イソヒヨブログ

おもに食べ物の写真中心です😁

中上健次

2012年11月26日 | 日記
 
やりたいこともひと段落したので、春に熊野に越してきてからはじめて図書館にいってきました。
あんまり本を読んでこなかったので、どこに何があるのやらもわからず、中上健次コーナーにさしあたりました。
たしか新宮市出身の作家で、映画化された「軽蔑」、須賀利で昨年ロケが行われた「千年の愉楽」の原作者というだけしか知りません。なんだか難しそうだけど、二冊同じのがあったので、それを借りて見ました。


タイトルの「岬」ほか、4作品がおさめられていました。
とっても読みづらく、いったい誰がしゃべっているの?
でも我慢して読んでいくと、ぐっとその世界にひっぱられていました。
最後の作品の「岬」を読み終えたときは、あーーーっと心が叫びました。
きっと読書されている方なら、豊富な表現をされることでしょう。
まるで矢ノ川峠旧道の燃える紅葉のようです。(ムリがある?


一昨日、約一年ぶりに旧道を歩いてきました。尾鷲側から五つのトンネルがありますが、
四つ目までしか体力が持ちませんでした。
中上作品の感想とともにみてください~


「岬」の作品のなかで、「矢ノ子峠」がでてきました。
主人公の姉が15の時、兄に木ノ本(熊野市)まで送ってもらって、
一人でバスに乗って峠を越して、また尾鷲で汽車にのって、名古屋に働きにでたと。


生きるのが苦しくなったり、1人でいるのがとてつもなく寂しくなったり、
とくに人間のつらい感情をひきだされました。でも読むことをやめられません。
また登場人物がみんな愛しくなってしまう描写です。


鯨のプールや、川向こうのパルプ工場の匂いがすると雨が降るとか、方言もなじみがあって、
よけいに惹かれたのかもしれません。

映画化などされると、性描写などが強調されてしまうのだろうなって勝手に心配してしまいますが、
私も気づいていないですが、作品の核心はもっと違うところにあります。


読み終えて5日ほどたっていますが、まだ余韻が消えません。
あとでネットで調べて見たら、「岬」は芥川賞受賞作品だったのですね

また新宮市の熊野速玉大社の佐藤春夫記念館で、
中上健次没後20年企画展が来年の2月17日まであるそうです。
いかねば~