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イクバルの闘い

2011年01月13日 | 生活
実在の人物、Iqbal Masihの生涯にもとづいて書かれた児童書です。

イクバルは4歳の時に、じゅうたん工場に売られました。親が借りた12ドルのカタとして。

一日14時間の労働。劣悪な労働環境。不十分な食事。一日働いて、賃金は3セント。イクバルは12歳の頃、6歳くらいの体格でしかなかったそうです。実際に残っている写真を見ても、本当に小さく、とても12歳には見えません。

彼は10歳の時にじゅうたん工場から逃げ出し、パキスタン国内で児童労働に反対する団体に加わって活動するようになります。時には「おとり」となって、児童を不当労働させている工場に潜入したりもします。彼の活動は国際的に注目を浴びるようになり、リーボック社のHuman Rights Awardを受賞し、ノルウェーで講演をしたり、アメリカの学校を訪問したりするのですが、12歳の時に暗殺されます。「カーペットマフィア」による暗殺という説が濃厚だそうです。

フォト

この豊かな日本に生きていて、ふと「自分は何のために生きているのだろう」と考えることってありませんか?私は時々、どうしようもなく虚しい気持ちになることがあります。日々の仕事、家族、趣味、そういう個々のものについては満足しているのですが、「それで結局、私の人生って何?」という気持ちになってしまう。

私は、いわば苦労らしい苦労を何も経験していない人間なんだなぁとつくづく思います。生まれた時から何でもあるのが当たり前、そしてその状態を「幸せ」と認識しているのかどうかすら、時にあやしくなります。

イクバルという勇気ある少年が存在したことを知って、ふやけた私の人生が少しだけ、ひきしまるような気がします。児童労働をなくすために、自分ができることは何か?

私達が何かを「安く」買うことによって、地球のどこかで子供が泣いているのかもしれません。普通に考えたらあり得ないような値段のモノに対して、なぜその価格がつくのかを考えてみる必要があると思います。

貧困との闘いは、今までは発展途上国で起こっている「対岸の火事」でしたが、日本国内での経済格差は、この先すごい勢いで進むのではないかという気がします。「モノ」だけではなく、「人間の労働力」も安く買いたたかれる時代ですから。労働市場で武器となる技術を持っていない人間は、貧困のサイクルから抜け出せなくなり、その貧困はその次世代にも引き継がれていくでしょう。まさに、イクバルが親の借金のカタに売られたのと同じ構図が、すでに日本でも起こり始めています。

会社の経営者はもちろんですが、私達消費者も、「安い=おトク!」という思考回路を修正していく必要があるのでは。結局、そのわずかな「おトク!」によって、自分達の首をじわじわと絞めていっているというのは、少し考えてみれば自明なことです。

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