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重慶ひょうたん

中国の重慶で単身赴任中に始めたこのブログ。 既に本帰国しましたが、気まぐれで更新していきます。

息子とリバーツーリング

2016年05月07日 | カヤック
息子と二人で那珂川を下ってきました。
那珂川は栃木から茨城を経由して太平洋に注ぐ清流です。

この川を下るのは実に17年ぶり。 当時は子供がいないどころか結婚もしていませんでした。 因みに17年前は結婚前の細君と二人で下ったんですよね。 そして今回は息子と。
時と川は流れるものです。


変わらぬ美しい川。


石神井川とは随分勝手が異なるものの息子はすぐに慣れたようです。 ちゃんとした川は彼にとって初めてなのです。


あんまり写真は撮らなかったのですが、烏山橋から新那珂川橋までをのんびり下り切りました。

下流にデポしておいたモトコンポで着水点まで移動。


そして車に乗って撤収しました。


やはり日本の川はいいですね。 重慶の清流・烏江も素晴らしいのですが、何より家族と時間を共に出来るのは大きいです。 あと流速が結構あるので、20kmを3時間程度で漕ぎ切っちゃえるところもすごいです。 久しぶりに堪能した祖国の川でした。

今度は息子を連れてテント泊しながらのリバーツーリングに挑戦したいですね。

石神井川を下る

2016年04月06日 | カヤック
今年の桜は見事でしたね。


さて花満開の4月2日、酔狂にも石神井川を下ってきました。
石神井川の沿道は知る人ぞ知る桜の名所なんです。


今回は、タンデムファルト艇のMさん父子と、リジッド艇のFさん、そして同じくタンデムファルト艇の拙宅父子の計5人で出動です。

Perception SPARCを車に積むのは久しぶり。


沿道でArfeq Voyager 460Tを組み立てるMさん。 この日は何と筆おろし。


前回記事の通り、区役所にちゃんと届出を提出してから川面に着水。 茜歩道橋のほとりにはこのような河原があります。 いざ出発!


暫く進むと水深が20cm程度に。 さすがにこれでは進みません。 やむなくライニングダウン。


漕げる流れとライニングダウンする浅瀬が交互に現れます。


乗ったり降りたりと忙しいですが、沿道の桜は見事。


西武池袋線の高架下にある最大の難所。 落差50cm程のドロップ。 船体布が破けないよう私だけが艇を降りて軽量化。 息子ひとりでクリアーさせます。 操作も巧くなったもんです。


Mさん父子も余裕でクリアー。息子たちが逞しくなっていくのを見るのは幸せです。


続くFさん。 ありゃりゃ。 横になっちゃいました。 デッキに水圧を受けて沈することを秘かに祈ってしまいましたが、大過なく見事にクリアー(笑)


その後、暫くすると20cm程度の浅瀬が連続するエリアに突入。 ずっとこうやってライニングダウンしてます。 こうなるともはや川下りではなく沢歩きですね。


そうこうするうち、近所に住む息子の友人たちと遭遇。 この角度での会話は不思議。


結局浅瀬に耐えきれず、Fさんと私はここの梯子からカヤックを担いで上陸することにします。
因みにMさん父子は更に下流を目指して去っていきました。(結局としまえんまで行ったようです)
このように、気を遣わずお互いにやりたいことが出来るバディーは最高なんです。


我々の上陸地は桜見橋のそば。着水した茜歩道橋からたった2.5kmの旅でした。 因みにこの沿道はいつものジョギングコース。 走れば13分程度の距離を、今回は何と3時間程もかけてしまいました。 水深がとても浅く、殆ど沢歩き状態でしたからね。


・・・そして二日後には花散らしの大雨となり、石神井川は一気に1m前後増水してました。 水流も早く、この日漕ぎ出していたら数時間で隅田川に到達していたでしょう。


高架下のドロップはご覧の通り完全に濁流になっていました。 相当危険な状況。


四年ぶりの石神井川くだりでしたが、前回よりも更に水量が衰えたような気がします。
都市河川も楽しめましたが、次回はやはり自然の川を下りたいですね。

都市河川を下ってみたい

2016年03月12日 | カヤック
皆様ごぶさたしております。
帰国してから間もなく8ヶ月が過ぎようとしています。
そして春、カヤックのシーズンがやって参りました。

重慶では実に様々な川を下りましたが、東京に戻ってきたからには東京の川、ずばり都市河川でしょう。

ということで、都市河川を調べてみました。

都内主要部を流れる川は、下の地図の通り、主に石神井川と神田川です。
石神井川は小平市の小金井カントリークラブを、神田川は三鷹市の井の頭公園をそれぞれ源流として、最後は共に隅田川に合流します。


桜の頃に石神井川を下ろうとアウトドア仲間のMさんを誘ったところ「是非!」との回答。 このノリの良さは重慶のK君級です。

その前に一つ気になることがあります。 この計画を他の友人に話したところ「そんなところ下ってもいいのか? 違法じゃないの?」と心配の声。 合法であることは知ってはいるものの、念のため区役所に問い合わせてみることにしました。

「カヤックで石神井川を下ってもいいでしょうか?」という面倒な問いに対し、区役所はタライマワシするだろうと踏んだのですが、実際には見事な対応をしてくれました。

曰く、個人が河川を通行する権利は法律で認められています。ただ、水面に降りるまでの階段や梯子は土木局のみが使用できることになっており、通常は個人には使用許可していません。 ただ、そうすると個人の河川通行権が行使できないことになりまして、区役所内でもどうすればいいか検討してみます。 少々時間を下さい。とのこと。

何たる素晴らしさ。こんなちっぽけな区民の問いあわせに、ここまでしてくれるなんて! 有難うご担当の方!

それでも本当に検討してくれているのか少々心配になり始めたある日のこと。 また区役所からご連絡を頂きました。

曰く、再度検討しました。 通常は階段・梯子の使用は認めておりませんが、「河川等の利用届」を出して頂ければ特別に使用許可します。 使用届をFAXします。くれぐれも気を付けてください。 とのこと。

何たる度量の深さ。 すごいぞ区役所! 有難う区役所!

ということで、頂いた「河川等の利用届」のフォーマットは下記の通り。 これを提出するだけでいいそうです。


という訳で、役所の方にはお手数をおかけしましたが、これで石神井川を下ることは法令上クリアーであることが確認できました。

あとは天気と桜の開花を見定めて川へ漕ぎ出すのみ。
結果はまたレポートします。

(つづく)


烏江・完全ガイド-1

2015年04月18日 | カヤック
大それたタイトルを付けちゃいましたが、旅の記録としてガイドマップを作ってみました。 印刷してご利用ください。

これが印刷されて人様のお役に立てる日が果たして来るのかという心配は御無用です。 自己満足ですから。 あと、「1」と枝番を付けたのは、いつか更に下流へ漕ぎ下り、続編の2を作るような予感がしたからです。 日本でこのブログを見ているかみさんはあきれていることでしょう(笑)



当然ながら、川の状況は季節・天気で大きく変わりますので、マップを過信することなきようご注意を。

お勧めルートは、烏江六橋から高谷埠頭までの25kmほど。 途中の彭水の市街地でホテルに泊まるもよし、どこかでキャンプするもよし、いずれにせよ1泊2日のイメージです。

もうひとつは、芙蓉江との合流地点(江口鎮)から武隆の市街地まで。 この区間は10km少々しかなく、且つ水流も早い為、日帰りで行けるでしょう。 ただし2-3級の瀬を越せる技術が必要です。 できればファルトボートではなくリジッド艇が望ましいですね。

人様のお役に立てることを祈りつつ。 

烏江ふたたび <5-激流>

2015年04月14日 | カヤック
三日目。 最終日の朝を迎えました。
夜半に降った雨は止んだようです。


朝食前に、後背地の農村へ散歩に出かけることにします。 農家の軒下に木船が見えます。 川と共に生活しているのでしょうね。


メインの道路は未舗装。 馬も一緒です。


清明節は故人を偲ぶ祭日。 土葬されたお墓があちこちで祀られていました。 何と、ここではお墓のそばで野菜を育ててます。 最初はちょっと驚きましたが、よく考えると人間も生態系の一部だという、極めて自然な形だとも思います。


テントサイトに戻るとK君が川を眺めて哲学に耽っています。 悟りは開けたでしょうか。


河原では、御老人が馬に草を食ませています。 片手の携帯はちょっとミスマッチ。


どうやら渡船の始発を待っていたようです。 馬も乗船。


キャンプ道具の撤収も完了し、いよいよ出発です。 ここは江口鎮というところ。 初日のキャンプサイトで現地の方に「江口鎮の先は流れが急なので気をつけろ」と言われたことを思い出します。 ちょっと緊張。


出発直後、烏江の支流である芙蓉江が左岸から合流。 その後、流れは右に120度曲がります。


ここからいきなり白波荒れる瀬に突入。 久しぶりの本格的な瀬で写真を撮る余裕はありません。 沈しないように必死でブレースを入れます。

イメージが湧かない読者各位の為に、ネットから拝借した写真で説明すると・・・。

流石にこれほどエクストリームではありませんし、


これも違います。


でも、大体このくらいはあったように思います。 水面スレスレから見るので恐怖は倍増。


ともかく、ファルトボートで越すには最大級の瀬。 スプレースカートは外れて相当の浸水。 これ以上の激しい瀬だったらフレームが折れ曲がってもおかしくない感じです。 私は相当怖かったのですが、K君はケロリと笑ってます。 凄すぎます。

その後も、瀞場と1級程度の瀬が退屈しない頻度で交互に現れます。


重慶で漕いできた中では、文句なしに最高のフィールド。 本来のカヤックの楽しさを満喫できます。


かなり疲れてきた頃に武隆県の市街地に到着しました。 若干高いですがあの階段から車道に出ることにしましょう。


埠頭もあります。 これにて二泊三日のリバーツーリングは終了。


ナビで指定した場所に運転手が迎えに来てくれました。
車道から眺めた烏江の様子。 水質・水量共に実に豊かな川で、最高のリバーツーリングが楽しめました。


果たしてこのブログを読んで、いつか誰かが「俺も烏江を下ってみよう」と思ってくれるのでしょうか。 もしも、もしも、カヤック好きの方で重慶にお越しの際は、是非烏江にチャレンジしてみて下さい。 はっきり言ってお勧めです。

また長々と書いちゃいましたが、今回はこれにて。
読了、有難うございました。

<完>

オマケの図。
いつもこうやってカヤックとキャンプ装備を乾かします。 この作業もまた楽し。

烏江ふたたび <4-再会>

2015年04月12日 | カヤック
2日目のつづき。

何とかヒッチハイクに成功。 カヤックと二人分の野営装備をトラックに積み込み、ダムを越えていきます。

ところが再着水ポイントがなかなか見つかりません。 結局、ココに辿り着きました。 ヒッチハイクの運転手は大役を終えて去っていき、そして私はまた一人になりました。


分かりますかね? 高さ50m、ビルの20階ほどの高さでしょうか。 細ーい階段を下っていけば川面に辿り着けそうです。 くどいようですが、野営装備は二人分。 更に5m近くある重いカヤックも担いで下りなければなりません。


今更ながら、K君をリリースしてしまったことが悔やまれます。

大量の荷物を前にして途方に暮れていると、別の現地人が声をかけてきます。 曰く、「この船はなんだ、どこから来た、どこまで行くんだ、日本人か、何で中国語しゃべれるんだ・・・etc」

彼の人懐っこい笑顔と屈強そうな体躯を見て閃きました。 そうです、バイトしてもらうという手があるじゃないですか。 いかに親切な重慶人といえども、流石にこの重労働を無償でお願いする訳にはいきません。 オファーしてみると彼はあっさりOK。

早速、運搬を手伝ってもらいます。 一往復目。 彼にはカヤックの前方を持ってもらいます。


二往復目。 一番重い水などを率先して持ってくれます。


てな訳で、二人の現地人の協力により再着水、ポーテージ完了。 3時間以上かかっちゃいましたが、気を取り直して出発!


そして遂に、先行するK君と感動の再会です。 対岸からの渡し船に乗って高倉健ばりに登場。 K君は芙蓉洞への往復を含めなんと30km以上走ったようですがケロッとしてます。 凄すぎ。


渡し船は、愛艇のそばギリギリに停泊。 潰されるかとヒヤヒヤしました。


春節も含め、烏江での河原キャンプは4泊目になりますが、これまでで最高の環境、美しくかつ開放的な草地。 K君、ナイスチョイスです。


テントの中からも清流・烏江を眺められ、せせらぎの音まで聞こえます。


夕食はレトルトの牛肉卵丼。 米は、日本から持参した南魚沼産コシヒカリを豪勢に使用。 やはり炊飯はアルコールストーブに限りますね。 因みに、今回はいつものトランギアではなくエスビットのものを持参。 最近のお気に入りです。


日が暮れました。 対岸に江口鎮の仄かな街明かりが見えます。


ランで疲れたのか、K君は20時頃にはテントへ。 私はしばし読書の後、消灯しました。


明日は最終日です。

<つづく>




烏江ふたたび <3-ダム>

2015年04月11日 | カヤック
二日目の朝を迎えました。

K君はここからひとり陸路を走って進み、私は単身カヤックで下流を目指します。 そして、下流のどこか適当なキャンプサイトで再び合流する約束をしました。 スマホにナビがついているので、こんな適当な約束でも大丈夫なんです。 便利な世の中になったもんですね。

K君は身軽な装備で陸路へ・・・


そして私は残った装備を全て積み込んで、水路を辿ります。 無事に合流できるでしょうか。


出発して暫くはK君と並走。 小さいですが、真ん中の青いポンチョの人物がそうです。 静水なので頑張って漕いでもランの速度にはかないません。 あっという間に置いて行かれました。


完全に一人になりました。 烏江は再び人里離れたエリアに入り、素晴らしい景観が広がります。 更に、昨日まであったK君の後頭部が今日は見当たらず、視界も一気に開けます。


斜面の上の方まで農村が続いています。


重慶市内からの観光客でしょうか。 沿岸の人たちが双眼鏡で覗いてきます。 変な気分。


橋が見えてきた丁度その頃、陸路を先行するK君から電話が。

前方にダム発見! これはカヤックでは超えられそうにありません! との内容。 事前にGoogleマップの衛星写真を何度も見て、ダムも堰堤もないことを確認したのに・・・。


自分の目でも確認すべく暫く漕ぎ続けると・・・。

ガーン。 これは無理、完全にふさがれています。 どうしようもありません。 困りました。


小規模な堰堤なら人力でのポーテージ(陸路カヤックを担いで越えること)もできますが、この規模のダムなら車が必要です。 でもそんなものはありません。

そこへ、もう一度電話がかかってきました。

K君:「どうします? 一人じゃ無理でしょうから戻って手伝いましょうか?」

私:「いや、人力だとどうせ二人いても無理。 こっちは何とかするのでランを楽しんでください」

K君:「そうですか、分かりました。 ではランを継続します」

あれ? 随分あっさりと引き下がられました(笑)
斯くなる上は、本当に一人で何とかしなければなりません。

埠頭が見つかりました。 先ずは上陸です。


腹が減ったので昼飯にします。 尾西のフリーズドライ。


恨めしいダムを眺めながら飯を食いつつ作戦を練ります。 と言っても、総重量80kgほどの荷物を担いで歩くのは無理。 これはもうヒッチハイクしかありません。


待つこと約1時間、丁度いい頃合いのピックアップトラックが止まってくれました。 ルーフレールも何もないですが、直接車の屋根に乗せてくれました。 なんていい人。


タイダウンしないとカヤックが落下してしまいますが、係留用の細引が一本しかありません。 前方をバンパーに括り付け、後方は私が荷台にのってグラブループを掴んで固定することにしました。


荷台からの眺め。 かくて恨めしいダムをクリアーすることが出来ました。


まだ難題が残っています。 ダムの下流で着水ポイントを探さなければなりません。 K君は遥か下流で私を待っているはず。 でも着水ポイントがないのです・・・。

<つづく>

烏江ふたたび <2-農村>

2015年04月10日 | カヤック
更新が遅くてすみません。 ワタクシ遅筆なのです。

さてツーリング初日。

しばらく漕ぐと、前回、崖の途中でキャンプした高台が見えてきました。
当時は単独行で終始不安が付きまとっていたのですが、今回は相棒がおり非常に心強いです。



相変わらず素晴らしいカルスト景観。



でも、どうしてもK君の後頭部が写りこんでしまいます。 どうすればいいでしょう。



過去の反省を踏まえ、見つけたポイントに早めの上陸。早速設営します。
今回のテントは調達したばかりのMSRハバNX。 K君はライペンのトレックライズ。山屋さん仕様ですね。



夕食まで時間があるので近所を散策。 幸せそうな農村でした。奥には烏江の豊かな流れが見えます。



ネギ、ニラ、キャベツ、エンドウマメ、菜の花・・・。 この農村では無数の野菜が栽培されています。 どれも少量ずつなので、売り物ではなく自家用でしょう。 写真は空芯菜。 植わってるの初めて見ました。



テント場に戻ります。 まだ時間があるので川で軽く汗を流すことに。 水温は15度。 かなり冷たいですがウェットスーツを着てるので大丈夫。 綺麗な水に興奮します。





随分上陸しやすいポイントだと思っていたら、そこは、渡し船の船着き場でした。 船頭さんからこの先の川の様子を教えてもらいます。 「江口鎮から先は水流が急に速くなるから注意した方がいい」との情報を得ました。 川の情報はやはり現地の方から仕入れるに限ります。



その後、彼はどこからともなく船にヤギを満載にしてドナドナと去っていきました。



日が暮れました。
大好きな焚火をしながら、初日の夜は過ぎてゆきます。



<つづく>

烏江ふたたび <1-相棒>

2015年04月08日 | カヤック
先週末の中国は清明節の三連休だった為、春節に続いて烏江へ漕ぎ出すことにしました。 (前回の烏江キャンプ行はこちら

今回は相棒のK君が一緒です。

K君はトレイルランニングが専門なのですが、アウトドア好きでもあり自前のキャンプ道具を重慶くんだりまで持ってきているという稀有な存在。 私の重慶初カヤックの記事に写っている男性もK君であることをここで白状しておきます。

てな訳で、愛艇であるFalhawk Voyager 450Tをタンデム仕様に調整し、キャンプ装備と二泊分の食糧・着替えを積み込んで、ふたたび烏江に向かうことにしました。

先ずは全体像からご紹介しましょう。

緑で示したのが春節の漕破済ルート。 青が今回のルートです。 着水ポイントに選んだのは、前回の上陸地点である高谷埠頭。 ここから河原キャンプ二泊をはさみ、武隆の市街地で上陸する計画です。



荷物満載で喫水が下がるとカヤックの回転性能が落ちるため、ラダー装備は必須です。 今となっては入手困難な廃盤品。



さて、これから約50kmのリバーツーリングが始まります。 くわばらくわばら。



<つづく>

烏江を下る <5-生還>

2015年02月26日 | カヤック
2月22日、ツーリング三日目の未明。

夜半から断続的に雨が降り始めたようです。
テントを叩く激しい雨音で4時ごろに目が覚めます。


寝ぼけた頭でハタと重大な問題に気づきます。 雨具を持ってきていないのです。 否、厳密には、20m下の川面に係留したカヤックにはゴアテックスの雨具が入っています。 なのに、テントまで持ってくるのを忘れたのです。 というか、水面から高台へのアタック装備を意図的に絞ったのが裏目に出てしまった、というのが実態。

外気温は10℃。 雨具もなしに濡れそぼった藪をかき分けて進むのは避けたいところ。 そうこうするうちに一時的に雨がやみました。


まだ暗い為、先に腹ごしらえをすることにします。 昨夜残った米を粉末スープで煮込んでリゾット風に。 ツナ缶も加えて蛋白質も補充。 クロックスの足が冷えますが、温かいものを胃に入れると体全体が暖まります。


食べ終わった頃にまた雨が降り始めました。 一旦テントに退散。

・・・

待てど暮らせど雨は降りやむ気配を見せません。 仕方がないので文庫本を読んで気を紛らわせます。 雨は9時になっても降り続けます。 かれこれ3時間以上テントの中に缶詰の状態。 そのうち、テントの床が浸水し始めました。


ここは崖の中腹にある隔絶地。 カヤックまで下って雨具を取りに行くにせよ、農家まで上って助けを求めるにせよ、雨中の藪漕ぎが必要です。 しかも、テントは浸水開始・・・。
まさしく、行くも地獄、引くも地獄、もしくは四面楚歌。

斯くなる上は、心を決めて雨の中を突撃するしかありません。 幸い、テントの中にはタンクトップ形のウェットスーツがあります。 これを着込めば多少の濡れには耐えられると判断。

濡れて滑る足元に気を付けながらカヤックを目指し、漸く辿り着きました。 コーミングカバーには雨水が溜まっています。 カバーしておいて助かりました。


急いで雨具を着込みます。 マムートのハードシェル、これ程有難いと思ったことはありません。 他の装備は全てびしょ濡れ。


テント撤収の後、また烏江に漕ぎ出します。 雨は降ったり止んだり。


当初、更に下流を目指そうとしましたが、上陸ポイントが見つからなかったらどうしよう、いという思いはもうたくさん。 で、上流へ針路をとることにします。 前日最後の休憩ポイントは埠頭があって車も進入できることを思い出したのです。

今回はここまでにすることにしました。 疲れ果てました。
徐々に埠頭が近づいてきます。 無事に帰還できそうなことが嬉しくて最後のビールで独り祝杯!


埠頭に到着。 2泊3日のちょっと過酷なリバーツーリングはここで終了とします。


事前に連絡しておいた運転手が花火を片手に迎えに来てくれました。 生還を祝してロケット花火を飛ばそう、とのこと。 ホント、中国人は花火が好きです。
よく見るとケツが出ていることは内緒です。


車で帰路につきます。 途中で今回の漕行ルートが見える峠を走りました。 こんなところを漕いできたんですね。 高いところから見た景色もまた良し。
過酷な思いもしましたが、総じて素晴らしい自然を満喫できました。


時刻は13時。 たまらなく腹が減ったので彭水の繁華街で昼食にします。 久しぶりの文明食。 いつもは大して有難くもない一杯の麺ですが、しみじみ旨く感じられます。 こんなにおいしいものが8元(160円)で食べられるなんて!


向かいの席には年端もいかないおかっぱ頭の女の子が、真っ赤なスープに浸かったワンタンを食べています。 流石は重慶。 こうやって子供のころから辛い味に慣れていくんですね。


漸く住まいのホテルに到着。 ベルボーイにお願いして、濡れた装備を部屋まで運んでもらいます。 一体どこに行ってたんだと目を白黒させています。


遂に部屋に生還。 文明は実に有難いものです。 この安心感。
キャンプをすると、自然と文明、双方の価値を強く実感できるので好きですね。

ただし、当面は装備を乾燥させる必要があり、部屋が全く片付きません。


随分と長くなってしまいましたが、今回のシリーズはこれにて終了です。
最後まで御愛読いただき、ありがとうございました。

<完>