詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

　仕事でも、プライベートでも

国内外さまざまな地へ行くことは

もとより好きな父なのだから

オーストラリアへ行ってくる

って

不思議はないけど

また急な理由はあきらか

あーまたあの女性か......

いやでも、今長女が来てるんぢゃない？

理由は父から

一証人として聞いた

女性は子供3人を母国へ残し

日本に出稼ぎに来た時

長女は学生で

学校に通いながらアルバイトをしながら

弟、妹に食べさせており

親代わりになって面倒をみたと

進学も諦めて仕事についたので

無念があり

出来れば今からでも専門的に学びたい

分野は建築

だそうだ

で、

オーストラリアの建築専門の学校へ

留学したいのだと

女性は長女と父と3人で

家族旅行も兼ねて

オーストラリアへ行こうと

そして

オーストラリアへ旅立った

つづく

詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

　少しして

今度は女性の長女がやってきた

長女は母親と2人で　

ワタシの仕事場に直接来て

日本語はわからない、というので

挨拶をし

母親であるその女性が

長女の今までの苦労話や

今の状況などを簡単に説明して

父の元へ向かった

日本語もわからないし

実家で紹介されて

またハラハラするよりか

簡単に済んで、まあいっか

正直な気持ちだった

長女が2日くらい在日したくらいに

父から

オーストラリアに行ってくる

と連絡をもらった

つづく

詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

　女性は事故後

しばらく体調も、ご機嫌も悪い

2階に布団を持っていって

降りてこない時間も

長いらしく

食事の支度をした父が声をかけると

しぶしぶ降りてきて不機嫌そうに食べて

また2階へあがる

機嫌が悪くなると

こうゆう行動をとるようになった

パチンコへ行っていたことを

問い詰められたくなかっただろうか

父も責めはせずでも

お金が足りない、と

度々ねだられたお金が

パチンコ代やもしれず

その金額が

毎月渡すお金くらいになり

結局ひと月で

お小遣いを含め20万円近く女性の手に渡る

お金の渡し方を変えようか

と

考えているようだった

女性は

ご機嫌が悪いままではおれず

そのうち、一階へ降りてきて

２階へはあがらず

また甲斐甲斐しく料理をしたり

父と買い物へ行ったり

会話をしたりするようになる

家にいるのだし

生活していかなきゃいけないし

父を頼りにしないと困る

一緒にいるのなら

仲良くしないと

ダメだと悟ったんだろうか

父も過ぎたことは

ネチネチ言わない性分

ゆっくり色々解決しよう

お互いの生活感、金銭感覚の違いを

話していこうと

ワタシに魚を持ってきてくれた

ついでに

そう話した

というより

話をしに来たんだろう

愚痴も不満も言わない

父の「やれやれよー」って言葉には

ワタシも

やれやれ、どうなるんやろ

と思うにも

ワタシには、どうにもできやしないし

父もどうかして欲しいわけでもなく

ただ、

こういうことがあったと

一応知って置いてほしい

ということだろうと

ワタシは父を理解した

一証人みたいな感じで

つづく

詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

　大旨事情は警察官から説明され

事態は把握して父は現場へ向かった

ある場所で

軽い車両事故

車を出そうと一旦停止している

女性が運転する小型車に

ゆっくり運転の車がそのまま突っ込んできた

という

父が現場へ着くと

女性は頭が痛いから話が出来ないと訴え

救急車で脳外科へ運ばれた

念の為検査を受けたけど

異常はなかったそうだ

相手方も怪我もなかった

それを聞いただけでは

まあ、大事がなくて

良かったねー

あとは保険屋さんに任せて.....

で終わりなんだけど

場所と相手が悪かった

女性がいた場所は

パチンコ屋さん

パチンコ屋さんの駐車場が現場

相手は80代のおばあさん

しかも、車検切れの息子さんの車を

勝手に運転をしていたとか

暮らしは生活保護だと

おばあさんの処分は聞かなかったけど

のち

父の自宅へ来て

車の修理代が出せないから

勘弁して欲しいと訴えられたと

仕方ない

どうしようも出来ない

ちゅうわけだった

この女性

前から、色々発覚するけど

全部やばい

「そっと聞いてみるんぢゃけど、いつもパチンコへ行ってたんやない？」

「ワシもそうぢゃ思うんぢゃがのー」

つづく

詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

　ぞっとするし

ちょっとした事件みたいで

女性の謎な行動が気持ち悪かった

普段から能天気で根明なワタシの心も

どんより暗くさせた

ガスコンロやったら

寝たまんま気づかんやったら

火事になったら死んどるやん

恐ろしい

「殺されるぢゃん！怖いわ、もーー」

この言葉は

これ以降も何度か言ったくらい

色々しでかす女性

港で別れる時に

何か起きたときでは取り返しつかんから

訳を聞いて

しっかり注意して

と

父も当然そのつもりだと言い

それでも心配でたまらなかった

翌日父に電話をしたら

側に女性がいるのか

「心配かけてすまんね、また連絡するよー

ありがと、ありがと、ありがとな」

ささっと電話を切られたから

またより一層

気持ち悪い

何日もワタシはモヤモヤが続いた

忙しくしていると

少しモヤモヤも晴れ始めたくらいの頃

父がクーラーボックスに魚を入れて

ワタシの仕事場までやってきた

コーヒーを淹れて

一息つく父の口から

「やれやれよー」

と

漏れるようにため息をついた

えっ？

何？

しょっちゅう何処かへ出かける女性

この間の件は

言葉を濁して理由がはっきりせずで

気をつけますからと

反省して涙するばかり

もう黙って出たら行けない

火の始末もキチンとしなさい

しっかり注意したんだと

数日は

おとなしくしていた女性が

買いたいものがあるけど

少しお金が足りないとねだり

出かけた

数時間後

女性の携帯から着信

　

携帯の声は女性ではなく

警察官で

事情を話され

父は現場に直ぐに向かった

そこで

今までの謎が解明するのだけど

つづく