Varahi Chalana Chitram. All rights reserved
2012/インド/ヒンディー語/カラー/125分/シネスコ
原題:Makkhi(ヒンディー語)/Eega(テルグ語)
原作・脚本・監督:S.S.ラージャマウリ
音楽監督:M.M.キーラヴァーニ
出演:ナーニ、スディープ、サマンサ・ルス・プラブ
提供:メダリオンメディア
配給:アンプラグド
◎10月26日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開
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【 ストーリー 】(配給会社から配信されたものに一部手を入れました)
ジャニ(ナーニ)は、通りを隔てた向かいに住む美人のビンドゥ(サマンサ・ルス・プラブ)に片想い中。彼女は小さなアクセサリーなどを作るマイクロ・アーティストで、NGO活動にも熱心だった。一方、建設会社社長のスディープ(スディープ)は野心家で自信家、そして無類の女好き。裏の世界にも通じており、金と権力とルックスでこの世に落とせない女はないと思っている。彼はある日、NGOへの寄付を募りに来た美しいビンドゥにすっかり心を奪われてしまう。その頃ジャニは、ビンドゥに想いを伝えて見事両想いに。しかし、多額の寄付金で彼女がすっかり自分の手に落ちたと勝手に思っていたスディープは、怒り狂ってジャニを呼び出し、なぶり殺しにしてしまう。ところが、死んだジャニは生まれ変わる。新たに生を受けた体はなんと、ハエだった! ハエになったジャニは前世でのスディープへの恨みを思い出し、奇想天外な大復讐劇を繰り広げていくが・・・。今、人間とハエの仁義なき戦いの火ぶたが切って落とされた!
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何と言ってもマッキーが魅力的。「マッキー」というのはヒンディー語で「ハエ」という意味なんですが、つい「マッキー君」と呼びたくなるほど、こいつには魅了されます。最初はアンプラグドの加藤社長に、「いや~、私、虫は苦手でして。『ロボット』の蚊のアップでも、たまらず顔を背けたぐらいですから」と言ったりして敬遠していたのですが、いざ『マッキー』を見せてもらうと、もう夢中になってしまいました。ですので、二度目に試写を見せてもらった時は、「ジャニ、はよ死んでくれへんかなー」などとかわいそうなことをつぶやきながら、マッキーの出現を待っていたのでした。
とはいえ、マッキーの誕生シーンはやはりちょい苦手。ところが、殻から出たマッキーが羽をのばし、一人前(一匹前か?)に飛びだすと、もう目は彼に釘付け。「なっ、なんなんや、これ」「足が取れへんがな~」「あー、えらい目に遭うた(ゼーハー)」「こっ、こいつや、僕を殺したんは!」「許さん!(手足スリスリ、攻撃モード)」といった思わず大阪弁のセリフを当てたくなる動きと表情の豊かさは、インドIT産業の面目躍如。スディープに様々な復讐を仕掛け、敵を参らせたあとドヤ顔をするマッキーなんて、もうそこでクラッカーをパーンと鳴らしたいぐらいです。
ⓒ2012 Varahi Chalana Chitram. All rights reserved.
こうして一寸のハエにも五分の魂、復讐に燃えるマッキーは、マッキーがジャニの輪廻転生と気づいたビンドゥの助けを借りて、見事な復讐戦を展開していきます。ここで生きているのが、マイクロ・アーティストというビンドゥの特技。極小サイズのマッキーのために、武器やら対殺虫スプレー用ゴーグルやら、さらにはトレーニング器具までもビンドゥは手作りしてしまうのです。ラージャマウリ監督、アイディアが素晴らしいですね。画像が時々、ハエの複眼を通して見ている状態になったりと、なかなか芸が細かいです。
さらに素晴らしいのは、マッキーの動きを受けるスディープとビンドゥの演技。特にスディープの方は、マッキーとがっぷり四つに組む演技を要求されるのですが、そのやっつけられ方のうまいこと、うまいこと。先日、吹き替え版では中村獅童がスディープの声を担当、というニュースが配信されましたが、ぜひ強面男スディープの情けない声を迫真の演技で出してほしいものです。
このニュース写真で、中村獅童の腕に止まっていたのが上の写真の巨大マッキー。よくできてますねー。ナン子ちゃんに続き、インド映画ゆるキャラで話題になるか? 『マッキー』は東京国際映画祭でも上映されますので、一日でも早く見たい! とおっしゃる方は10月20日(日)の上映にぜひどうぞ。劇場でご覧になる方は、パンフのお買い求めもお忘れなく。テルグ語映画の専門家安宅直子さんが書かれた、よくわかるテルグ語映画解説が掲載されています。
なお、先日のコメントでナンさんが、「(テルグ語版では)お二人のコメディアンの方がご出演されていたのですが、(ヒンディー語版では)一人の方の出演シーンがごっそり抜けていたんですね」と書いておられましたが、抜けているのはその数分のシーンと、あとちょこっとしたシーンだけのようです。ラストも違っていたりするので、合計すると、ヒンディー語版はテルグ語版より9分ほど短くなっています(ぢつは、YouTubeにテルグ語版がアップされていたりする...)。あの泥棒シーンは切って正解、という感じもしますので、より引き締まったヒンディー語版をぜひ楽しんで下さいね。
いろいろと目にするたびになんだかどんどん観たくなってきてしまいました!
近くの映画館でも上映するようなので、
観に行ってこようかな♪
中村獅童の吹き替え版も期待大です。(ファンなもので)
でも劇場公開までもったいなくていまだに見ないで今日に至っているのですが、テルグ版はカットされたところが入っているのですね。
>特にスディープの方は、マッキーとがっぷり四つに組む演技を要求されるのですが、そのやっつけられ方のうまいこと、うまいこと。
そうですよね。
この作品で魅了されてしまいまして、スディープ作品を見てきたのですが、手持ちのものは残りわずか。
いよいよ見つけられない十数本ほど、バンガロールに買い出しに行かねばならないのか、と思い始めています。
獅童さんの吹き替え、最初は驚いたのですが、面白そうですね。
吹き替え版も見てみたいです。
(劇場でも吹き替え版上映があるのでしょうか)
cinetamaさんはマッキーのどや顔でクラッカー、ぱーん!なんですねw
私は・・・モザイクシーンです^^;
『マッキー』、ぜひ映画館でご覧になることをお勧めします。あのマッキーの動きは、大画面で見る価値あり!です~。
そう言えば、スディープがお好きだったのですよね。彼の主演作DVDですが、バンガロールに行ったから手にはいるかどうかはちょっと疑問です。ネットで探された方がよいのでは、という気がしますが...。
吹き替え版の上映ですが、公式サイトを調べてみても載っていませんね。吹き替え版の製作にも結構時間がかかるはずなので、DVD/BD用では、と思いますが、どうでしょう?
モザイクシーンですか~。あそこで鳴らすのはちょっと...;;; でも、「○ンツはいて撮ってるでしょ!」と内心ツッこみましたです。
したまちコメディ映画祭で見た「マッキー」では、タグボートさんの出演シーンを全く覚えてなかったので、拙ブログで記事として書き、御ブログにコメントしてしまいました。
本当に申し訳ありませんでした。今後このようなことがないように、きちんと調べて気をつけてコメントしたいと思います。
松岡先生に恥をかかせる結果となり、申し訳なく思います。また、楽しみにされている方々、Eegaを含むMakkhi製作者、マッキー関係者の方々にもご迷惑をおかけしたこと深くお詫び申し上げます。
こういうブログは記事もそうですが、特にコメントは結構間違いがあったりしますので、そんなに恐縮なさらなくても...という感じです。記事はのちほどコッソリ訂正したりしてますが(スミマセン~)、コメントは一度出てしまうと訂正が効かないのが不便ですね。
あのちょっと小柄な男優はタグボートと言うのですか。私は俳優や監督に「~さん」を付けるのは違和感があるのですが(「さん」で呼ぶほど親しくない、と思ってしまうんです)、ナンさんはブログでも敬称&敬語を徹底してらして、すごいなあ、と思っています。
余談ながら、そちらのブログに写真が出ていたテルグ語版の「マッキー」こと「イーガ」のDVDボックスはすごいですね。日本版も真似してほしいデザインです!