詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

　都会で働く兄と

同じく都会にいるはずの女性の長男

朝早い新幹線か

飛行機に乗るとしても

長男が朝のうちに

ワタシの兄より先に

父を見舞うことができたのは

前日には

何処か隣県か

それとも既に近くにいたのか

気持ち悪くもありながら

それを問う気もなく

女性が病室に戻ってくると

自慢げに

「おとさんのー長男よりー私のー長男が先にきたからねー」

なんて笑いながら話すもんだから

父を病院へ連れていきもしないで

何いってんだ？

この人

病院へ付き添ってこないで

何してんだ？

この人

ワタシの中で

色々

キレたけど

父のために

口はつぐんだ

このことは

ワタシの息子に

すごい影響を与えていた

後に息子は

福祉系の大学に進学した

将棋の相手をしてもらったり

面白可笑しく楽しい話をする

大好きなおじいちゃんが

全く喋らず、様子が変わり

その側で半日近くも見ているしかできず

何もできずで、悲しくなり

怖くてたまらなかったそう

有意義な大学生活が送れたのは

この時のおかげなんだ

と

だから

最悪な状況の中にも

プレゼントがあるのか

それとも

天国の母が

救いの手を差し伸べてくれて

道を示してくれたのか

とも

思いたいばかり

話は戻り

父は翌日退院した

つづく