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Hola! Charango en 北海道

チャランゴ奏者福田大治(Daijito)さんとのツアーで北海道に行ってきました。初めて北海道を訪れてからちょうど3年。この時はDaijitoさんと初共演の時でもあります。さらに同じ札幌、江別、美唄の3公演ということもあり、その思い出とも直結して、さらに特別な時間になりました。

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8月6日(木)札幌入り

 Daijitoさんの提案で前乗りしまーす。夕方に札幌着。2つの大学の先生でもあるDaijitoさんは前期の講義も終わったばかり、私も連日のスケジュールを越えてきたところ、ここでちょっと英気を養うため…まずビールでしょ。

 札幌の大通公園のビアガーデンは人でいっぱい。到着した日は最高の天気。観光客よりもむしろ、札幌の地元の人たちが一斉に出てきて大変なことになっています。特設「ウコンの力」の屋台の向こう側には区画ごとに「サントリー」「アサヒ」「キリン」「サッポロ」の順にメーカーごとのガーデンがあり、さらにその先にも輸入ビールの区画があるようです。人波にいきなりもまれながら、まずキリンで一杯立ち飲み。アサヒでなんとか席を確保できました。

Chiei_stout

 建物の屋上のイメージが強いビアガーデン、公園内で区画めいっぱいというのは開放感が違います。しかしここはさすが公園、健康的に21:30終了。ほろ酔い気分で後にして…やっぱりもう2件はしご。たまには前乗りもいいものです。

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8月7日(金)札幌「EL MANGO」

 ホテルをチェックアウト後、いったんそのままフロントに荷物を預けてDaijitoさんと引き続き市内をぶらぶらします。遅めの朝風呂をいただき、昼食はこちらのリクエストで、東本願寺近くのラーメン屋でさっぽろの味噌を堪能します。このお店は、札幌に住んでいたギターの生徒さんに教えてもらっていて、これがすばらしい味!北海道で食べるラーメンは幸せの瞬間、やっぱり紹介してもらったお店はおいしいです。自転車で乗り付けたお客さんが続々やってきます。

 戻る途中、通るのはあの大通のビアガーデン。12時からすでにやっているようなので、きのう行っていなかったサッポロのコーナーに行くと、ゆうべとは打って変わって落ち着いた雰囲気、というか子どもを連れたマダムの姿。お菓子をぐるぐるしながら遊んでいる子たちの横で、大ジョッキのエビス黒を飲むお母さんたち。かなり年配の方たちも、どう遠めに見てもやっぱり大ジョッキを手にしています。ゆうべに引き続いてのカルチャーショック。なんだかいい景色です。

 さて、ここまでさっぱり音楽の話題を書いていなかったのですが、ここから訪れる怒涛の3夜を思えば、充電するには十分というか必要な時間だったかも。

 午後4時に会場入り、主催者の三谷修司さんとうれしい握手。ご家族もみんなで手伝ってくださいます。「EL MANGO」はサルサをテーマにしたキューバ料理のお店。さまざまなダンスイベントだけでなく、東京などから北海道ツアーで来る数多くのアーティストがライブをしています。

 この日はチャランゴとギターのドゥオ予定だったのですが、ちょうどこの日休暇で札幌に来ていた小川紀美代さんも来てくれることになりました。しかもバンドネオン持ち!前日からDaijitoさんとビールネタをはさみつつ写メールや電話でお誘いしていたので、これはうれしいかぎり。

 Daijitoさんがお客さんに配るための3公演のセットリストを作っていたのですが、曰く「発展的に変更します」、一緒に演奏するプログラムを3人で楽屋で打ち合わせをしてその場で曲目を決めます。ライブっぽい感じになってきました。会場はほぼ満席。チャランゴを聴くのは初めてという方が多いようです。でも開演前のこの熱気、お酒もどんどん進んでいらっしゃいます。

 プログラムは前回の公演から比べると半分くらい入れ替わっています。さすがに3年間の積み重ねです。しかし3年前の初演が緊張感に満ちたものだったかというとそうではありません。Daijitoさんの演奏はお客さんも共演者もリラックスさせる不思議な力があり、チャランゴを自然体に、じっくり聴けるところからフルボルテージまで自由に行き来できるライブ空間が生まれています。

 今回はもうひとつテーマがありました。6月に亡くなったボリビアのチャランゴ奏者W.E.センテーリャス氏の曲です。Daijitoさんとセンテーリャス氏とはCompadresの関係、つまり洗礼親というとても親しい間柄。長年闘病されていた氏の治療支援のためのチャリティーイベント(2006年11月東京:チャランゴの集い)まで行っていただけに、Daijitoさんの気持ちは察するに余りあります…。

 そのセンテーリャス楽曲は一度聴いたら忘れられない、高い技巧と豊かな歌心に満ちた名曲ばかり。私も幸運なことに来日公演(1988年)を見ることができて、そのコンサートでのものすごい演奏は今でもはっきり覚えています。Daijitoさんのドゥオで、札幌から捧げます。

 小川さんとのトリオは本当に久しぶり、バンドネオンが歌い上げます。アドリブの部分ではその場で音が生まれるスリリングな瞬間が楽しいです。お客さんの熱い声援に思い切り乗せてもらいながら、初日の公演も無事終了。
 そのままテーブルを囲んでの打ち上げ。心地よい余韻は、最終日までお世話になる三谷邸で、さらに深夜まで続きます…。

Daijito_kimiyo

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8月8日(土)江別「アートスペース外輪船」

 この日もいい天気、自分の家ではまずない時間帯に起床。ゆうべは三谷さんからボリビア旅行の「レポート」を見せていただきました。三谷さんは以前仕事でボリビア南部のタリーハに住んでおられたので、その再会の旅の写真をたくさん見ることができました。すごいファイル、そして音楽がみなぎっています。

 Daijitoさんはまだ上で就寝中。気がつけば下のリビングで2人でギターを持って向かい合っています。三谷さん特製の歌詞本はまた完璧なファイリング。これまた完璧なコードつき。私には不可能な作業です。

 タリーハの音楽は他の地方に比べてかなりメジャーコード(長調)の曲が多いのが特徴。アルゼンチンのチャカレーラやサンバも演奏されているそうで、フアンカの曲も入っていたのですが、詞集では見事なまでに長調の曲ばかりがチョイスされています。

 三谷さんの歌とギター、私はベースやリズム、あいの手を入れていきます。テンションはどんどん上がり、気がつけばコンサート1本分以上やっていました。三谷さんは3年前のDaijitoさんとのツアーの時に主催いただいていて、私はその後ちょくちょく札幌でお会いしているのですが、こうして久しぶりに一緒にギターをまた弾けてうれしいです。

 Daijitoさんも起きてきたところで、いったんみんなで札幌市内に向かいます。途中でラーメンをいただきます。おいしいなあ。ちなみに私は初日から3日連続みそラーメンです♪

 きのうのライブにも来てくださった久守浩司さん・夕子さんご夫妻の二人展の会場へ。久守さんとも札幌での仕事のたびにお会いしていて、この日画家である久守さんの展示を初めて見ることができました。

 今回のテーマは「スペイン」。各地を旅しながら描き上げた久守(浩司)さんの作品は、太陽の光があふれているようで、本当にあたたかいです。展示室に入ったとたんぱっと明るい空間に包まれます。絵と絵の間の食事のイラストがまた楽しいです。わー行きたくなってきた。夕子さんのモザイクタイルや陶器は色鮮やかで、赤がすばらしいです。すごく元気をいただきました。

 三谷さんのお宅に戻り、荷物を積んで今日の会場入り。江別の「外輪船」は、前回(2006年)の最後に演奏した場所です。倉庫を改装した多目的スペースで、セッティングは前回もお世話になった「クルブ・ラティーノ」の方々と進めます。1時間ちょっとでステージづくりとPA設営とサウンドチェック…軍手とタオル巻きのせいか私は完全にスタッフと間違えられつつ、一気に戦闘モードになりました。

 この日もなんと小川さんが札幌からかけつけてくださいました。前日の勢いでまた実現できてひとしおです。18:00開演。チャランゴのソロから始まり、Daijitoさんのオリジナル曲やボリビア、アルゼンチン、ベネズエラの名曲をつづっていきます。1部と2部のラストには小川さんに入っていただいて、早くも昨晩の新鮮な感じから一気に熟成がはじまっています。ホール的な雰囲気(もちろん終わるまではノンアルコール)の中、じっくり音楽を聴いて楽しむ空間ができあがりました。

 クルブ・ラティーノのブログでこの日の模様をアップしていただいています。終わったあとの交流会のセッティングの転換の速さがまたすばらしいです。持ち寄っていただいたおいしい料理と酒に舌鼓、最後は演奏、そして踊りで大変盛り上がりました!

http://clublatino.exblog.jp/

この余韻はきのう以上に三谷邸に持ち越し、宴は2時をまわっても続くのでありました…。

Mitani_de_tarija

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8月9日(日)「アルテピアッツア美唄」

 今朝はさすがにゆっくり起床。美唄に向けてお昼過ぎに出発。途中、近所のスープカレーのお店に連れて行っていただきました。薬膳カレー、体が本能的に要求しています。

 チキンレッグ、なすの入ったカレーを注文したのですが、これがすごいボリューム。とろみがない分辛さがストレートに来ますが、それ以上に奥行きがあって、食べ終わって大満足。薬膳というだけあって、心地よい清涼感に包まれます。この落ち着きはなんというかリラックス…?気がついたらもう会場に着くころでした。カレーを食べて即昼寝はさすがに初めての体験です。

Artepiazza

 会場のアルテピアッツア美唄は、廃校になった校舎と体育館を改装、それぞれギャラリーとホールになっています。校庭と周辺には緑が広がり、子どもたちがオブジェに乗っかって遊んでいます。とても気持ちのいいスペース、演奏できるのが楽しみです。

 この日は当初の予定通り、特別出演で岡田浩安さんが参加。ところが岡田さんは半分地元なのに今日のお昼札幌入り(しかも飛行機が2時間遅れ)という強行スケジュール…それでも、Daijitoさんとのトリオでは東京では何度も経験しているだけに、その演奏が北海道でできる喜びが大きかったです。

Charango_tozimasan

 Daijitoさんの演奏したチャランゴはなんと美唄製。製作家の戸嶋博さんは2006年のコンサートの時にDaijitoさんにこのチャランゴをプレゼント、その楽器が里帰りして、美唄で演奏されるという大きなテーマを持ったコンサートでもありました。チャランゴの繊細な音色に聴き入り、たくさんのお客さんから声援をいただいた演奏は盛り上がり、大盛況のうちに終演。

 美唄公演主催の市田さん、今回のチラシを製作した竹内さんは三谷さんの同級生。打ち上げの席でやきとりをいただきながら、人と人とのつながりをじっくりかみしめます。後段ですが、翌日の朝早く三谷さんは仕事のため出張に出られました。奥さんの晶子さんには日程を通じて大変お世話になり、空港で最後まで見送っていただきました。2時間のステージの向こう側にこんなにもたくさんの方たちの存在があることを、演奏のたびに新しい気持ちで感じています。いつも本当に楽しい旅をプレゼントしてくれるDaijitoさん、お休みをさいてかけつけてくれた小川さん、北海道のすばらしさをいつでも教えてくれる岡田さん、幸せな時間をありがとうございました。

Daijito_tozimasan

写真上から:「大通公園のビアガーデンで(キリンスタウト)」「Daijito&Kimiyo」「Mitani de Tarija」「アルテピアッツア美唄」「戸嶋博さん製作のチャランゴ」「Daijito&Tozima san」

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