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日々の暮らし、仕事、英語、音楽、子育て

うまく訳せると思うから訳しているのではない

2010年12月04日 | 仕事
司馬遼太郎さんの名作「坂の上の雲」を現在翻訳中の、ジュリエット・W・カーペンターさんの講演会に行ってきた。この名作を翻訳する上での苦労や、翻訳に関するあれこれを面白く語って下さって、大変勉強になった。

私は文芸翻訳はしたことがなく、もちろんカーペンターさんのような大翻訳者と自分の仕事を同レベルで考えることはおこがましいとは思う。だがそれでも、同じ翻訳者として(レベルの違いはあれども)同じ種類の悩みを持ち、同じ種類の喜びを感じながら仕事をしているということに、少し感動してしまった。

タイトルの言葉は、カーペンターさんが講演の冒頭でおっしゃったことである。「私は、上手に訳せると思うから訳しているのではありません。間違いは翻訳につきものだし、私の訳したものにも間違いはあるかもしれません。でも、『死んだ獅子より生きている犬の方がいい』とかつて言った翻訳者がいたように、まったくやらないよりは誰かがやった方がいい、と思っています。」

私が日々翻訳しているものは後世に残るようなものではもちろんないし、私の訳を必要とする人が一度読み終わったらそのまま廃棄されてしまうようなものも多いと思う。「生きている犬」、いや「生きている虫けら」、そんな程度のものであるかもしれないが、それでも誰かがやらねばならない仕事だ。自分が書く訳文が上手だとも思わないし、私でなければできないということもない。

翻訳は、やればやるほど「自分がいかに知らないか」を突きつけられる仕事だ。英語もわかってない、文化も知らない、コンピュータのこともわかってない、基本的な教養もない、それどころか日本語さえ心もとない。

それでも私はこの仕事が好きだし、楽しんでもいる。自分に足りない「知」は、どこかから借用してくる。カーペンターさんに「インターネットがなかった時代と、インターネット後の時代の翻訳の違い」について質問してみた。カーペンターさんは、「私も、インターネットなしで翻訳はしたくないですね」と笑っておっしゃった。さらに、「インターネットがなかった時代、さらには満足な辞書すらなかった時代の翻訳者を尊敬します」とも。

全く同感である。

Information Technology

2008年02月23日 | 仕事
新しい仕事は、ソフトウェア関係の翻訳だ。
私の履歴書にはIT関係の仕事はゼロだし、面接でもその分野の素人だということを言っているので、たぶん素人から出発してもつとまる仕事なのだろうとは思っている。(私の前任者も、ソフトウェアに関しては全く素人だったというし・・・)

とはいえ、あまりに無知だといけないだろうから、図書館から本を借りて読もうと思ったのだが・・・「コンピュータ」のコーナーに行っても、一体どれを借りていいものやら、見当がつかない。
表紙を見て、中身が全く想像できないというのは恐ろしいものだ。(汗)

とりあえず、初心者向きと思われるものを数冊借りて読んでみたが、これがけっこう面白い。
コンピュータの歴史を解説してくれている部分など、「なるほど~」と思うことしきり。

むか~し昔、OLだった頃、主に英文タイプを使って仕事していたが、たまにパソコンを使うことがあった。当時、たとえばデータの「この条件にあったものを抽出して」、「この条件で並べ替える」というような作業を、Basicというもので行っていたと思うのだが、その際には、今のエクセルのようにクリックすれば済むわけではなく、その作業をいちいち「記述」していた。
それは、コンピュータにそういう演算を行えという指示を与えていたわけで、それってもしかして、プログラミングの初歩・・・???

そして面接で一番興味深く聞かれたことは、「HTMLはどうやって覚えたのですか?」ということだった。私は自分のホームページを作りながら適当に覚えたのだが、当時はブログもmixiもなかったし、ビルダーはそんなに安いものではなかったから、必要に迫られて覚えたのだ。私の年齢でHTMLを知っているということは、ようするに「コンピュータに対してアレルギーがない」という証明になるのだと思う。

そういえば、前の職場で隣に座っていた20代の人が、「OSって何ですか?」と聞いたのにはぶっとんだ。誤解のないように書いておくけれども、彼女は私なんかよりずーーーっとPCの技術には詳しいし、各種アプリケーションの使い方にも精通している。

と考えてみると、今の若い人たちのように、PCを開けばブログが簡単に作れ、職場に行けば当然のようにエクセルやPPがある環境にはじめからいるよりは、いい経験ができたのかもしれない。

人間、死ぬまで勉強ですね。(笑)